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発売前のを書くのはアンフェアかな?とも思いつつ、いただいたプルーフの感動を忘れないうちに。
これ、すごいわ。オイラ基本的に泣かせる話は苦手なんで小説やったらたぶんドン引きしてる。けどなぁ、実話なのよな。しかも、日本を代表する製紙工場が復活するかどうか、ってのは、ひょっとすると日本の出版業界のあり方すら左右する可能性があって(紙がない→刷れない→紙の本が手に入らない→電子書籍でいいや)、ヘタしたら今のオイラの仕事もなくなってたかもしれない、大げさに言えば。そんな大恩人の復活にこんな熱い物語が…。
発売前だし、オイラがどうこう書くより直接読んでほしいので詳細は書かないけど、全ての紙の本を愛する人に読んでほしい一冊(ってベタ過ぎるがな)。
一つだけ中身に言及してしょうもないこと言うと、奇跡的に助かった巻取、「奇跡の紙で作った文庫」とか言ってプレミアつけて売って、その分でどっかに寄付でもすれば良かったのに、とか世知辛いこと考えたり。
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紙作りのプロたちの矜持・・・・・。
巻末の写真ページを見ると、この壊滅的な状況からよくぞ立ち直らせたものだと大いに感心します。
紙の本をあたりまえのように味わうことのできる幸せ。
読書という行為は、活字を読むだけでなく、ページ(紙)をめくる手触りなんかも含めて楽しんでいるのだと再認識。
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2011年3.11ー東日本大震災。壊滅状態になった日本製紙 石巻工場を取材したノンフィクション。
読むほどに辛くなる大震災の描写、被災しても尚必死で工場を立て直そうとする人の想いに目頭が熱くなる。
美談ばかりが報道される一方で、ほとんど報道されない現実も。湧き上がる大量の蠅、臭い。うすら笑いを浮かべ酒を強奪する人間、エセNPO…本当に「恥を知れ」。
本を読んでいても全然知らなかった。紙に、本に、出版に携わる方々の熱意・優しさがこんなにも込められているって事。
電子化も進んでいるけれど、どうしても紙の本が好きなんだよなぁ。紙の本を読む事をもっと大事にしたくなる1冊だった。本はやっぱり捲らなくちゃね!
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いつでもどこでも簡単に手に入る空気のような存在の紙が手に入らなくなる。
そんな事態を佐々さんの文章で再構築。やっぱりエンジェルフライトも読むべきかな。
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2012年12月29日、東日本大震災から1年10ヶ月が過ぎた東北に足を踏み入れ、太平洋岸沿いに松島から陸前高田まで45号線を一人北上し、現地をこの目を見た。
その際に、石巻にも立ち寄った。
「大きな敷地だなぁ・・・」そう思ってハンドルを握っていたその真横に、日本製紙の基幹工場である石巻工場があったことをこの本を読んで初めて知った。
その場所で、何があったのか、も。
著者である佐々涼子氏は、私が好きなノンフィクションライターの一人である。
丁寧な取材はもちろん、書き起こす文体は決して派手さや大袈裟さな脚色がある訳でもないのに、その言葉は魂に訴えかける。そんな文章を書くライターだ。
そんな著者が著した本書は、一言で言うと「東日本大震災で被災した日本製紙 石巻工場の地震発生当初から復興までを取材したノンフィクション」である。
しかし、そんな言葉では表現しきれないほど様々なことが本書には織り込まれている。
・震災当時の現場はどうだったのか
・被災者の心境・現実とは何か
・被災地の現実とは何か
・仕事への誇りの具現化とは何か
・本とは・紙とは・読書とは何か
・組織とは・リーダとは・プロフェッショナルとは何か
・企業とは・経済活動とは何か
・人間の本性とは・人間の織りなす想いとは何か
・幸せとは何か
・etc・・
羽田←→千歳を一往復する機内で一気に読み切ってしまい、人目もはばからず涙が溢れた。
プロフェッショナルによる至極の一冊。
【本書抜粋 佐々涼子】
ノンフィクションを書いていると、私が能動的に書いているというよりは、物語という目に見えない大きな力に捕らえれて、書かされているのだと感じることがある。
(中略)
人々が、その物語にこの世に現れて欲しいと願う気持ちと、物語がこの世にあらわれようとする力とが、ほかのいつでもなく、このタイミングで合わさったとき、それは文字となって生まれてくる。
そこに立ちあう私は、物語が命あるものとして生まれて来る際の、ただの通路に過ぎない。
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ブクログで知った本。東日本大震災が起こった時の映像で巨大なロールペーパーが散乱している様子が空撮された。いまでもよく覚えている。日本で生産される本の紙のほとんどがこの被災した石巻の日本製紙工場で造られていた。震災があってはじめて知ることだった。壊滅的打撃を受けたこの工場がわずか2年で完全復興する。社員の多くが被災者であるにもかかわらず再建に向かっての奮闘する姿をインタビュー記録としてまとめてあり、「その時」が緊迫した一分一秒だったことに胸が締め付けられる。復興は社員の希望であり工場の煙突にこいのぼりをなびかせ明るい気持ちにする。そしてその煙突に白い煙が再び昇ったとき石巻の人々は勇気づけられる。震災後、3年が経つ今、少しずつ震災の記憶が遠くへ行ってしまう。こうして震災関連の本を読むと、改めて記憶が身近に起こったこととして傍らに来る。この3年間、一生懸命やり過ごして来た人がおられることを忘れない。関心を持ち続けることで東北に寄り添える。
「紙つなげ」は紙と紙をつなげることであるが、気持ちと気持ちでもある。
いろんな本を手に取るときその紙の感触をしみじみと味わいたい。それはもしかしたら8号マシーンのものかもしれない。
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(2014/06/21購入)(2014/06/21読了)
東北大震災で操業不能に陥った、日本製紙石巻工場の復興への軌跡を描いた作品である。本を愛する1人の人間として、関係者の皆さんに心からの感謝を捧げたい。本文中に名前が登場した方々はもちろんだが、やはり名前のあがっていない何千人という社員、関連会社の方々の努力なくしては復興は成し遂げられなかったと思う。本当にありがとうございます。そして、これからもよろしくお願いいたします。
━━ 日本製紙は、なぜこんなにも必死になって石巻を立て直そうとするのか。それは結局のところ、出版社を経て、我々の手元にやってくる本のためなのである。(137頁)
━━ 俺たちには、出版を支えているっていう誇りがあります。俺たちはどんな要求にもこたえられる。出版社にどんなものを注文されても、作ってみせる自信があります。(150頁)
━━「みんな聞いてくれ。毎日瓦礫処理は大変だろうと思う。疲れてもくるだろう。でも、これだけは約束してほしい。決して課員の悪口を言うな」(160頁)
━━「いつも部下たちには、こう言って聞かせるんですよ。『お前ら、書店さんにワンコインを握りしめてコロコロコミックを買いに来るお子さんのことを思い浮かべて作れ』と。小さくて柔らかい手でページをめくっても、手が切れたりしないでしょう?あれはすごい技術なんですよ。一枚の紙を厚くすると、こしが強くなって指を切っちゃう。そこで、パルプの繊維結合を弱めながら、それでもふわっと厚手の紙になるように開発してあるんです」(258頁)
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朝起きてから夜寝るまでにいったいどれだけの紙に触るだろうか。
新聞、ティッシュ、キッチンペーパー、トイレットペーパー、雑誌にコミック、文芸書に文庫、おっと、レシートもあったな。
何気なく何度も何種類も触っている紙が、ある日突然無くなったら…困る。いや、困るなんてもんじゃない、生活自体が成り立たない。
けど、そんな状態になりかけていたのですね、この国は、あの3月11日に。
壊滅的な状態からの復興。言葉にすれば簡単なことに思えるけれど、そこにはやはり当事者にしかわからない、というより、わかった気になってはいけない苦しみと悲しみがあるのだろう。
この一冊は、そんな「わかることはできないけれど覚えておかなければならないこと」が詰まっていた。
震災と復興の物語、というだけでなく、現場の力、職人の矜持、リーダーのゆるぎない意志力、など危機的状況からの再生に必要な企業の力を示してくれている。
日常的に紙に触れている私たちだからこそ、この一冊をたくさんの人に手渡たさなければ、そう強く思った。
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震災で被災した日本製紙石巻工場の復興を追ったドキュメント。
被災した当時のことも体験された方がの体験談が細かく出てきます。
絶望的な状況に置かれると人は立ち止まったり、思考停止状態になりがちだけど、だからといって何もやれない訳ではなく、思いが行動に繋がらないだけのことも多い。
その時に、誰かが気持ちを後押ししてくれたり、目標を示してくれたりすると一気に前に進むことができる。
リーダーシップって、"俺について来い!"ではなく、こう言うものなんだなぁと改めて思いました。
また、震災直後は"被災地を忘れない" その時は強く思っていたのですが、やはり結構忘れてしまっていた自分が恥ずかしい。
でも、この本のおかげでまた思い出すことができました。
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借りたもの。
東日本大震災の被害、その時何が起こったか、そして復興の軌跡を書いたノンフィクション。
復興を成し遂げた事への賞賛よりも、人の生き方をまざまざと見せつけられた本だった。
日本製紙の工場が石巻にあり、津波で壊滅的な被害にあった――
半年での復興という目標は、希望を持つ事、勝算があること、そしてそれに見合う技術と思考によって成されていた。
勝算無く提示したものではなく、我武者羅に働く精神論ではなく(ここが社畜との大きな違い)。
また、意外と知らなかった紙の知識をも深められるものだった。読んでいてその拘り、匠の技に感嘆する。
頁をめくる時、紙を強く意識する。
東日本大震災ではコンビニからパンが消えたり、化粧品の生産がストップした事で、あらゆる日用品の製造拠点が東北にあった事を私も経験として知った。
震災から1周間、「その人達はどうしているのだろう?今後どうなってしまうのだろう?」と漠然とした不安や疑問があった。ニュースを観ていても被害状況や復興に実感が伴わなかったが、これを読んで納得するものもあった。
赤裸々な被災状況が語られる。
助かった命と、助けられなかった命。報道では写されることが無い直ぐ側にある「死」。
読んでいて胸が痛くなり、涙が出てきた。
被災したショックや死の恐怖、傷ついた人々は、ストレスと被害者意識から品位を失っていた。
支援物資不足からの妬みや強要される自粛ムード……
今日明日の食料だけでなく、家族で嗜好品を根こそぎ持っていくコンビニ略奪や、自動販売機がこじ開けられたりしていたという。
そこには盛んに報道された、支援の美談や節度を守りお互いに助けあう人々だけではない人間の汚い部分も明確にされていた。
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震災関連本は何冊か読んだが、美談だけでなく、心無い人間の存在や行動についてもつつみ隠さず「ありのまま」に書かれている。
東京からきたコンサルタントが金だけ取って逃げた話や、補助金目当てにNPOを名乗り何もしない団体など。
現場でも金属バットやゴルフクラブで自販機やショーケースを破壊し、レジに手をかける輩。
非常に感じるものは多い。
そんな中での工場復活に向けた話のひとつひとつが重みを持つ。
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どこにでもある「紙」。
それは日常にあふれていて、「あって当たり前」と思っているけれど、実は「あって当たり前」なものなんてないわけで。
2011年3月11日。あって当たり前なものが全て失われ、非日常という日常に追い込まれた状況の中、痛みや悲しみ、苦しみも呑み込んで復旧作業にあたった現場の人たちには頭が下がります。
一読者として。やっぱり紙の本っていいな。
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日本の出版用紙の4割を担っている日本製紙。その基幹工場が石巻工場だ。
その石巻工場が東日本大震災の津波によって壊滅的な被害を受けた。
このノンフィクションはその石巻工場がわずか半年で奇跡の再生を遂げた物語だ。
『舟を編む』で辞書に使う用紙の「ぬめり感」を求めて苦闘する姿を読んだ読者ならば製紙会社の人たちが出版用紙にかける意気込みに気づいているだろう。
誇りある技術者たちの苦闘の物語。襟を正して読みたい。
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思わずページをなでて、そのさわり心地を確かめてしまいました。
私たちが当たり前のように手に取っている本、雑誌、広告などの出版物。その紙がどこで作られているのか、正直、意識したことはありませんでした。
もう、何回も涙があふれそうになり困りました。
震災関係の本は何冊か読み、TVで伝えられない過酷な現状を知ったり、直に聞いたりもしましたが、やっぱりまだダメです。
いち営利企業の震災復興というお話ではありません。
それ以上の物を感じました。
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2014年63冊目。
東日本大震災で壊滅状態に陥った日本製紙石巻工場。
「この工場が止まれば日本の出版は終わる」という危機感と責任感から、
無謀とも思える「半年での復旧」を宣言し立ち向かう者たちの物語。
あまりにも痛ましい死者たちのこと。
世界のメディアに日本人の精神が褒められていた裏で起きていた闇の事実。
最悪とも思われる危機の中でのリーダーシップとフォロワーシップ。
この本から受け取った心の揺さぶりは本当に大きい。
本が好きな者として、出版に関わる者として、日本製紙の皆様に頭が上がらない。
もっと本を愛そうと強く思った。
そしてこの素晴らしい組織から学んだことを自分の立場で活かしていきたい。