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生き物本の面白さは人だ、と常々言い続けているが、タイトルまで「奇人」である本書はその点を極めている。
けれど、多くの生き物本著者は、その暴走っぷりを、いわば「SNSに載せるため」的なリア充変人だった。本書は違う。著者には、生き物しか、いなかったのだ。だから、その両方が濃密である。
かのブッチギッた名著「アリの巣の生き物図鑑」の共著者である、と言えば、わかるひとにはわかるだろう。
人と、人の周辺を描くのが文学だとすれば、この本は文学作品でもあろう。生き物と人のどちらも好きな僕にとって、この上ない娯楽に満ちた本である。生き物と人、本が娯楽、それぞれ異論もあるだろう。だがいいのだ。
どうしよう、どこを何度読んでも愉しい。