投稿元:
レビューを見る
世の中にはいろいろな正義がある。貧しい人を生活保護で助けるのが正義なら、増大する社会保障費を抑えるのも正義だ。原発は危ないから廃止するのが正義なら、原発を稼働させて電気代を下げるのも正義だ。
問題なのは、それぞれの正義に優劣がないことだ。絶対的な正義のヒーローは子供社会にしか存在しない。大人たちは自分の信じる正義に反対する「バカ」とどうやって共存し、理解し合うのか。自分の考えと異なる正義とある程度の妥協をすることが大事だが、ややこしいのは正義の裏に「不愉快な事実」があることだ。
著者は、NGOによる難民への人道支援を一例に上げる。援助物資を届けるNGOの裏にはスポンサー企業がいる。NGOはスポンサーにアピールするため、報道機関と交通機関が整備された土地でしか活動しない。さらに五体満足な難民たちより手足のない子供がいる難民たちへの救済活動のほうがアピール度は高い。その結果、支援は偏ってしまう。
こうした正義の裏を知りつつ、「バカ」にならないよう努力しようというのが著者の考え。
投稿元:
レビューを見る
著者が広く深い示唆で世界や日本の諸問題を分析してるのは分かった。ただ、なにを大事にしどう考えているのかという根本的な考え方が理解できなかった。
投稿元:
レビューを見る
今年のわたしのヒットですね。
限られた文字数の中でとても綺麗にまとまっている本。
進化論や経済行動学をベースに、この世の中の事柄を斜めからみたご意見が詰まっています。
普段何も考えずにニュースを鵜呑みにする方たちには目から鱗ってやつかなと思いますが、そもそもそういう人はこの本を手に取らないかな・・
独断と偏見がありつつも、同意できることもたくさんあり、著者の博識の素晴らしさを感じます。
わたしもバカになりたくない、バカから脱したい。
歴史をあまり知らないわたしにとって、とても良い本でした。今のわたしのミッションに必要な知恵をたくさんもらえたと思います!
投稿元:
レビューを見る
週刊プレイボーイ連載のエッセイ集。
日常の諸々をちょっと視点を変えて、あるいはちょっとじっくり向き合って考えてみたら…という中身。
投稿元:
レビューを見る
橘玲の本はこれで3冊目になる。いずれも、世の中、社会の出来事を冷静に、多面的に、そして歴史や人間の精神構造にも踏み込んで分析をしている。昨今のマスコミ報道では、常に正義を振りかざした感情論が中心となり、そのことを喜んで見てしまう自分にいつも自己嫌悪を感じているので、橘氏のこのような本を読むと、様々な社会での出来事の本質がわかったような気がして、少し自分が成長したような気になる。
何が正しいのか、正解なのか、もしかしたら自分の考えも、様々なバイアスがかかって、いわゆる本書でいう「バカ」な人の考えになっていないか・・・読了後そう思わざるをえない自分がいた。
投稿元:
レビューを見る
この本にとっての「バカ」とは何なのか?
冒頭には『ファスト思考しかできないひとのことです。それに対して賢いひとは、訓練によってスローな思考が身についています。』とのこと(P.18)
つまり、短絡的に『良い』『悪い』を決めて、その先や手前にある事情や背景から『必要悪』や『偽善』、『その未来にある合成の誤謬』を見抜けない表面的な大衆層に思う。
本書は「週間プレイボーイ」に連載されたコラム集なので、最近の話題が多く掲載されています。
・浦和レッズの横断幕問題(Japanese ONLY)
・ブラック企業
・ゴーストライター(日本のベートーヴェン)
・フェアトレード
・体罰からの自殺
最近はネット、雑誌、テレビ…新聞ですらファスト思考になってきている。
情報を受ける側の大衆は、ニュースなど記事タイトルを流し見するだけで本文まで辿り着かない時代。
刺激的なタイトル、過激な内容、行き過ぎな方向にメディアが向かうのはファスト思考の現在では当たり前な結果なのかもしれない。
最後にある「あとがき」にはこうあります。(P.234)
『私たちの社会には複数の「正義」があります。正義とはひとびとが直感的に「正しい」と感じるものですから、それぞれの正義は対等で優劣はつけられません。』
『ほとんどのひとは、自分の信じる正義こそが、絶対唯一のものだとかたくなに信じている』
そんな著者ならではの、「できるだけ自由で、できるだけ平等」なコラム集に仕上がっています。
※著者の出した思考や結論もまた唯一絶対のものでもありません
投稿元:
レビューを見る
最近ハマっている橘玲さんの最新作、作者流徒然日記というべきか。週刊プレイボーイのコラムをまとめたらしく若者向けで、私からから言うと「それを言っちゃおしめいよ」的な内容ですね。
投稿元:
レビューを見る
乱暴なタイトルですけれどね。この人の本って書かれている内容の割に語り口が優しいのよね。話題になったニュースが取り上げられてるのは週刊プレイボーイ連載のコラムだったからか。
なんだか聞いたことある話があるなと思ったら、ちょうど読んだばかりのコナー・ウッドマン『フェアトレードのおかしな真実』やリンダ・ポルマン『クライシス・キャラバン』が参照されている。話題の元ネタを既に読んでいると、あれ、これブックガイドだったっけ?とも感じられるが、ははあ、こういうふうに人に伝えるわけだなということを知る。
投稿元:
レビューを見る
好きな作家さんのひとり。
2012年から2014年までの時事問題について書いたエッセイ集。
以下は気になった点です。
●速い思考(直感)と遅い思考(負荷の高い思考)。
本書のテーマになっています。遅い思考の大切さ。
●正義の種類を現在の政治に当てはめた考え方や、日本という国の成り立ち、また宗教の歴史をわかりやすく書いています。
●人類史上、日本人が唯一成し遂げた凄いこと。
それは文明の逆転化(ガラパゴス化)。
16世紀の長篠の合戦で大活躍した鉄砲。日本が鉄の産地で、しかもきわめて高い冶金技術を持っていた。当時は世界でも陸戦だけで言えば大規模な鉄砲隊を使った最強の軍事国家。
ところが、江戸時代から明治維新に至るまで鉄砲をほとんど使用していない。士農工商という制度により武士道を守るために、文明の利器を捨てた。
●グローバル社会と既得権のせめぎあい。
正しいとわかっていながら、前に進まない理由は既得権が邪魔している。いくら正義と言えども、自身を犠牲にはしたくないという事実。ほとんどの問題の原因はこれ。
●日本の自殺率は、人数との対比で言えば1900年の頃から変わっていない。もともと悲観的な人種なのかも。自殺率は欧米に比べアジア圏は軒並み高い。
●フェアトレードコーヒーの不愉快な事実。
●ルワンダ虐殺の複雑で不都合な真実。
世の中には耳障りの良いストーリーや情報がたくさんあります。ただ、その裏側を知れば何も考えずにこれいいね!とは成り得ません。著者がこの本で言いたいことは、直感も大切だが遅くて深い思考も大事にせよということでしょうか。
投稿元:
レビューを見る
【こんな方にお勧め】
非難の応酬に嫌気を感じている方
発展的な議論にならないことに歯がゆさを感じている方
【お勧めのポイント】
最近の事例を基にバカが多い理由を説明している点。
うなづく点が多いです。
投稿元:
レビューを見る
○作家の橘氏の作品。
○最近の社会問題をテーマに、「バカ」とは何か、また、それを生み出しているのは何かについて、哲学から政治、経済といった様々な立場から論じた作品。
○ストレートな表現と、論理的で緻密な分析が読んでいて心地よい。
投稿元:
レビューを見る
紛らわしいがタイトルと内容は全く関係がない。週刊プレイボーイの時事ネタ連載を一冊にまとめた本。著者が流行りの本をよく読むようで、ネタ元が分かりやすい。最後のシエラレオネの話は面白かった。ただこの著者の本は新作を出すたびに内容がどんどん薄くなっていく。多作なので仕方ないと思うが、もう今後は読まないと思う。
投稿元:
レビューを見る
今迄の橘玲さんの作品と比べると経済学とはあまり関係ない様な時事ネタ、政治ネタをシニカル且つ上から目線で論じたトピックが多いです。ネットでいう”炎上商法”目的で書かれたのか疑ってしまう内容です。EPILOGUEでの”人道支援ビジネス”は橘さんらしい視点でのお話だったのですが。。。
投稿元:
レビューを見る
時事問題を扱う本は、急いで読まないといけない。話題が既に古くなったり、次の展開になっていたりするのを、予測で滔々と語っている部分がズレていると辛くなる。
雑誌の連載記事だったと後書きにあって納得。話題が次々に飛ぶのはそういうわけだ。
投稿元:
レビューを見る
週刊プレイボーイ連載コラム、2012.11-2014.5。バカとはファスト思考しかできない人。賢い人とは訓練によってスロー思考が身に付いている人。スロー思考は負荷が高いため、問題を無視するか、ファスト思考で解こうとする。
ノウハウとしてストーリーやわかりやすさが教えられているけれど、根本はちゃんと理解しておけよ、ですね。