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若い会社勤めの社会人でたまたま名字が同じ、生年月日が同じの男女の1年を描いたもの。会社人として過ごす日々、日常の茶飯事、人間関係の煩わしさなどの心象風景を日記のように描いている。誰もが感じることで感じてはいるがそれは自分の中でことばとして表現されていないものなのかもしれない。しかしこのように文章として表現されると自分の中で再確認できる感情であることがわかる。会社勤めの人々にとっては共感を得る作品だろう。
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同じ生年月日で同じ名字を持つ、男女の物語。
とはいえ、この2人は別の場所にいて、濃密に関わりあうわけではない。それぞれが何ということのない日常を浮いたり沈んだりしながら過ごすうちに、淡々と日々は流れていく。
大した事件があるわけでもない日常をさらっと描くのは難しいと思うが、妙にリアルで、ときどきクスッとできて、気楽に読み進めることができた。
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働くのは人間関係だなと実感 しんどいけどそこまで不幸でもない 取り立てて変化が出てくる訳でもない そんなお話
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ナツイチのキャンペーンのブックカバーが2つ欲しくて、もう1冊が決まらず、平積みの本の中で、ただ「他より売れてるから」買った本が、すっぽりと自分の気持ちにマッチして嬉しかった1冊。主人公は自分より少し年上の32で、社会や友好関係へのぽんやりとした疲労の表現に、カドはないのに適切に、「共感」によって癒された。4コマ漫画の後書きも的確でよかった。よくもないけれど、悪くもない。特段幸せじゃなぃけど、不幸でもない。逆説的な、肯定的な今の自分の許容に、共感できた1冊。
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誕生日も苗字も同じ男女が、偶然出会い、ふとしたことでお互いを思い出す話。全体に流れている雰囲気は好きだけども、ちょっと長い。短編でも楽しめるストーリーのような気がする。スパカツは旨そう。
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端々に、おっという比喩や洞察がある。読んでてわくわくするタイプではなくて、女友達と そうやねーって言いつつだらだらお茶している感覚が味かな。
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何か際立って珍しい話でもなく、
現代ごくごく普通に働いている人のお話。
…これが私には合わなかった…。
この後に何が起こるのだろう…と思いながら
最後まで読み切ってしまった。
ただ舞台の一つが大阪だったので
個人的には懐かしく、風景を想像しやすかった。
働くということは
仕事自体もそうだし、そこでの人間関係だったり
しんどい事はたくさんある。
それは普通。
働いてなかったとしても
多少違えど同じような悩みはあると思う。
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「恋愛小説」に分類されているのをたまにみかけるが、タイトル通り「仕事小説」だと思う。津村さんの描く世界に甘酸っぱさはない。そして甘酸っぱいなにかは、自分のまわりに、そうそう落ちてるもんではない。
働く中で抱える理不尽や、ちょっとした嬉しさや、つまりとびきりの何かではなく、日常が描かれている。自分以外にも、そういう大人がたくさんいると思うと、ちょっと心強い。
明日も朝はつらいと思うが、職場に行こうと思った。
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会社の内外をバランスよく描いています。会社員の仕事と生活を描くこと――これは出来そうで、なかなか出来ないことは、伊井直行『会社員とは何者か?――会社員小説をめぐって』を読んでわかったことです。
そのような技巧だけでなく、カレーを食べたり、スパカツを食べたりする場面が、すごく魅力的でした。仕事だけでなく食事を描くのもうまい作家として、おススメしたいです。
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偶然にも名字と生年月日が同じだった男女。
二人はふとした瞬間に互いを思い出しながら、
それぞれの1年を過ごしていく。
帯には「男女」ということが強調されていたので、
恋愛なのかな?と思って買いました。
ワーカーズ・ダイジェスト、というタイトルが、恋愛にどう結ぶのか。
読んでみれば、本当に、お仕事小説でした。
ささやかなつながりを持ちながら、それぞれの仕事をしていく。
恋愛関係になることなく。
正直、終わりがあっけなさすぎて、あれ?と思って何度も見返してしまいました。
途中はとても面白かったのに、最後が少し残念。
でも、32才という年齢の男女の、仕事への向き合い方、感じ方、生き方。
それはなんとなくすっと落ちてきました。
ただ、2人が絡むことの意味がもう少しあればよかったな、と思いました。
思い出したように繋がるんだけど、それがなんか…。
もう少し踏み込んであればなぁ、と。
そことラストは残念でしたが、全体的にはよかったかな、とは思いました。
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津村さんの作品を読むのは2作品目。
つらつらと過ぎていく日常だけど、毎日少しずつ状況は変化する。微々たることに心ゆれることもあれば、笑ってやり過ごせる時もある。明日になれば、たまたま関わりあった人が、自分と偶然、似た者同士なんだってことも、起こりうるかもしれない。心を澄ませば、ささいな奇跡に気づくのかも。
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『ワーカーズ・ダイジェスト』というタイトルに納得。
なるほど、うまい。
のっけから共感の嵐だった。
いや、まだここまで疲弊していない気もするのだけど、でもこの感覚は今の私のすぐお隣さんだろうなと思う。
毎朝同じ時間に起きて、同じ行動をして、同じ人と笑い合って、同じ時間に寝ることは、惰性というか慣性というかそういう類のものだ。
そんな毎日を悲惨と感じることなく淡々と働いているサラリーマンのための小説だと思う。(男性、女性問わず「サラリーマン」という単語がしっくりくると感じる人のための)
私にとってこの本は「面白い!」と広めたくなる本ではないけれど、職場で交わす(なかなか真意が理解出来ない)会話よりもすんなりと頭に入ってきた。
そして深層心理の深めのところ(いろいろ間違ってるけれど感覚として)で吸収出来た気がする。
この本を読んだことでこれからの仕事の仕方は間違いなく変わる。
私にとってこの本はそういう本だ。
もしかしたら今こそ津村さんの本を読むタイミングなのかもしれない。
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表題作は、32歳の男女が主人公のお仕事小説。
佐藤(男)サイドのちょっと不気味なクレーマー話も、佐藤(女)サイドの面倒くさい人間関係のしがらみも、それぞれに読み応えはあるのだがはやく点と点が線にならないかとウズウズしつつも、変に運命的なやつは止めてくれよ、とおもう。
恋愛じゃない、友達じゃない、一度仕事の打ち合わせをしただけの男女が、要所要所で思いだす「あのひと」。
向こうがこちらを覚えているかも怪しい、でもあのひとに話したい…。
そして津村さんは裏切らない。
今回も、報われるなあーとおもう。
終わりかたも、すき。
スパカツ、食べたくなりました。
同時収録の「オノウエさんの不在」は、世代交代のお話。
オノウエさんという絶対的な先輩がいなくなることで、「何かが自分に伝播した」と感じる主人公。
大きな変化じゃないのだけれど、はじまりとはちがうおわりに至るところが巧み。
「鑑賞」として解説を書かれた益田ミリさんの漫画もとてもよかった。
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あまりにも日常の一コマすぎてなんと言えばいいのやら…笑
学生が社会人の日常というものを体験したいと思った時に読むとわかりやすいと思う。
表題作は好き。ようやく最後でつながったー長かったー。
運命というか人と人との巡り合わせの素晴らしさをじんじんと感じて2人が再会した瞬間は心震えた。
2人とも、会わない間にいろいろあったねぇ。
でも、日常のふとした瞬間にお互いの事を思い出して、なんとなく「会いたい」と思い合っていて、それが叶って、本当に良かったなぁ。
オノウエさんの不在はなんかあまり…な感じでした。
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等身大のリアルってこういうのかな。「漠然とした疲れ」に非常に頷けるのだけど、これ疲れてるときに読んだらもっとぐったりしそうだが大丈夫か、それとも同調して泣いたらすっきりするのかな。不思議な本でした。