投稿元:
レビューを見る
これは私の持論なのだが、食事のシーンの上手い作家は作品も得てして素晴らしい。
たぶん、私自身がおいしいものを食べるのがものすごく好きで、友人や家族たちと楽しく食事をすることを最高の喜びにしているからだろう。
この初ものがたりを始めとした名手であり、また時代劇やホラーも描ける作家である宮部みゆきの料理の匙加減は相変わらず美味だ!
投稿元:
レビューを見る
著者お得意のお江戸人情ホラー&ミステリー。全体的には哀しいお話なんですが、主人公「おりん」のけなげさが心に染みます。えぇ話や。
投稿元:
レビューを見る
心暖まりつつも、戦慄の走る作品。
一人の少女がおばけさんと出会って成長していく姿。
思いを残して、しかも、その思いを思い出せずに漂うおばけさん。
宮部さんの時代劇、大好きです。
投稿元:
レビューを見る
いや,結構手間取った・・・ページの厚みに苦しむ~海辺大工町にふね屋という料理屋を開いた太一郎と多恵の娘・おりんは,越してきて篤い病に罹り,三途の川を見て,水を舐めて帰ってきた。不思議な老人は,煙管を使いながら,まだ時期でないと云ってるのだ。太一郎は仕出しの高田屋の主人・七兵衛に育てられたが,七兵衛自身が身寄りを持たず,天麩羅屋に捕まって料理の世界に入ってきたが,料理屋を開くという夢は実子を持たなかったため,愛弟子に託された。最初の客は雑穀屋の隠居の古稀の祝い。おりんは幼馴染みと遊ぶ内,夢の中であかんべえをされた幼い女の子が出てきて,飴玉を喉に詰まらせ,隣の貧乏旗本で鮟鱇顔の長坂という侍に助けられた。宴たけなわの中,抜き身の刀が宙を舞い,出席者は大慌て,何事かと覗きに来た主人の太一郎も背中を切り裂かれた。おどろ髪という恐ろしい亡者の話は,玄之助という二枚目の侍が教えてくれ,梅の着物を着たのはお梅。揉み治療を施して,おりんをこの世に連れ戻したのは,笑い坊。艶な姿を見せるのは,おみつという。そもそも亡者が住み着いたのは,三十年前,向かいにあった興願寺の住職が何人もの人を殺し,挙げ句の果てに火を放ったのが原因だという。差配の孫兵衛に話を聞こうとしてもなかなか捕まえることができない。お化けの出る料理屋という評判が立ち,南新堀町の煙草問屋の浅田屋が,隣の畳表屋である白子屋から養子に嫁を取り,その嫁がひんぱんにお化けを見るというのが評判となり,白子屋の娘・お静もお化けを見ると打ち明けて,良かった仲が次第に崩れ,心霊を呼び出す力比べが行われることになった。浅田屋には黒を基調とした料理,白子屋には白を基調とした料理を出さなくてはならない。困り果てた太一郎は,七兵衛に紹介された陰気な島次という仕出し屋を使うことにした。その仕出し屋は,はやし屋というのだが,島次の兄の銀次が急な病で亡くなって,姉と甥達の面倒見に島次が声を挙げたが,最近は甥が育ち,邪魔者扱いをされている。献立は完成し,二組の客が訪れるが,その前には,白子屋のお静と名乗る女が下見とお祓いに訪れていた。そのお静は被り物を取らず,塩気が強くて,亡者の姿が見えないと文句を付けている。おどろ髪も現れたが,おいおい泣くばかりで騒ぎもしない。二組が諍いを起こす中,台所から上がってきた島次の人柄が豹変し,客に乱暴を働く始末だ。おりんは,島次に似た亡者を発見し,七兵衛の妻・おさきも随分前に,店で佇む亡霊を見ているという。島次は寝付いていて話は聞けず,差配の孫兵衛にも会えずに,差配に世話になっている勝次郎と出会うが,彼には同じ孤児の境遇からか,お梅の姿が見えるのだ。多恵は遂に寝込み,世話を焼いてくれるのは,手練れの奉公人であるおつたである。笑い坊は気の病だと診断する。先に来たお静が偽物で,白子屋の身代を狙う,妾腹の娘であることが判ったが,七兵衛の見立ては,このおゆうと島次が語らって,悪さを働いたのだという。おゆうは共謀していた情夫を殺した事が伝えられ,岡っ引きが番屋に連れて行く前に,ふね屋で関係者を集めて謎解きに取り組む。おゆうは誰彼となく悪態を吐くが,銀次の亡霊が見えて慌てだし,おどろ髪にも,こうなってはいけないと説得される。おみつの髪を振るしぐさで押さえつけられていた銀次の亡霊は,連れてきた元妻が毒を盛った告白を聞き,逆上するが,おどろ髪の説得でこうなりたくないと叫び,おどろ髪の手が添えられた刀で銀次を成仏させ,更におどろ髪自体も成仏させた。おどろ髪は,兄嫁を死に追いやり,興願寺の住職の人殺しの手先になっていたのだ。ふね屋での騒動が収まり,ふね屋の二階に叔父の姿を見つけた長坂と,おりんとおさきが差配の家に行くと,勝次郎は顔面に怪我を負い,差配の孫兵衛に怯えているようだ。機転を利かせた長坂は,手伝いに勝次郎を貸せと掛け合い,連れ出すことに成功したが,目に光のない孫兵衛がふね屋に乗り込んできた。お梅が現れ,孫兵衛の肩に乗って,目隠しをすると,お父が殺した人々と共にあの世へ旅立とうと連れ回し,寺の古井戸に飛び込み,かつて住職を斬った玄之助も,住職の情婦だったおみつも,揉み治療に自身があって殺された笑い坊も飛び込んだ古井戸は影も形もなくなっていた~2002年に単行本が刊行されていて,この度,目出度く文庫に。ちゃんと最後に始末するから,みやべさんは偉いね。三途の河原で会った爺は長年住職と戦い続けていた孫兵衛だったというオチね
投稿元:
レビューを見る
宮部みゆき作品と言われて僕が思い起こすのは「火車」であり「理由」であり「模倣犯」である。このあたりはひととおり読んだけど、面白いけど格別好きと言うことも無く、その後そのままにしていた。だから江戸もの好きにもかかわらず、彼女がそれをたくさん手がけてることを知らなかったという不勉強。それが最近、ある本読みに「宮部みゆきは江戸ものですよ」と勧められ、帰りの機内で手にしたのがこれ。読み慣れない雰囲気にほんの一瞬戸惑ったけど、すぐに世界に入り込めちゃった。ミステリー作家としての本領も垣間見せる話運びと、僕が普段好きで読んでいるのとはまた違った人物描写、そしてちょびっとビターさもあるストーリー。その人が言う「宮部みゆきの江戸ものは女なんですよ」というのを思い出して得心。この世界は、女性の眼から見た江戸であり、深川なのだ。いつも似たような作家の本ばかり読まず、広く読むことの面白さを再認識。年の瀬、良い経験しました。そして随所に出てくる飯がうまそうで。しかも巻末に簡単なレシピのおまけ付き。いいねえ。しばらく宮部みゆきの江戸もの、読み込んでみようかな。
投稿元:
レビューを見る
三途の川の水を舐めたおかげで色々なお化けが見えるようになったおりんちゃんがふね屋にいついた地縛霊?を成仏させる物語。
一人ひとり成仏させていくのかと思いきや全員がひとつの事件に結びついているのは意外と言えば意外だけど面白い。
それぞれのお化けのキャラ立ちがいいだけにもうちょっと物語を書いてくれるとよかったような気も。
とはいえさすがは宮部先生読ませる文章で満足の★4つで。
投稿元:
レビューを見る
宮部みゆきさんの時代物は、毎回心を動かされてしまう。
悲しくもあり切なくもあり暖かくもある。
この世のものでないものと心が通じてしまったことが、羨ましくも思えてしまうほど、ほっこりした素晴らしい作品でした。
投稿元:
レビューを見る
料理屋ふねやの一人娘おりんの周りにいつくお化けたちの成仏するまで。
長かったけど、全て落着してすっきり。
お寺の坊さんが仏を信じられぬとこらから始まる。
ふんわりした挿し絵に救われていたけど、これが実写化したらかなり怖い…
投稿元:
レビューを見る
おりんという少女は死の淵を彷徨っていたが、
なんとか一命を取り留めるとなんとお化けが見えるようになっていた。
少女でありながら少しづつ大人の感性を得つつ、お化けたちと共に問題を解決していく・・・
ページ数は多め。
ただし、やはり宮部みゆきの時代ものは読みやすい。
おりんの成長と共に話を進めていける。
投稿元:
レビューを見る
カバー裏を読んでも帯を読んでも怖そうだけど、主人公のおりんがけなげで、おりんの周りの大人たちも真面目に一生懸命生きていて、出てくる亡者たちも話をすれば人のいい(?)亡者たちで、この世界好きだわ~と思いながらぐいぐい読む。
読み進めるにつれ、笑顔の裏の涙や憎しみ、とっつきにくい人の中にある優しさ、そういうものが捩れて捻じれて、がんじがらめになっていく人たちが見えてくる。
怖いのは亡者ではなくて、執着を捨てきれない人間なのだなあ。
執着を捨てきれない人間のなれの果てが亡者なんだけど、そちらはなんというか達観していていいのだわ。
玄之介さま、亡者であっても惚れますた。
700ページほどの分厚い文庫本ですが、面白くてほぼ1日で読んじゃいました。
宮部みゆきの時代物は、大好き。
投稿元:
レビューを見る
幽霊がみえる料理屋の娘おりんが、料理屋に居着く幽霊たちの哀しい事情を解きほぐしていく。
幽霊達のやさしさと、人の心に巣くう闇を目の当たりにしながら、名前のとおり、涼やかで暗い闇の中に澄み渡る鈴の音の様なおりんが愛おしい。
投稿元:
レビューを見る
読後の感想は面白かった!です。
早速、つぎの宮部みゆきを読もうと探したくらい、
面白かったです。
まぁ、面白いという感想で果たしていいのか、と言えば、
違うかなという気もするのですが。。。
もっと自分の感想を分析するなら、
「切なかった」「悲しかった」「愛おしく感じた」などなどの模様が表れては、そこに止まらず浮遊している感じなので、最後のまとめの感想が「面白かった」という一言にしたというのが本当です。
とくに個人的には、ラスボスという立ち位置のお寺の住職が亡者として主人公おりんの前に立ちはだかるあたりから、
鳥肌がたつくらい興奮しました。
あまりに怖くて、あまりに悲しくて、あまりに切なくて。
亡者となり怨念のこの世に残しながら、新たな罪を重ね、仏に問うその住職の怨霊が凄まじく飢えている様がビンビンと伝わってくるのです。
この怨霊がもつ苦しみは実はみんなが持っているものではなかろうか、誰が「非」とうちすてることができるだろうか、と思いました。
そして、最後のシーンはすべての蒙が払われていく様が丁寧に描かれていて、私自身もその場に立ちすくみ、ことの成り行きを見守っているような臨場溢れ、迫力ある筆致で、作者宮部みゆきの力量を感じ入ったものです。。。
本当に胸に深く染み入る本でした!!!
投稿元:
レビューを見る
怪談嫌いだけれど、登場する不思議な存在との心強いやりとり、切ない別れ…そして最後のビックリ。
宮部みゆきは、登場人物に愛着を持たせるのが本当に上手だとおもう。
投稿元:
レビューを見る
上下巻に分かれた新潮版ではなく、1冊のPHP版を選択、690頁也。
舞台は江戸、いわく付きの土地と知らずに料理屋を始めた夫婦。その娘で12歳のおりんには、亡者を見るのみでなく彼らと会話する能力が備わっていた。
そんな物語ですが、そもそもそこに店を持つまでの経緯も面白く、分厚さが全然苦痛にならず。本を開く手は痛いけど(笑)。おりん、はよ「見える」ことを明かしてしまえ〜と叫びたくなることしばしば、大騒動を含むラスト150頁には涙がにじむ。妬み嫉みの気持ちが消えるならば、亡者になるのも悪くないなんて思ったりもして。
投稿元:
レビューを見る
おりんちゃん、いい子だね。
とても面妖なことがたくさん起きたふね屋。
これからどんなふうなお店になっていくのでしょう。
おつたおばちゃんはとても悲しいね
とても好きになれそうな人だったのに
もっとおりんちゃんのお話読みたいな