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今や日本を超え、世界的経営者となった孫正義氏の、生い立ちから両親、祖父母の血脈、どのようなバックボーンが稀代の経営者の人格形成に影響を与えたかなど、綿密な取材に基づいた作者渾身の一冊だと感じた。
「孫正義という人間は何となくうさんくさい」という、作者の目線が、批判でも賞賛でもない独自の深みを醸し出しており、また私が今まで抱いていた孫正義氏のイメージとも重なっていたことから、最初から最後まで興味を持って読むことができた。
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筆者が前にですぎ。興味深いエピソードがいくつかあってよかった。綿密な取材やご立派な矜持、思想は良いが、この手のノンフィクション本では作者自らそれを訴えるのはいかがなものかと。
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佐野さんが書いた本ということで読む。少々他者とのスタンスの取り方を入れ込みかな?的感はあったものの、ドキュメントとはこう取材し、紹介するものだと改めて感じた一冊。
私は孫正義さんが好き。
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孫正義のルーツを探る。
生臭い話があって、ただの英雄譚ではない。
こんな人間にはなれないなと。生きてきた人生、ルーツが違いすぎる
共感できることが少なく、嫌悪感も少しある。
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在日でありながら日本一の金持ちになった実業家・孫正義の一冊。
これまでの立志伝とは違い、在日であることにスポットを当てているので彼の生い立ちや、彼の両親のルーツに迫っている。
ソフトバンク創設後以降の記述が淡白なので、それを期待するものにはお勧めできないものの、彼のルーツを知ることができて面白かった。
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佐野眞一と言えば、数年前、橋下徹をハシシタと呼び出自を侮蔑する事で悪名を上げたが、本来はバリバリの実力派ルポライターで、私は里見甫を取り上げた戦前の満州阿片利権の書により、彼の取材力の高さ、その魅力に取り憑かれた。その彼がハシシタ騒動以前に書き上げたのが、この孫正義伝。ライター大御所としてのプライドもあろう、他の著者による孫正義伝の取材不足を折々引き合いに出しディスりながら、如何に自分が優れたジャーナリストかを誇示する様はやや興ざめではあるが、しかし、実力は間違いない。孫正義が育った部落の航空写真を手土産にするなんて所作は、一流商社マンでも中々思いつくまい。彼の垣間見る我欲の強さは、これは取材への厚かましさ、執着心に繋がり、だからこそ読み手の目を楽しませてくれると考えれば、多少の傲慢さなどご愛嬌である。
さて、孫正義であるが、出自や発想の独創性、それに加えた本心が見え難い部分も助長し、アンチも多い。本著でも佐野眞一が何度も、いかがわしさという言葉で評しているが、つまりは、孫正義自身の腹の中が分からず、どうしてもビジネス優先のコマーシャリズムに通じて、彼を見てしまうのだ。ズバ抜けた行動力が、却って浅薄な動きにも見えてしまい、情緒が落ち着かないような印象を残す。こうした道理で、いかがわしさを生むのではなかろうか。しかし、本著で西和彦(元アスキー社長)が語るように、そもそものスケールが違うのだから、我々には理解できぬ部分はあるのだろう。
後半、著者により書かれるが、本著は、孫正義の家族を掘り下げての在日の生き様を描く事にも主眼が置かれている。正直、孫正義の家族の表し方は、遠慮なく、語られる本人が不快に感じる箇所も多いだろう。全然関係のない私などは、迫力のある取材に興味をそそられるが、やはり、この手法がハシシタ騒動の序曲となった感は否めないのである。
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在日への差別や、孫正義のルーツ、そして筆者の癖の強さが伝わってきた。
日本の歴史について、学び直すいい機会でもあり、実際に東日本大震災を福島で経験した自分だからこそ、なにかできることがあるのではないかと、強く感じさせられた本だった。
孫正義の正直な、そして、好奇心旺盛で行動するが、ダメだと思ったらすぐに引き上げられる部分は見習っていく部分であると思った。
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この本で読んでふと思ったことは、
孫正義と言う人は、
自分が在日であることに、
異常なまでの「コンプレックス」を抱いて生きているんだな思った。
また、その「コンプレックス」を隠すのではなく、原動力としている。
原動力というか、感謝といっても良いと思う。
少なくない人間が様々なコンプレックスを持って生きている。
それに押しつぶされてしまう人もいれば、それを利用して逞しく生きる人もいる。
負の感情というのは、利用次第では、爆発的なエネルギーを生む。
孫氏がITにこだわっているのも、その世界に差別がないからだと思う。
個人的には、「何かを継続すること」にも、コンプレックスが深く関わっていて、
その葛藤なしに何事も達成できないかもしれないと思った。
佐野氏の筆致が、余計、孫氏のこれまでの「生き方」の凄みと、
その負の面を喚起させる。もし、自分なら、佐野氏を名誉棄損で、
訴えると思う。
ただ、その孫氏は、自身の境遇に、
「感謝してます」と言ってのける。
これが、凡人と超人の差だと思う。
見下せれ、差別され、泥水をすすってきた幼少時代、
今でも、陰口を言われるが、何とも思っていない。
凄い人間だと思う。
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言わずと知れた有名人、孫正義の生い立ちからいまに至るまでを、本人、家族等に取材し、書き上げたルポ。
孫正義にも、ソフトバンクにも正直あまり興味がなかったのですが、好意的なイメージよりは、胡散臭い、ネガティヴなイメージだったので、ちょっと彼に関する本を読んでみようと思い。
以前、どこかで「おすすめ本」として紹介されていたのもうっすら記憶にあったので、本書を読んでみることにしました。
しょっぱなから、「本当!?」と訝しんでしまうような情報が次々と紹介され、面白くて惹きつけられる反面、読むのにすごくエネルギーを消費したように思います。
孫正義は「在日」であることのコンプレックスを力に変えて、がむしゃらに突っ走って来たのでしょうか。
以前は氏の「日本が好きだから」を胡散臭く聞いていましたが、本書を読んだ後では、なんとなく、本心であるような気がしてきました。
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2014年刊(底本2012年刊。週刊ポスト連載初出2011年)。
解説は、著者の本件取材の協力者たる安田浩一。
「孫正義伝」と銘打たれると内容との間に多少の乖離を感じてしまう。すなわち、本書は在日朝鮮人三世の孫の出自を定点に、彼の家庭環境の実、家庭環境を基礎づける両親や近親者の境遇、幼少期の孫自身の生活環境を描き出すことで、稀代の起業家孫正義の背景を開陳してみせる書だ。
戦後日本の在日朝鮮人の生活環境ということをテーマにした時点で、著者お得意のアンダーグラウンドに叙述の焦点を合わせられ、これが本書の強みである。
つまり、本書は「孫正義」を素材にした著者の戦後在日朝鮮韓国人問題へのアプローチと捉えた方が相応しい。
具体的に言うと、貧困、社会上昇に関するガラスと可視化できる天井、小規模金融業に遊戯業、炭鉱労働生活と実にらしいテーマで叙述される。
そして、ここから炙り出されるのは、在日朝鮮人への差別待遇とそれが極北化した現在のヘイトの愚。それらへの孫自身の静かなる反骨に加え、既得権障壁への激越なる反発。
他方、日本国民としての自負を殊更行動で示そうとする悲哀だ。
そういう意味では、正義よりも一層辛酸を舐めた孫の父安本三憲の生き様の書との評も的外れではない。
最後に孫の逸話からは離れるが、「独裁政権が革命政権を恐れるように、エスタブリッシュメント…既存勢力は自分の地位を脅かす情報革命を基本的に歓迎しない」。
しかし、「皮肉なことに、その保守性が結果的に社会の片隅に生きる無名の人々のひたむきな努力を保護してきた」という既存勢力優遇の愚賢両面を記した箇所である。
この著者の見解の当否は置くが、おそらくは孫を含むマイノリティに対するヘイトを助長する情報革命の負の側面を念頭に置いたものというのは間違いなかろう。
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値が上がるとヤフーの株を売ったり、下がると買い戻したり。一方で巨大ソフトバンクグループを率いる孫正義。
このずるい手法を用いる一方で、抜群の成果を上げてきた孫正義はいかにして生まれたかを深く解き明かした作品。
川の氾濫で糞尿が浮くような豚小屋で育ったも同然な孫の出自を丹念に取材。これまでの軌跡を明らかにした。
氾濫時には膝まで水に浸かりながらも孫正義は勉強したいたとか。
人を果物ナイフで刺すほど気合の入った口がひたすらに悪い父親や、小学校時代の孫正義のませたポエム。
入院中には本を3千冊読んだとか。1日10冊ペース?
周囲に気を配るリーダーの中学時代。ビジネスを興そうとする高校時代や、ビジネスについてひたすら父親と議論していたエピソードや、喫茶店経営にも孫正義のコーヒー無料券で成功に至ったケース。
たしかに片鱗を感じさせるエピソードばかりだった。
頭がいい、人間味がある。そしてちょっとずるい。
原発既得権益者に喧嘩を売り、NTTにもケンカを売る。
めっちゃ面白かった。
孫正義の人間性が好きになると同時に、佐野真一さんもすげえと思った。
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孫正義がどのような環境から、巨大な企業のトップになったのか。普通に興味があるし、面白い題材だと思う。けど、著者はそのキャッチーな題材を利用して何か自分の話したい話をしたいんですよね、という本、なんかもったいない。
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ノンフィクション作家の大御所、佐野眞一が書いたソフトバンク
の孫正義の生い立ちや両親のルーツを書いた本。
「週刊ポスト」に連載されていたものに、大幅加筆したもの。
孫さんが佐賀の鳥栖駅前の朝鮮部落で育った事や、その環境の
凄まじさ、幼少期からの天才ぶりなど、読みどころは多い。
ただ佐野眞一さんが孫さんに敵意を持っており、タイトルのあんぽんも孫さんの日本名「安本」を侮蔑した呼び方だったり、無駄に扱き下ろす描写が多い。
というか佐野さんの本は面白いものも多いけれど、いつもちょっとくどかったり人間性にクエスチョンなものも多々あったりなのだが・・・。
「そこそんなに細かく調べなくていいから」とつっこみたくなる炭鉱の部分とか、終盤グダグダだったりとかしょうもない部分もあるが、孫正義氏に興味のある人は読んでみる価値のある本だと思います。
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おもしろかった。
黒澤映画の「羅生門」のような話で、語るヒトによって、同じ内容がこうも違うのか...ということを痛感させられた。
個人的には、中国韓国日本は、どこかでつながっていて、いろいろな諸問題は、磁石の+と+のようなものだと思っている。
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・父は孫正義を社会の子として扱う
・出自からして差別部落で育ち、
・あえて周りに隠さず韓国の孫の苗字で勝負し、
・病床の頃は3年間で3,000冊の本を読む
・全く一般人の手の届かない程の人生を歩んでいる
・孫正義は日本の国民以上に日本国民である
┗ 東日本大震災での脱原発・自然エネルギーに向けた動き
・この本で分かった事は孫正義の出自、特に家族や親族に焦点を当てて、どのような背景で孫正義という人間が生まれたか。