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ハーロウの文献を読んだり発達心理学を学習する学生にとっては必読書であろう。専門知識が不要なので、教育心理学の教職科目としても読める。
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保育士試験のための勉強でハーロウのことを知った。試験が終わってから読み始める。
彼のアカゲザル実験については、当たり前のことを確かめるのにかわいそうな実験をと思ったものだが、この本によると、当時は愛着の存在が科学で認められておらず、そのため養護施設や病院では子どもを隔離、他者とのふれあいを制限して育てることが多かった(感染症予防の目的もあったらしい)とか。ふれあいの必要性を現場の人間が訴えても、「根拠がない」と一蹴されていた。なんてことだ!
つまり、ハーロウの実験は必要があったのだ。
この本では、当時の心理学の状況を踏まえた上でハーロウの研究を説明し、その後の心理学や養護の問題に与えた影響、動物愛護やフェミニズムとの対立、またハーロウ自身の曲者エピソードまで触れている。
長い本だった。けっこう時間がかかったが、読んでよかった。
保育士試験について、「昔の人名や研究なんて、なんの役にも立たないことをテストにするより、今すぐ役に立つことを問え」という意見をいくつか聞いたが、研究の変遷についての理解は必要だと思う。そうでなくては、今常識と思われている知識についての敬意ももてないし、またときには常識を疑うべきという意識ももてない。まあ、本当は論文まで目を通すべきかもしれないが、今はそこまで根性がないので、もう少し心理学関係の本を読んでみたい。
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愛の測り方、ではない。愛を科学で測った男、である。その男、ハリー・ハーロウは、正直なところお近づきになるのはちょっとはばかられるような人ではあるが、子どもは母親からひきはなして育てるべし、とされていた時代に、いや、やっぱ愛でしょ、とサルをつかって母子の愛情についての実験を繰り返す。針金でつくった母親で育ったサルは荒んでしまう。布に顔がついた母親ならだいぶ愛着をみせるけれど、結局抱きしめても抱き返してもらえない関係ではいつかおかしなことになる。
母子の愛は時として新しく出てきた男によって子殺しにつながることが今でも見られる。しかし男だって愛情の役に立つ。この主人公も男であり、離婚、再婚、死別の後に元妻と再婚。愛情は誰にも大事なのだ。
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素敵で読みやすい文章。
人は愛されて愛を知る。そんな当たり前の事が、科学で証明されなければ受け入れられない時代もあったのかと、そっちに驚いた。