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菅原道真の太宰府での生活を想像して書かれた小説。道真が失意の底から元気を取り戻していく様子がおかしかった。
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澤田瞳子さん、はじめましての作家さん。
ふだん歴史小説はあまり読まないのですが、
和歌好きなのと、
この『泣くな道真』という響きが良くて読んでみました。
一番印象に残ったのは、道真公と僧侶、泰成の場面。
行き倒れの老人の枕元に掛けられた如来画…。
それを見て、仏様の画の本来置かれるべき場所を知る。
そして、”何とかという貴族”が詠んだ詩として、
道真作の「寒早十首」を批判され、自分の都での生き方を悔いる。
”日本史上、最も有名な左遷された男”
言われてみればそうですね。
右大臣にまで出世しながら左遷され、
憤死の後、怨霊にまでされ、
果ては神様だもの。
でも、その大宰府での日々が
悲嘆にくれるばかりでもなかったとしたら…?
欲を言えばユーモア小説として、
もっと道真公にはじけてほしかった気もしますが、
楽しく読めました。
著者の他の作品も読んでみたくなりました。
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確かに情けない道真ではあるけど、このタイトルはどうかなあ。骨董書画の目利きとか結構お役立ちだし。
更に、小野小町が太宰府に居た、それも道真が左遷されて来たときに、ってのはちょっとやり過ぎかと。
とは言うものの、庶民の現実を突きつけられて、自分の来し方を振り返って真摯に悩む場面は良かったな。
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道真、へんくつじじいでかわいい。こういうのもありかも。
東風吹かば…の歌が好きなので大宰府行ってみたいなぁ。
そして小町か!ってとこに気づいてなかったのが悔しい。
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「美しいもの」の役目とは。
置かれた場所で生き続ける。不条理でしんどくても。汚泥を啜って地を這い回ってでも。
夏の雷雨は轟いて、その後晴れる。
天満様にお参りしたくなった。行きたいところが増えるなあ。
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伯父と甥の立ち位置が変わる(伯父を守ろうとしていた葛根自身の変化でもある)ところが凄いと思った。ボーッと立っているだけと思われた門衛が、意外な働きをしていたり、「人は見かけによらない」が沢山あった。
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菅原道真大宰府権帥へ左遷の時から物語は始まる
主人公は下流貴族の穂積
うたたね殿の異名がある怠け者だが、息子がソコ
ソコ頑張ってるので顔をつぶさないように特命の
任務をこなす
左遷元右大臣道真のお相手の筈が、無断外出する
道真の不在を隠ぺいするハメに
楽しくコメディ風に大宰府を過すうちに、小野小
町まで事件を起こし、最後はまさかの隠ぺい工作
を菅原道真みずから行う
楽しく読める割りには、しっかりと時代背景が書
きこまれている
デビュー作も論文を読み続け、気にかかる単語を
軸に物語を史料に基づいて書くというから永井路
子クラスのとんでもない作家さんのようだ
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初めての作家。文庫書き下ろしではあるが、ラノベに近い時代小説が多い中で、しっかり時代考証をしていて好感を持った。ただ、キャラは現代によせている。そのせいか、十分エンタメ小説になっていた。買ったのは、ナツイチのブックバンドが欲しかったタメ。
菅原道真が左遷された太宰府での赴任先半年の日々がテーマ。 「半沢直樹」ではないけど、まるで社会人小説のように「左遷からどう立ち直るか」がテーマ。
思うに、奈良・平安時代は、まだまだ小説化されていない時代・人物・地域の宝庫だろう。さすれば、10世紀初頭失意のうちに太宰府で歿(なくな)ったと云われる道真を、実はそうではなく、その才能を活かして、密かに政敵の藤原時平に倍返しまでは行かずとも意趣返しをしていた、と作り替える本書は、充分に「スカッと」する平安時代版「半沢直樹」だろう。
江戸時代の東京はたかだか400-150年前の舞台に過ぎない。千年の都・京都も長いかもしれないが、実は福岡は更に1700年前から都だった。ということは、あまり知られていない。実は博多津の発掘が次々となされて、更には周辺地域の遺跡がどんどん掘られて、当然莫大な量の遺物が出てきて、最近になってやっと分かりかけてきていることが多い。澤田瞳子はよく読み込んでいると思う。博多津や太宰府東北の水城の景観などをよく説明している。私の興味はあくまでも弥生時代ではあるが、発掘成果を小説に反映させるという視点では、面白い。
小野恬子(てんこ)という名前が出てきた時点で、あの有名歌人と思い出さないのは、私の不徳の致すところ。彼女の出没地域は全国に及んでいて、岡山県総社市には墓まである。生涯は不明である。太宰府にいたとしても、全然不思議じゃなかった。
あと一作は、読んでみたい。
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ナツイチのノベルティ欲しさで買った一冊でしたが、本当に面白かったです。
徹底的に史料を読み込まれた裏付けによって書かれた物語は映像化して、もっと多くの人達に知って貰いたい位です。(道真は野村萬斎さんかな。ただ、平安時代はヒットしないか。)
いつの時代にも通じるテーマで、読後感もすっきりでした。
他の作品も読んでみます。
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フォローしているレビュアーさんのレビューで知った本。
ありがとうございます。
太宰府に左遷された菅原道真を慰めるため、お相手役として派遣された怠け者役人・龍野保積。そこへ才色兼備なお騒がせ女房で歌人の小野恬子(しずこ)が加わり博多津の唐物商へ連れていったことから道真は少しずつ変わっていく。
博多は昔から外国との交易が盛んで栄えた場所。しかし京の都と比べれば生活も文化も政治も何もかもが違うし、やはり都落ちという言葉通り、とんでもない田舎に来てしまったもうお仕舞いだという気分になるのだろう。
保積の道真との初対面シーンは正にそれを象徴している。
太宰府庁長官から道真を慰めるために預かった貴重な書物にも墨の入った硯をぶつけ滅茶苦茶に、保積の服も滅茶苦茶にされる。
嘆き悲しむというよりは、人間不信になって怒り狂う猛獣のようだ。
しかし恬子をきっかけに何故か唐物屋の目利きとして働くことになったことから道真に変化が起こり始める。
実は恬子も都を嫌になって自ら太宰府へと流れてきた似たような状況。そして保積は出世が望めないと分かってから一気に仕事へのやる気をなくした。
そんな三人が出会って道真にやっと生気が戻って来たのだが、何と道真の幼い息子が事故死するという悲しい出来事が起こる。
どうなる、道真。
左遷されたことを嘆き悲しみ、失意のまま亡くなって怨霊になるほど怨み辛みを募らせたという菅原道真公。
しかしちょっとは楽しい日々もあったのでは?という想像は面白い。
その地の日々、その時の日々をどう過ごすかはその人の気持ちの持ち方次第。
中盤までの道真はその生き甲斐を書画の目利きに求め様々な逸品を探すことを楽しみにしていたのだが、逸品の価値が分かる者が蔵の奥深くに仕舞いこむことが良いこととは限らないことを知り、明日生きて行く糧もなく人間扱いもされない最下層の人々の苦しさも知る。
終盤はそんな道真に保積を通じて太宰府庁の窮地を救うミッションが課せられる。
軽すぎず重すぎず、ちょっと痛快さもあって楽しめた。
道真とあの人が実際出会っていたのかは分からないが、こんな想像もあって良い。
それぞれが自分の立ち位置で出来ることを探り、プライドを持って前に進んでいく。良い話だった。
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太宰府に左遷された道真は
毎日毎晩悲嘆に暮れて見る影もなし。
お相手役に任命された保積は
噂の文人に憧れていたものでショックを隠せない。
ところが同じく過日の道真を知っている
歌人の恬子が道真の文具好き心をくすぐって
博多津に連れ出してみたら…。
え〜、こんな道真、嫌っす。
と思いながら読んでいくと、保積や恬子と共に
「泣くな!」と応援したくなっちゃう。
知識欲の強い人間の心をくすぐる方法を
よく知ってるねぇ、恬子…と思ったら
彼女も歴史上の有名人がモデル。
実際は巡りあってないかもしれないけど
こんな”IF”なら大歓迎です。
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一度目は始め数ページでリタイア。
もう一度と思って再チャレンジしたら
まぁ面白い‼️
道真のイメージががらっと変わった。
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出先で読むには電子書籍が便利と思って購入したけど共感しきりで往きの新幹線で読みきっていまいそう。帰りの新幹線、どおしよお?他の本買わなきゃ、、、また、澤田瞳子先生の本にしよう、っと!
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ものすごく楽しかったです。
唐物商で都で培った目で目利きをして、柳公権の書欲しさにちゃっかり菅三道という名前で目利きをすることを承諾してしまう道長。
おーい! 大宰府についてから食事もろくに食べず、着替えもせず、いじけて毎日恨みつらみを書いていたんじゃないんかい!? と思わず思ってしまった(笑)
そこから、いきなり保積に十貫(約百万)の銭を用意しろと言ったりして、唐物を買いあさる道真が可笑しい
そして、ひょんなことから民草の本当の貧しさをしり、大宰府まで連れてきた愛息を失ってしまい、再び引きこもる道真。
だが、ここでうたた寝殿と呼ばれていた保積が彼のために苦言を呈するのがいいのです。
そして、横領されていた税の問題に取り掛かる道真達。それが己を左遷させる原因を作ったものに一泡吹かせるものだったのが、最高でした。
菅原道真が大宰府でどのように生活していたか、わからない部分が多いと思うのですが、私はこの本を読んで、こうだったらいいなと思いながら本を閉じました。
本当に面白かったです。そして恬子が誰なのか、最後にわかるのがとっても粋だなぁって思ったんですね。
楽しい時間でした。
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奈良仏教史を専攻する作家が描いた太宰府へ流された後の道真さんの物語。本当にこんな風だったらいいな。有名な女性歌人も登場して、てんこもりで痛快。