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〈サラセン〉を追う〈ピルグリム〉の旅もいよいよ終焉。これまでの話が一つ一つ終着点へと向かい結びついていく…ことを期待した。結果、たしかにそうなった。しかも先が気になる展開で、まさに一気読みだった。情景が浮かぶのも、さすが元シナリオライター。しかし、最後の詰めが甘いのではないかと思った。ここまで緻密な計画を立てた〈サラセン〉があまりに簡単に出てきすぎではないか?愛に勝る者はないという話は分かるし、非常なテロリストも息子の前ではというのも分かる。しかしなんだろう、ここまで緻密に重ねられたフィクションの割には最後はそこかと少しがっかりさせられた。いやでも裏切られるかも!と思って読んだけど〈サラセン〉との戦いはあっという間に終ってしまった。NYでの犯罪もこじつけた感じが否めない。もっと密接に〈サラセン〉と結びつくと思ったが、ブラッドリーをトルコに呼ぶための手段なのか?と思ってしまった。ただこのことはあとがきを読んで、なんとなく納得。三部作ということで、それなら今後の展開で重要な人物になるのかも?と期待してみる。もし関係なければそれこそなんだかがっかり。
現代社会が抱える問題を上手に描き、読み応えがりながら、エンタメ小説として十分読める作品だった。
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孤独なテロリストとそれを追う秘密機関の元エースの戦い。心理戦。相手の心理にどこまで迫れるのかが、読んでいて面白かった。迂回しながらも、じわじわと真相に近づいていく元エースの鋭敏さと、それを見越して自らの足跡を徹底的に(それはもう入念に)消し去っていくテロリスト。最後の対峙の場面は、ページをめくる手が止まらなかった。独特の時間軸が多少読みにくさを感じさせたが、それすらも登場人物のバックグラウンドとなり、そのバックグラウンドを知れば知るほど感情移入してしまう。読書って面白いなーと改めて実感できる作品。
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はらはらドキドキ、送別会の後、一眠りしてからの読書。通勤途中の読書。一気に読んだおかげで、おもしろかった。いや、面白いおかげでイッキ読みできた。
まぁ、ニューヨークでの殺人にはちょいムリがあるけど、今後続編もある見たいやし、絡んでくるやろなぁ。
次も楽しみ。
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ピルグリム、《死のささやき》、義父ビル、テロを企てる《サラセン》など。
集中して読めて嬉しい。
ピルグリムがカッコ良くて嬉しい。
ストーリーは緊張感があるし、
各章が短く集中が途切れない。
それからストーリーとは関係のない
「バート・シンプソンにでも相談した方がまし」とか「シャナイア・トゥエインのDVD」とか懐かしい感じの小技もリアルだ。
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面白かった!場面がリアルに感じられて、さすが脚本家です。展開も見事でした。サラセンが出てくる場面以降は、こんなにあっけなくていいのか、とは思いましたが、イスラムの戒律がそうさせたのでしょう。たいへん読み応えのある、素晴らしい作品でした。
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近年読んだスパイ小説では最高かもしれない。特にこの3巻目の迫力は凄かった。このスピード感とリアリティを出すために、前2巻をあえて抑えた表現にとどめたのではないかと思えるほどだ。往年のスパイ小説好きには文句なしにお勧めだと思う。
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ケチをつけたい点が少なくとも二つはある。そこはかなり気に入らない。ああ、しかし。面白いんだよねえ、これが。スパイものはさほど好きではないので、なかなか手が出なかったのだけど、いやあ、2巻目からはもう一気読み。久しぶりに夜更かししてしまった。
これは良くも悪くも「ハリウッド映画」なのだと思う。実際に映画化も決まっているそうだし、作者は「マッドマックス2」の脚本家だとのこと。小難しいことは忘れて、スピード感あふれるアクションやサスペンスに身をゆだねたい気分の時には最高だろう。
しかしまあ、我ながらへそ曲がりだとは思うが、あまりにもわかりやすいのでは? テロリスト<サラセン>についてもしっかり書き込んであって、比較的独善的な臭いが薄くはあるけれど、「アメリカ=普遍的な善」という基本的な構図を無前提で受け入れる気にはならない。ここが気にならないならこの上なく楽しめるだろうが。
これもまた、近年の米小説では避けて通れない9.11テロが一つの要素になっているけれど、私はアメリカ人が9.11を語るのを聴くと(ごく一部を除いて)違和感を感じずにはいられない。確かにあれは未曾有の被害ではあったが、世界中のあちこちで無数の「9.11」をばらまいてきたのもアメリカだ。序盤で9.11のエピソードが思い入れたっぷりに語られていて、ここは鼻白む。「神を信仰する無数の市民が自分たちを殺すと言ったら、ただ彼らの声に耳を傾けることだ」なんて、いい言葉もあるんだけど。
それから、どうしても気になってならないのが、次の展開を先取りするフレーズが頻発すること。「後で思えば○○に気がつくべきだった」というような言い方がしょっちゅうされて(もう本当に連発)、大方の場合ページをめくるとその意味がわかるようになっている。先へ先へ興味を繋ぐ書き方だが、これって読者を手玉にとってる感じがして好きになれない。品がないと思う。
この二つの他にも、ん?と思うところはいくつかある。アメリカ史上最高の諜報員という設定の主人公が、なんだかあまりにも「いい人」だったり、<サラセン>の陥落がどうにもあっけなかったり。冒頭の殺人事件が本筋とからんでいないこととか、主人公の母の死について語られないのは、続篇への伏線か?そうじゃないならヘンだよね。
わあ、あんなに面白く読んだのに、感想を書いてみたら文句ばっかり。これってほんと、私がハリウッド映画を観た時と同じだわ。スミマセン。
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3巻通しての感想。
サラセンの物語は面白かったけど、ラストあっさりすぎて…
そして続編書く気満々な終わり方に、ちょっと萎えました。
ドラゴンタトゥーの女の、ミレニアムシリーズの次はこれだ!みたいな宣伝をどこかで見かけたけど、正直、わたしの中では、足元にもおよばないかな、という印象でした。
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今年のベスト3入り確定!最後まで飽きさせない展開でずーっとハラハラドキドキ!長くても全然長さを感じさせなかった。
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評判に違わず、面白かった。
ただ、ミレニアムとの比較は、少し違うかなという感じ。
それほど残虐なシーンもなく、安心して読めました。
後半、行先の変更を伝えたときの、パイロットの「ボドルムってどこだ?」が、おかしかった。
ボドルム、ほんとどこにあるのか調べてみよう。
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近年のスパイ/冒険小説の衰退に憤りを感じていたファンの渇きを一気に癒やす紛れも無き傑作。三分冊の大長編にも関わらず、中弛みや無駄なエピソードの類は一切無く、凄まじいテンションを保ったまま終盤まで疾走する。散りばめられた枝葉が最終的には全てが関連付けられて永い年輪を重ねた巨木へと収束し、その緻密で鮮やかな構成美によって読み手を魅了する。巻を措く能わず、最終ページに辿り着いてしまうことが惜しいと思うほどの幸福な読書体験は本当に久しぶりだ。
褒め上げれば切りがないのだが、本作が最も優れている点とは、世界を震撼させるテロの恐怖を主題にしながらも、天才的頭脳を持ったスペシャリストによる1対1の闘いに焦点を絞っていることにある。共に「放浪者」を意味する仮の名を持つ二人。アメリカ合衆国の傀儡である王族支配のサウジアラビアで父親を公開処刑され、覇権国家壊滅を単独で目論むテロリスト〈サラセン〉。一方は、過去にアメリカ諜報機関を監視する極秘組織に所属、先鋭的な分析/調査能力で追跡/捜査のエキスパートとなった伝説の男。あとに暗号名〈ピルグリム〉を名乗り、潜伏した〈サラセン〉を炙り出していくことになるのだが、マンハッタンの陰惨な殺人事件から幕を開ける物語は、失われた過去を紐解きつつ過酷な運命に翻弄されながらも、強固な信念のもとにターゲットに向かって前進する二人の道程を辿っていく。
対局にありながらも実は似通った点の多い〈サラセン〉と〈ピルグリム〉の“喪失と再生”が極めて劇的に描かれており、奥の深い謎解きと至極のサスペンスを盛り込んだ秀逸なエンターテイメントであるばかりでなく、人生の機微さえも感じさせてくれる陰影に富んだ作品となっている。しかも、端役ひとりひとりの造形も見事で、二人に関わる個性豊かな人物らとの挿話が、しっかりと結末へと繋がり、感動を高めていることにも瞠目する。
時に哀切に満ちたヒューマニズムが非情なテロリズムに怯える世界に希望の火を灯し、数多の試練に立ち向かう〈ピルグリム〉の眼前を照らす。
長い旅路の果て、〈サラセン〉と〈ピルグリム〉が対峙する怒濤のクライマックス。大海原の船上で、全てを終えた〈ピルグリム〉の万感胸に迫るモノローグ。なんて熱いエピローグだろうか。
「ピルグリム」は三部作となる構想が既に発表されている。第一部となる本作があまりにも完璧な仕上がりで否が応でも次作への期待が高まる。テリー・ヘイズは、現代最高のスパイ/冒険小説の書き手であると断言する。
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意外と楽しめました。
終盤のサラセンと対峙するところは、出てきちゃうのと思ったり、電話一本で形勢が一気に逆転したり、早すぎる展開においおいと思ったりはしましたが。
それにしても主人公はよく生きて脱出できたなぁと感じていたところ、続編があるとのこと。どんな大作になるのか期待が膨らみます。
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面白くて一気読み。
本当に24のようだった。
24りよも事件はあっさりと終わってしまったけども。
映画やドラマではとことんカッコいい諜報機関のエージェントだけど、本作では別人になり、日々精神をすり減らし、自分をさらけ出せない孤独な生き方も丁寧に描かれており、ドキドキハラハラ以外も味わえ良かった。
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若干ご都合主義っぽい展開だとは思ったけど、なかなかロマンチックで雰囲気は良かった。壮絶なテロ行為の割に最後の展開が甘いかなぁと思う。
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なんて壮大なスケールなんだろう!読み終わった今〈ピルグリム〉に心から感謝している。もう少し余韻に浸っていたい。優れた本て、こういうこと。読後の余韻が心を満たし、元気にさせる。息つく間もない展開に、心臓は早鐘のようにドキドキしっぱなしだったけど、読者としての旅は終わった。お疲れ様〈ピルグリム〉。あなたが背負わされたもの、あなたが奪われた〝当たり前の生活〟。あなたが犠牲にしてきたものの数々が、まぎれもなく世界を救っているのだということ。そして現実の世界にいる〈ピルグリム〉達に敬意を表して。私達は見えない所でこういう人に救われていたんだ。ありがとう!ピルグリム。