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日本は人類史上初の少子高齢化社会を迎えている。それにともない人手不足問題が地方経済において顕著に現れ始めている。2013年10月の推計では高齢化率は25%を超え、少子化もまったなしの状態で進行している今、生産年齢人口が増加に転じることは考えられない。この現象は一過性のものではなく、日本の人口動態に起因する構造的な問題として対処しなければならない。
現在の日本の政策の多くは、人に余裕があるという従来のパラダイムで構築されたものであり、現在迎えている社会情勢との間に大きなズレが存在している。アベノミクスにおいても再び日本経済を勃興させようという絵空事のもと効果的ではない政策であるのが現状だ。
しかし日本のGDPの7割、雇用の8割を占めるのは製造業ではなくサービス産業である。サービス産業の大半は世界で勝負するグローバル企業ではなく、国内の地域をマーケットとするローカル企業が大半だ。グローバル企業は国際経常収等には貢献するが、海外での売り上げは日本のGDPにカウントされず、また上位数パーセントの知識労働者のみを吸収するので日本に大量の雇用を生むことはない。対してローカル経済圏では、顧客との密着レベルが効率を決定する「密度の経済性」が効く労働集約型産業なので、比較的凡庸的・平均的人材が求められ、幅広い雇用吸収力をもつ。つまり日本の経済を支えているのは非製造業を中心とした公共交通・物流・飲食・小売・宿泊・医療・介護といった地域の対面サービスであるといえる。
2つの経済圏が従来のような垂直の下請け関係だった頃と異なり、グローバル化によるG企業の海外移転が進みトリクルダウンも引き起こさない。つまりGとLは大きく異なる経済圏をフィールドにしているため、双方がそれぞれの領域で別の戦略を用いて生産性を上げていく必要がある。
そのためにG経済圏においてはグローバルプレイヤーが戦える環境をいかに整えるかが大切である。厳しい競争の中を勝ち抜く企業を生むことは、L産業の創出を生んだり日本のイノベーションへの大きな貢献となり得る。
対するL経済の問題は中小企業問題とも言い換えることができる。人手、需要、供給が減少する中で大多数の人々を抱える中小がいかに変わるかが決め手である。先述したように日本の雇用の8割は地域密着のL経済なので、大半の産業は裏を返せば顧客との密度、繋がり「密度の経済性」が価値を生み競争が起こりづらい。人手不足が深刻化している中で、生産性の低い会社が生き残る事はL経済の足を引っ張る大きな要因である。L企業の新陳代謝をいかに活性化させ、退出と集約による経営改善をしていくかは賃金上昇による労働市場の活性化にも期待できるL経済圏の伸びしろといえるだろう。こういった構造的な改革に加えて、ICT導入等によるテクニカルな労働生産性の向上や、地域金融の役割、規制や退出条件の緩和、コンパクトシティ化など賢い集約をキーワードとしてL経済を考えねばならない。多様な地域において無理ない収入を確保して生きていくことができる人間をいかに地域に増やしていけるかという所がLのゴールといえる。
私たちは実際問題GとLが交錯する���で生きるわけで、2つの領域どちらかの二項対立的な話でない両領域を選択できる社会をつくりだしていくべきなのだろうと感じる。
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世界の競合と戦うグローバル経済(主に貿易可能な製造業)と、地元住民を顧客とするローカル経済(主にサービス業)を分けて現状分析・今後の提言を行っている。グローバルとローカルをはっきり切り分けて、企業側・就業者側の視点で各々の進む方向性を示しているところが非常にわかりやすい。一方で「年収は住むところで決まる」で言及されたグローバル企業と地域(ローカル)の関係についてはあまり触れておらず、ローカルの人達はどこからお金を手に入れるのだろうという疑問はちょっと残った。
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著者は日本企業を大企業と中小企業という区分ではなく製造業を中心とした国際競争を行うグローバル企業と国内のサービス業であるローカル企業に分けて考えよとし、前者にむけて政策的には法人税減税、国際会計基準の遵守、企業経営は選択と集中などグローバルな基準に準拠して戦えと言い放ち、ローカル企業は労働生産性を上げて賃金アップが必須であり、それができない企業は退出せよと説く。
地方というと仕事がないと思っていましたが、人手不足が深刻とのことで、今後益々それに拍車がかかるようです。そして、それはこれからの日本全体の姿でもあり、これからの日本を考えるとても示唆に富む一冊でした。
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最近の冨山さんの著作の中では最もメッセージ性が強いと思う。僕自身も2005年くらいに、ベンチャー企業の育成をグローバルとローカルに分けていかないと原理が違うと考えていたことがあって、まさにそれをしっかり分析してる内容。
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加工貿易立国の時代 大企業、下請け、孫請けがあり、頂点が潤うと、下も潤う トリクルダウン
現在は大企業が生産拠点を海外に移した。水平分業化、モジュール化 トリクルダウンは起こらない
日本のグローバルプレイヤーが長期的に交代してきた本当の理由
日本企業の整理統合が進まない、多くお企業が過当競争、集約が進んだ海外起用に個別撃破される
利益率が10%を越える大企業は少ない ブリジストン、コマツ、信越化学、キャノンのい
事業環境や競争メカニズムの変化の中で、しかるべき事業と機能の新陳代謝を怠った
small but global No1 ファナック、マニー、ナカニシ、ハーモニックドライブシステムズ、浜松ホトニクス、ヒロセ電機、旭ダイヤモンド工業、日本セラミック、マキタ、日本電産リード、HOYA、日本電産コパル電子、シマノ、MARUWA、堀場製作所、ディスコ、日本電産、日本ガイシ、第一精工、THK、村田製作所、ウシオ電機
グローバル経済域で生き残るには、高収益と高成長の両立
高度人材の外国人の受け入れため インターナショナルスクールの整備必要 医療 公共インフラ
日本の企業 つくりこみ、すり合わせが得意 対価が支払ってくれないところに作りこんでもだめ
トップマネジメントの多様性に欠ける 社外取締役を増やす
セブン-イレブン 地域ドミナント出店
対面型サービス産業 密度の経済性が強く効く
密度の経済性が効く業種では空洞化はおこらない
淘汰が起きにくいローカル経済圏ではゆるやかな退出による集約化がポイント
日本の非製造業の労働生産性が低いのは、生産性の低い企業の淘汰が驚くほど進んでいないからだ
地方ほど、高齢化が進み、生産人口人口が減少。若者は東京にでるという選択肢がある。生産人口はますます減少
生産性の低い企業には、ゆるやかに退出してもらい、事業と雇用を生産性の高い企業に滑らかに集約すべき
正社員、年功序列という日本型正規雇用は、メンバーシップ型雇用の日本型大型製造業にしかフィットしない。ジョブ型雇用のサービス産業にはフィットしないので、労働者が非正規雇用化していく
病院は典型的なローカル経済圏の特徴をもつ
全国的な水平統合よりも地域内における垂直統合の方が効率的
退出のキーは地方金融機関のデッドガバナンス
地方の組成は、集約によるコンパクトシティ化と駅前商店街の復活
グローバル経済圏における製造業の労働生産性は高い。ローカル経済権威おけるサービス業の労働生産性が、アメリカの半分しかない
積極的に行動人材の外国人の受け入れは推奨
サービス産業に入る外国人労働者は、低層労働者が中心。日本社会との軋轢が懸念 ショックがおこるかも
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本書では企業をGとLという経済圏の視点で分類しているが、この考え方は企業内の業務にも適用できるなと思いながら読み進めた。
(最近社内でもグローバル、グローバルと本社の基準を適用しようという動きになっているが、実際のところ個々の業務は殆どLなんだよなと)
本書については、現場経験が豊富な著者だけに、主張が具体的で、かつ熱い気持ちが込められている。
今さら私が言うことでもないが、経営者や政策策定に関わる人達にこそ読んでもらいたい。
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地方創生に興味があり読んだ。冨山氏の経済戦略提案。非常に示唆に富んでいて、様々なアイデアが浮かんでくる。冨山氏の慧眼のその先に、日本社会がどうなっていくのか、いやいや私自身はどう足掻こうか。とても良い一冊だった。
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この分類方法で、色々理解説明しやすくなりました。
これからの国内外経済を予測するのに、一つの道標になります。
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目からウロコの本だった。
グローバル、グローバルと騒ぐけれども、確かに地方ではあまり関係のない話である。ローカルはローカル経済でそれなりにやっていければ良いものを、我々はついグローバルにあてはめて考えている。
無理に首都圏に出てこなくても、無理に英語を学ばなくても、地域に密着してローカル経済に貢献しながら暮らすという選択肢もあるのだ。オリンピック選手までいかない、「県大会」レベルの優秀な人達を地方で活躍させられるよう、国には制度等を整備してもらいたい。多分彼らもグローバルよりローカルのほうが力を発揮できて、幸せな人生をおくれるだろう。
地元の金融機関の存在は重要。そんなところで働く人生も悪くないと思った。
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内容について、100%の理解はおそらく出来ていないと思うが
新しい気づきや発見がいくつか得られたという意味で
少なくとも読んで損はしない本だった。
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グローバルとローカルに企業を分けて分析している切り口がとてもわかりやすい。人口減少に伴い労働市場も地方から縮小していく、している部分は示唆を与えてくれる。
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星5つ!ローカルとグローバルをごっちゃに考えそうな過ちをただす。グローバル経済と同じ素養ではを身の回りの実情と指針を見誤る。是非、一読をお勧めします。藻谷浩介デフレの正体以来、日本のおかれている状況を紐解いてくれました。二人の見解が同じというわけではありません。健全な異なる見解の間に学ぶべきものがたくさんあります。
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世界でトップを争うグローバル経済と地域密着・公共サービスを中心としたローカル経済に分けて成長戦略を考えるべきだと主張する。当たり前に思えていたけど、実際の政策議論では「トヨタは国内生産を減らすな」「地域密着型企業の海外進出支援」などちぐはぐなものが多いことに気付かされる。
それ以上に、「Gの世界」と「Lの世界」のあり方、経済のまわり方の違いがここまで大きいものかとはっとさせられた。キャリアデザインの上でも参考になるのでは。
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G(グローバル)とL(ローカル)を理解するための一冊。
両者は別物だと理解することから始まるわけです。
著者は学者ではなく、実際にGとL双方の企業経営に携わっていらっしゃいますので書かれていることの一つ一つに実体験に基づいた重みのようなものを感じることができる一冊です。
付箋は31枚付きました。
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トランプ大統領就任含めて、色々最近と起こっていることが点でばらばらにあったが、線で繋がったような印象を受けた。近いうちに再読したい。