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グローバル経済に注目しがちだが、実際はグローバル企業は例外的で、分散型のローカル企業が多く占める。
グローバル経済への対抗としては、里山資本主義は面白いがそのような条件がそろう事例は限定的だ。
ローカル企業が地域に還元することでローカル経済は循環する。
少子高齢化が進むなか、ローカル経済は人手不足状態だ。ローカル企業の労働生産性を向上させる。
ローカル企業を選別し、みこみのない企業には退出してもらう。
ローカル企業が効率化、集中することでローカル経済は活性化するとしている。
退出のめやすのひとつとして担保中心の融資から、銀行員の目利きに基づく融資に戻すという提案には非常に納得できた。
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グローバルと昨今叫ばれているが、実態経済はローカルでなりたっているということを説明した本。20170101
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経済政策を考える上で、過去にとらわれて実態に合っていないという指摘を読み、個人的には非常にすっきりした思いです。
マスコミで流れる企業のイメージはあまりに画一化しすぎていて、どうも実態と合っていないのでは、というのは何となく思っていましたが、理論的にとても整理されていました。
経済の考え方として、グローバルとローカルを分けて考える必要があります。
・Gの世界:製造業やIT産業が中心になる世界
基本的に「モノ」(製造業なら車などの有形物、ITんら情報などの無形物)を扱い、規模の経済性が効く、資本の集約性
・Lの世界:非製造業が中心、本質的に「コト」の価値(観るコト、運ぶコトなど)を顧客に提供、分散的な経済構造、対面サービス、同時性・同場性のある経済圏、密度の経済性、不完全な競争、労働集約性
これまでの加工貿易立国時代から時代が移り、両者の経済的な関連性は良くも悪くも薄くなってきているため、両者の考え方、政策も分けて考える必要があります。
一方のみを意識した政策を行っても、関連性がないためトリクルダウンも起きない。
だからこそ、政策を分けて考える必要があります。
「GかLか」の二者択一ではなく、両者は良くも悪くもあまり連関していないので、GはGとして、LはLとして、それぞれに最適な政策を選択・遂行しても、あまり矛盾は起きないのではないか
という指摘を踏まえ、今後の政策の推移を見守っていきたいと思っています。
<この本で得られた気づきとアクション>
・ローカル経済でできる方向性が見えた。それにふさわしい支援はできているか
・製造業の中でもグローバルを目指すものとそうでないものの区別はできるか、どの段階でどのような支援をできるのか。
<目次>
第1章 グローバル(G)とローカル(L)という二つの世界
第2章 グローバル経済圏で勝ち抜くために
第3章 ローカル経済圏のリアル
第4章 ローカル経済圏は穏やかな退出と集約化で寡占的安定へ
第5章 集約の先にあるローカル経済圏のあるべき姿
第6章 GとLの成長戦略で日本の経済・賃金・雇用は再生する
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「GとLの経済成長戦略」というサブタイトルを持つ本書では、二つの経済はそもそも別のものであるとした上で、それぞれに応じた具体的な成長戦略を説く。
グローバル経済と地方の経済は分けて考えた方がいいというのは、そのとおりだろうし、個々の成長戦略の説明も説得力があるように思える。
ただ、ふたつの経済の関係性が、まったくないというのは、本当にそうなんだろうか。
そこのところが最後まで釈然としなかった。
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★2つの世界の切り分けに納得★目にする地方経済の現状と、国やメディアが騒ぎ立てる経済のグローバル化といった話の距離にずっと違和感を覚えていた。世界の距離が近づき日本の生産年齢人口が減っていけばこれまでと同じ処方箋では対処できない。世界を2つに分けて考えるべきだという指摘はすごく腑に落ちた。
「モノ」を中心に立地を問わず世界の(ニッチな分野でも)チャンピオンにならなければ生き残れないGの世界と、その場でしか成り立たたず人手のかかる「コト」のLの世界。かつての日本を支えていた加工組立の中小企業は、世界との距離が近づく中でGの世界でしか生き残れない。Lの世界は地方だけでなく流通・サービスにも当てはまり、いい意味でそこに地方のヤンキーが生き延びる余地もある。どちらがよいではなく、異なる世界が併存する。
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ローカル(L)の世界とグローバル(G)の世界に分けて政策提言.グローバルとローカルは格差ではなく選択の問題,そこに序列はないという考え方には納得.ただ両方を見て選択できる人は限りがあるのではとも感じた.里山資本主義と合わせて読むと理解が進む.
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日本の経済力という面を考えるとき、グローバルな企業の競争力ばかりに目が行くが、実際にGDPと雇用の多くを占めるのは、地域に根差したローカルな企業である。グローバル経済とローカル経済とではそこに働く力学が大きく異なるため、それぞれについて正しい見方をする必要がある、というのが本書の骨子だ。二つの経済の大きな違いは、「規模の経済性」が効くグローバルと「密度の経済性」が大きな意味を持つローカル、ということができる。
グローバルで競争する企業は、グローバルで「規模の経済性」を得るため激しいシェア争いを勝ち抜くことが必要であり、そのために経営者は正しく経営資源を競争優位性を持つ事業に集中させることが必要となる。電機メーカーをはじめとする日本企業はこの選択と集中ができずに不採算事業とともに沈んでいった企業が多かったと指摘する。日本政府のこのフィールドでの役割は、そういったグローバル企業が競争しやすくするための規制緩和を徹底的に行うことである。
課題となるのは優秀な人材の育成や誘致である。著者は、グローバル企業が活動する理想の場としてシリコンバレーを念頭においている。グローバルな競争においても起業が重要で、その数を増やすために、優秀で高い意欲を持つ人にとって起業することが有利となるような社会になるべきだと考えている。著者はよい傾向にはなっているとして、「東大を出て日本の安泰な企業に行きたがるのは、東大の中では二線級の人たちだと言われるようになった」という。こういった人材がいったん外資系コンサルファームに行き、その後若いうちに起業するものも多くなっているという。著者は自らの成功体験を背景にした高いエリート意識を隠さないが、優秀なトップクラスの人間はグローバルで勝負をするべき、という発想がある。
一方で、これからの日本はローカルをどのようにしていくのかが国家としてはもっとも重要な事項となる。これをグローバル企業の競争モデルと混同してはいけない、というのがこの本が他の類書とは異なる主張をしているポイントだろう。ローカルにおいては集約化と穏やかな退出を可能にするための規制作りが重要事項となる。グローバル企業の最重要KPIは資本効率性で、ローカル企業の最重要KPIは労働生産性であるという指摘がそのことをよく表している。
バス運航事業などのローカルの事業体では、競争事業者は実質上存在しない。グローバルな事業とは異なり、営業地域が異なるバス会社同士は、同じ事業を行うにも関わらず、互いに競争関係にはない。そういったローカル企業の例としては、他にいくつも挙げることができる。例えば、地方のケーブルテレビも同様である。そのようなローカル企業の場合、経営の良し悪しはオペレーションの効率性に依存する。しかし、ローカルにおいては競争がないから効率性が悪い企業もブラック企業として生き残れてしまう。それは国家にとっても地域社会にとってもよくないことである。この解決策として、サービス業の最低賃金を上げることで、効率性の悪い企業が音を上げて効率性のよい企業や経営者に任せるところまでいかせるべきだという。同時にその���きは、ソフトランディングが可能なような規制を整えることが必要であるという。地域交通機関、医療介護、保育といった公共サービスにこそこの考えが当てはまる。補足として、信用保証制度による過大な債務規模が、これまで一生懸命に中小企業をつぶすまいとしてきた結果であり、つぶれるべき企業が生き残っている状況が作り出されている証拠でもある。
著者は、地方ではコンパクトシティ化を進めることを説くが、これは集約化であるとともに限界集落からの退出をどうやって穏やかに進めるのかという話である。鉄道の駅と主要バスターミナルの駅に駅前商店街を復活させることで、モビリティの問題なども解消する(バス会社も効率的になる)。冨山氏は、みちのりホールディングスという東北・北関東地方を中心としたバス運営会社の経営者でもある。地方では雇用はなくなっていくのではというイメージがあるが、実際には地方から先に人材不足が始まっているという。実際に、みちのりホールディングでも常にバス運転士の不足に泣かされているという。その上で、人手不足対策を「労働生産性の向上」「女性と高齢者の活用」「外国人の雇用」の順番で考えることが重要であると指摘する。日本社会のシステムは移民に対しては脆弱であるため、むやみに外国人の受け入れを進めるべきではないのだという。
著者は多くの企業再生に携わったが、旅館街の再生の話など印象深いものがいくつもある。カネボウやJALのリストラでは、人員整理に手を付けることに対して躊躇はなく、実際に多くの社員が再就職できたという(実際にリストラに会った人はこれを読んでどう思うかというのは気になるが)。一方、ローカル企業においては、地域に根ざすその人の人生が破綻しないようにものすごく気を遣うことになったという(この時点ではまだ地方でも人余りの問題があった)。また、日本の大企業の企業再生に関わった著者の指摘する日本企業の問題点としてダイバーシティの欠如を挙げていることが印象的である。「地頭が良い、地頭が悪い、知識がある、知識がないということで、意思決定を間違える企業はほとんどない。ガバナンス上の大きな過誤は、ほとんどが人間の性から生まれている」というのは、グループシンクや過度の忖度などが大企業の中で生じがちなことから示唆的である。
この本を読んで気が付いたことのひとつは、通信事業者というのが極めてローカルの世界のビジネスであるということだ。技術がグローバルになり、端末も世界で売られているものと同じものとなり、インターネットというグローバルな世界との接続を担うことからグローバルの世界のビジネスをしているのかと無意識には思っていた。しかし、競争環境という点を見ても、Verizonやチャイナテレコムと直接競争するわけではないということからもわかる。そうやって見ると、違ったふうに見えることもあるかもしれない。その意味でも役に立ちそうな本である。
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アメリカ大統領選で、トランプ氏が勝利し、いろいろと考えているときに、著者の冨山和彦氏のコメントが非常に参考になったので、本を読んでみました。
これもkindle版で読み上げさせています。
結構経済系の話は好きで、経済学系の本を読んだもしたし、新聞は日経新聞で、The Economistを定期購読していたこともありました。
しかし、今まで読んでいた本は全てGlobalな展開を目指す経済で、日本のGDPの7割を占めているLocalな経済のことなんて、まるで考えたことがありませんでした。
なんて片手落ちだったんでしょう。
イギリスのEU離脱、アメリカの大統領選など、自分の常識と異なる結果が出たことに驚いた人には目からウロコのお勧めの1冊です!
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vol.289 成長戦略は本当に機能するのか?日本の未来の行く末が書かれた書。
http://www.shirayu.com/letter/2015/000585.html
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日本の現在の状況と、将来的な予想について述べている本。
以下、気づき。
○ 「既得権」っていう言葉をあちこちで目にするけど、つまり、変わることを恐れて次のステージに行けない人が、今持っているものにしがみつくことを言っているのね。
「変わらずにいる権利」っていうのもあるけど、生き物としては、環境の変化に対応できなきゃ死ぬだけだよね。
自分の持っているもので、何が本当に譲れないもので、それを持ち続けたいならどんな戦略が必要なのか考えないで、誰かに守ってもらおうとするだけじゃダメじゃないかと。
でも 、変わるためにはエネルギーが必要で、エネルギーを蓄えることができて、失敗してもホームレスにならなくていい社会が無いと、当然リスクの高いことには挑戦できないっていうことか…。
○「昔からある」っていう理由で使われる「昔からある」の理由を考えないで踏襲するのは、ただの思考停止なんだなぁ…。
○少子化時代には、企業と同じように大学も外国籍の学生にとっても魅力になっていく必要があるということなのか。
その方向で成功した大学に入るということは、大学時代から外国籍の人との関わりが増えるということだ。
北海道にいると感じないけど、外国籍の人は国内に徐々に増えている。そういうことも生徒に伝えないと。
○少子化による人手不足は、もしかしたらブラック企業の撲滅に繋がるのか?
「お前が辞めても代わりはいくらでもいる」なんて言えない時代になるんじゃないのか?
バス会社がすでにその道を歩んでいるよね。
○人手不足になるということは、今の中学生が大人になる頃は就職難なんて無くなってるんだ。むしろ、外国籍の人を雇うより日本人の方がいいと思うような企業は、囲い込みを始めてるということか。
外国籍の人を雇った方がいいと思われるような業種には就職できなくなるっていうことは、たまに生徒に伝えていたけど、もしかしたら、日本政府はそこまで外国籍の人に魅力ある条件を提示できないかもしれない?
つまり、私が予想していたような、外国籍の人に囲まれた生活じゃなくて、本当に人が減って過疎化するのかも…。
札幌市の図書館で借りた本。
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経済学的には、好景気だから人手不足、不景気だから人余り、なのに景気停滞の今人手不足…
少子高齢化時代の今、従来と異なる経済環境を経験している。団塊の世代の大量退職から、あと20年間は続くであろう極端な少子高齢化とこの人手不足の問題にどう対処するか?まもなく日本と同じ少子高齢化問題を迎える他国のお手本となる対処法を構築できるか?日本の腕が試される。対処法の糸口として、大企業と中小企業ではなく、グローバル企業とローカル企業に分けて考えることを推奨した本。モノを生産するグローバル企業に見られるのは資本集約型であり、サービスを提供するローカル企業に見られるのは労働集約型であることを考えると、国の支援の仕方は後者を軸にしたほうが効果的だと思われる。国を支える労働力をサポートするには、ローカル企業が健全に経営できる環境を整えることが大切だと改めて思う。
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こういう方向には進んできてない。言ってることはすごく私の実感にあう。でも。たぶんこうはなかなかいかない。なんだろう。
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GとLという経済の分け方は非常にしっくりときたし、これまでごちゃごちゃにして考えてきたが故に整理できなかったことが整理できるなと思った。また、世界の流れとしてはGのイメージが強いが、Lの経済における問題の大きさに気づかされる。
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ローカルとグローバルの話が中心。労働生産人口、少子化、雇用問題、移民政策、サービス業の人出不足等、範囲が広くなってしまう内容。
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「地方消滅」のおさらい的に。人材と同様、グローバルの標準的なルール(オリンピック)で戦う会社と、ローカル経済で戦う会社のルールはおのずと異なるので、きちんと峻別して運用しましょう、という本。納得です。