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◆殺人出産・・・10人産めば、1人を殺してもいい。「産み人」制度なるものが定着し、挑戦する人間は崇められている。そして実は育子の姉も17歳の時に「産み人」となっていた。
◆トリプル・・・2人のカップルではなく、3人でトリプルとして付き合うことが普通になってきた現代。しかしその付き合い方は母親世代にはまだまだ受け入れられておらず、真弓の母は強い嫌悪感を示していた。
◆清潔な結婚・・・「性」をできる限り排除した結婚をしたミズキと信宏。しかし子供は欲しかったため、医療行為としてのセックスをさせてくれる病院に行った。
◆余命・・・医療が発達して、この世から「死」がなくなったため、人は皆、自分の死に方を自分で決めなければならない。私は「死亡許可証」を見せて薬局で即効性の薬を買い、飲んでから土の中にもぐりこむ。
以上4編の短編集。いずれも現実にはない、架空設定上の「性」や「生」の話。
どの作品も、絶対にありえないというか、普通には考えもしない概念の上に成り立っている話で、ものによっては(というか結構どの話も)、生理的嫌悪感をどこか感じてしまう。しかしどの主人公もその設定を受け入れており、読んでいてとても不思議な気分にさせられる。
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「産み人」になって10人子どもを産んだら殺人を犯してもいい。殺人が正当化されてる時代。
そんなの考えられないし、10人生み終えるまで殺意というのが続くのだろうか。
普通の日常の中で行なわれる違和感。
ホラーやサスペンスとも違う恐ろしさのある話だった。
他の3つの話も、そんな不思議な事が正常になってる日常。
インパクトがあり過ぎて忘れられない本になると思った。
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4編の短編集。どれもちょっと異世界な設定の話。何と言っても表題作の「殺人出産」が強烈だった。将来の日本では自然出産は無くなる。その代わり「10人子供を産めば人を1人殺してもいい」という人口の増やし方をする世界へと変化。もう、今の世界の常識だとか通用しない。とにかく気持ちの悪い世界観だった。途中で挫折しそうになりながらの読了。こんな世界が普通になったら、自分も何も疑いなく受け入れてしまうのだろうかと自問自答してみた。
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なんというか、「すごく変な人に会っちゃったよ…。」という感想。10人産めば一人殺していい、とか、3人でしか付き合ったことがない、とか、オシャレに死にたい、とか、留守番している仲良しの兄妹のように夫婦でいたい、とか、度々「…。」と本から顔をあげて窓の外を見て反芻してしまう。
さらに出てくる人はみんな「ふつう」で、それがよけい怖くてぐらぐらする。
自分の思考を支えている常識って、なんて脆いんだろう。
字面を追うだけでもシュールで面白い。けど後味は変な味。
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2014.10.13読了
生と性の倫理観が覆るような短編集。
「殺人出産」では、人を殺すために産む。殺人を犯したら永遠と産み続ける。こんな世の中嫌だなって思う。
いろいろなことが多様化していくと、こんな歪んだ世界になるんだろうか。
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ありえなそうだけどありえるかも…と、思ってしまう内容の短編集。10人産んだら1人殺してもいいという世界。カップルだけではなく“トリプル”という3人で恋人になる関係が容認されている世界。死に方を選ぶ世界。どれも、今の時代の問題を内包していて、いつかそんな時代がきてしまうかも、その問題に取り組んだ結果の答えがそうなのかもと思ってしまうのが怖いなぁ。生と性と死。突き詰めるとナマナマしい感じがするのだけれど、それをさらりと書いて読ませる村田さんの感性は好きかも。
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表題作と、他短篇3作を収録した作品。
「産み人」となり、10人産めば1人殺してもいい、殺人出産制度が認められた世界。
逆に正しい手続きをせずに殺人を犯してしまった人は捕らえられて、死ぬまで命を産み続けなければならない。
たとえ男であっても人口子宮を取り付けられ、帝王切開により出産する事になる。
恋愛の末に性行為があって命が生まれる…という考えはもはや過去のもの。
子孫を残すためには人工授精が一般的で、産み人ともなると神の様に崇められる存在に。
なんだか気持ちが悪いお話しでした。
私自身は子供は授かりもので、自然の流れで…という考えなので、赤ちゃんを量産する世界はとてもじゃないけど受け入れられないと思いました。
10人産んだ後に行われる殺人も、なんか不気味で怖かった。
短篇の「トリプル」も、3人で交際する事が主流になりつつある世界を描いたもので、
斬新な発想で面白くは読めました。
「清潔な結婚」は家庭内で性行為を排除した夫婦の話しで、これはちょっと笑えた。
「余命」はほんとに短い4ページのお話しで、これも生と死の概念が全く変わってしまった世界が描かれています。
世にも奇妙な物語を観た様な気分です。
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先日「王様のブランチ」に出演していた朝井リョウさんがお勧めしていたので、ずっと読みたいと思っていました。
今日駅前福屋で2時間ほど時間があり、ちょう読み切れそうだったので、読んでみました♪
「10人産めば1人殺せる」
聞いていたあらすじから、恨みとか復讐とかのストーリーを想像していましたが、
内容は全然違う感じ。
ある種哲学的でもありましたね。
朝井リョウさんが
「嫌悪感をもったら、ストーリーを読まない人が多いが、自分の価値観ではなく、それを受け入れて読むと、また違う感情が生まれる」
というような事を言っていたのが分かりました。
村田 沙耶香という作家のほかの作品も読みたくなりました。
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人口減少に歯止めをかける役割を担って、子どもを10人まで産み続ける"産み人"。カズオ・イシグロの「わたしを離さないで」で描かれた"提供者"に近い存在のようにも思えるが、その目的が"殺人"にあるという、また違ったザワつきを覚えさせる作品。ただ、印象は少々軽い。
ほかにも、男女の性を超えて、1対1の関係にも疑問を投げかける「トリプル」や、セックスと家族が完全に分離された「清潔な結婚」、積極的に求めないと死を得られなくなった「余命」を収録。どれも発想は面白いのだが、もうちょっと踏み込みが足りず、「トリプル」のセックスや、「清潔な結婚」の愛人との関係など、肝心なところに違和感が残る。とりあえず短編集用にストーリーをまとめました、という感じにもとらえられそうなところが惜しい。
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最初は恐ろしく感じたこの近未来的な世界も、最後ではこの世界とさして変わらない、むしろ今よりも理性的な世界なのかも?と感じてしまいました。10人産んだら1人殺していい。衝撃的な内容に感じられて読み始めみれば、なにが正義で何が正しいのか自分の価値観すら逆転してしまうような、強い印象を与えらえる本でした。生命は古代から命が入れ替わってつむいでいる。それがちょっと形を変えただけ。
面白かったです。
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タイトルも内容も衝撃的だったが、読み終えた後、冷静に考えてみて、「もしかしたら近い将来こんな世の中になっているかも・・・」と思い、身震いした。人の価値観や倫理って時代の移り変わりによって大きく変わる可能性もあると思いつつ、自分の子供達には普通に恋愛をして普通の家庭を築いて欲しいと思う。
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あらすじがおもしろそうだったので読んでみた。
10人殺したら1人殺してもいいという制度。
主人公の姉・環も「産み人」になった。
誰を殺すのだろう? と思ったら、えっ!! まさかの結末でした。
いわゆる「環が恨んでいる人」が殺す相手として選ばれたのだったら、納得がいくのですが、それだとありきたりの展開になってしまうかしら?
どの作品も設定は奇抜でおもしろそうなのに、内容がなく設定だけ? という感想です。
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殺人出産は、衝撃的な話だった。。
男も出産するってのが、もう不思議な世界だったけども。。
きもちわりーーー!って思ったのはトリプル・・・。
おええええー!確かに三人で暮らすのも、生活面考えたら
悪くないなあーとか思ったけど、あの性生活がきもい・・・。orz
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コンビニ人間書いた人の本。評価高かったので読んで見た。1時間で読める。
10人産むと人を殺して良い世界。
殺意が未来に命を繋いで行く
子どもを産むことの価値が今より少し高くなって、殺したり殺されたりすることの良し悪しも価値感次第なんだろうか。
100年で世の中の人が全部入れ替わることはないけれど、それぐらいで社会の価値観なんて変わってしまうのかな。
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トリプル、も、付き合うのはカップルでなくて、トリプルか流行りだってお話。
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一気読み!
★殺人出産 ★★★★
★トリプル ★★★
★清潔な結婚 ★★★
★余命 ★★★
の4つの話。
どれも、ほんの少しだけ現在その傾向があるかなと言う話からふくらめて、ものすごく奇想天外の発想で設定されている。
警告とも、課題とも…。
特に殺人出産は、面白く、考えさせられた。