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最初こそ霧子さんこ、くにゃっとした物の言い方に馴染めなかったものの、3章目くらいからは慣れてきて、いつのまにか彼女なら大丈夫だと思えるようになっていました。癒し屋といいながら守銭奴、でも心の優しい深い人。傷ついたり、傷つけたり。誰もが彼女と話して穏やかになっていく過程がとても心地よかったです。そう上手くはいかないでしょう?という所も勿論あるのですが、そこはそこと割り切れる緩さと優しさ。最初と最後には驚いたけど、そ!も霧子さんの癒しの内かと思えばほっこりします。生きていてくれて良かった♪みんなみんな♪
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序盤はちょっとしんどかった。
入れない、のれない感じで。
中盤以降、面白くなった。
クセのある霧子のキャラクターになじめないと
しんどいなぁ、という印象。
森沢さんのほかの作品と
ちょっとリンクしてるのは嬉しかった。
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キリコさん、最初あまり好きになれなかった=
でも読み進めていくうちに彼女の深い所にある愛情を感じることができたかな。
さすが森沢さん。
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いやぁ~、冒頭の物騒なプロローグで掴みはバッチリ(笑)!
真相が知りたくて一気読みしてしまいました。
森沢さんの小説は初めてだったけど、物語の構成や語り口が上手いですね。
いつからか軽々しく使われるようになった「癒し」という言葉自体は好きではないんやけど
ラストは素直に胸が熱くなったし、
明日を生きる気力をもらいました。
(しかし、中島みゆきの「時代」はズルいわ~!歌詞が物語とシンクロしてるから不覚にもこみ上げるものがあったし…)
銀杏(ぎんなん)商店街の一角にひっそりと建つ
「昭和堂」という純喫茶。
レジ横には神棚、その前にはなぜかこれ見よがしに置かれた大きな賽銭箱。
店の奥の「上座」には千枚を優に超えるレコードと右目だけ目の入った大きな達磨と
店のオーナー、有村霧子がビールを飲んでくつろぐために置かれた
使い込まれたロッキングチェア。
朝から晩まで店内に流れる音楽は霧子の趣味で昭和の懐メロオンリー。
そして成り行きで雇われ店長になったのはコーヒーを煎れる腕前はピカイチの柿崎照美。
この昭和堂という変な店、実は裏家業を営んでいて、
心に傷を負ったお客さんたちに救いの手を差し伸べる
「癒し屋」でもあったのです…。
主要メンバーは、
あんたホステスかいっ!ってツッコミたくなる(笑)
胸のざっくり開いたワンピース姿に
片手にはハイネケンの缶ビールと漫画、
ぐうたらしてる割には惜しげもなく色気を放ちまくる
昭和堂オーナーの霧子さん。(40代前半?)
この物語の語り手で、
読書好きで黒ぶち眼鏡で
なにやらワケありな
雇われ店長・カッキーこと、柿崎照美、28歳。
(岬にある喫茶店で美味しいコーヒーの煎れ方を学んだという設定だけど、もしやあの喫茶店なのかな?)
癒し屋のアシスタントで
身長180センチを超える巨体にスキンヘッドという出で立ちから「入道さん」と呼ばれる、
自称・霊能者の都幾川敦也(ときがわ・あつや)、45歳。
同じく癒し屋のアシスタントで、
バイク便のライダーをしている涼しい顔のイケメン、
19歳の上山 涼(かみやま・りょう)。
アシスタントその3は、
霧子さんにメロメロな元キックボクサーの小出清助(こいで・せいすけ)。
そして上山くん目当てで昭和堂の常連となったキャバ嬢のキララちゃん。
昭和堂に集うこの愉快な6人の仲間たちが
依頼者の悩みを和らげるため
あれやこれやと作戦を実行していきます。
お金が大好きで
暇さえあればビールを美味そうに飲み、
コーヒーも紅茶も入れるのが下手っぴだけど
その場の雰囲気に合った昭和歌謡をかけることに関しては天才的センスを持つ
豪放磊落な霧子さんのキャラが面白い!
(脳内ではエヴァンゲリオンの葛城ミサトのイメージ。実写だとコメディエンヌの才能もある麻生久美子か年齢的には山口智子。毎回昭和歌謡を歌う場面があるので、「なんてったってアイドル」の小泉今日子でも面白いかも~)
普段はおち���らけてやる気のない霧子さんだけど
元心理カウンセラーという設定だけに、
「才能ってのはね、成功するまで絶対に努力を止めないって、自分自身を説得し続ける能力のことを言うのよ」
「そもそも人生には、生きる意味なんて何ひとつないんだよ。何にもないまっさらなところでいろんな経験をしてさ、その経験にたいして、自分なりに意味付けをして、それを味わうのが人生じゃん」
「人ってさ、長所で尊敬されて、短所で愛されるんだよ。だからどっちも大事なんだよ」
「人間の心って不思議なもんでさ、自分で断ち切ったはずの過去には、いつまでもつきまとわれて重たいんだけど、しっかり受け入れた過去は、その瞬間から軽くなるんだよね」
などなど、思わず心のメモ帳にストックしておきたくなる
目から鱗の名言がわんさか出てくるところも
この小説のオススメポイントのひとつです。
様々な問題に頭を悩ませ、
癒しを求めて店に訪れる人の弱音を聞き、
霧子さんとアシスタントたちが色々とおせっかいを焼いて問題を解決していく
この「癒し屋」という発想がまた面白いですよね。
あくまでも仕事ではないので料金は頂かず、
その代わり、お賽銭の奉納を奨励しているというシステムも上手くできてるし(笑)
イヤミなくらいお金に執着する霧子さんだけど、
もちろんそこにはちゃんと理由があるわけで…。
ただ、酔っ払いでぐうたらな霧子さんのキャラがかなり濃ゆいので(笑)
そこは好き嫌い分かれるかもなぁ~(^^;)
姑との不仲に悩む47歳の専業主婦、ストーカーに悩む人気キャバクラ嬢、母親の万引き癖に悩む男子高校生、若い頃に諦めたロックンローラーになるという夢をもう一度追いかけるべきか否かで悩む
リストラされた53歳のサラリーマン、結婚詐欺にお金を騙し取られ生きる気力を無くしたカッキーの親友など、
訪れる人たちが抱える問題も実に様々で、
霧子さん総指揮によるそれぞれのお悩みの解決方法がまた
結構ユニークで「あっ、そうくる!?」って感じがだんだんクセになります(笑)
そしてそしてこの小説で、
個人的に一番惹かれたポイントは
霧子さんも大好きな昭和歌謡が沢山出てくるところ。
各章のサブタイトルに
オフコース「YES-YES-YES」、井上陽水「夢の中へ」、佐野元春「サムデイ」、H2O「想い出がいっぱい」、村下孝蔵「初恋」、久保田早紀「異邦人」、竹内まりや「元気をだして」、中島みゆき「時代」、山口百恵「いい日旅立ち」など往年の歌謡曲の歌詞が付けられていて、
そのポイントとなる歌詞の意味が
毎話ごとにストーリーに大きく絡んでくる構成がまた見事なのです。
(作者はおそらく音楽好き。昭和歌謡へのリスペクトと愛が感じられます)
今回この小説を読んであらためて感じたのは、
昭和の歌謡曲が持っていたパワーと人を惹きつける歌詞の魅力です。
昔の歌謡曲はプロの作詞家がほとんど書いていたので
いわば言葉の職人によるものなんですね。
だから、一度耳にすると脳内リフレインが止まらなくなる巧みな歌詞が多か���たのです。
(特に阿久悠の歌詞は、時代性を感じさせない意識的な作りをしているので、時が経っても古くならない緻密な構成になっていました)
まるで短編映画のような物語性。
情景が容易に思い浮かぶ季節感を取り入れた歌詞。
提供する歌い手をイメージした共感しやすい世界観。
そういった練りに練られた歌詞を、
これまた職人気質の職業作曲家たちが
琴線に触れる
覚えやすいメロディーで届けるわけだから、
歌謡曲というのは
始めから記憶に残るように
実に緻密に作られていたのだと思います。
今のJ・POPの歌詞の
「愛してください」、「メールをください」などの一方的な愛を押し付ける(または欲しがる)歌詞や
安易な頑張れソングとは違い、
愛だ恋だと直接的に言わなくても聴き手が思いを巡らし、想像力を働かすための余白とロマンが
おそらく昔の歌謡曲にはあったのだと思います。
物語はそんなドタバタ人情劇に
「東京太郎」という差出人から霧子さん宛てに送られてきた
血みどろのテディベアのぬいぐるみと
「オマエヲノロッテイル ヨミチニハセイゼイチュウイシロ」と書いた脅迫文の謎が同時進行して
犯人は誰なのか、霧子さんの過去に何があったのかを
読者はヤキモキしながら推理していくこととなります。
それにしてもこんな居心地のいい喫茶店が近所にあったら
毎日通ってまいそう(笑)
昭和歌謡聞きながら
美人のオーナーとアホな話しながら
漫画読んで美味しいコーヒー飲めるなんて
最高ですよね(笑)
サラッと読めるわりに印象的な言葉が多いし、
「こんなはずではなかった」と思う場所から、
一歩踏み出す勇気をくれる良作です。
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ドラマを見て知りました。楽しく読めました。
ドラマの俳優さん達が、原作のイメージ通りなので嬉しかったです。
懐かしの昭和歌謡曲が聞きたくなりました。
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純喫茶「昭和堂」またの名を「癒し屋」
店内には常に昭和の名曲が流れ、
レジ横には神棚と、大きなお賽銭箱が置かれてある。
そこの経営者、霧子さんがこの物語の主人公。
はちゃめちゃで、いいかげんで、がめつくて、いつも二日酔いみたいで…。
「こんな女の人、嫌だわ~」だったのに、
読み終わるころには「なんて素敵な霧子さん♪」になっていました。
随所に出てくる、霧子さんのさりげない言葉が心にしみました。
”幸せってね、なるものじゃなくて気づくものなのよ。”
”才能ってのはね、成功するまで絶対に努力を止めないって
自分自身を説得し続ける能力のことを言うのよ。”
”人ってさ、長所で尊敬されて、短所で愛されるんだよ。
だからどっちも大事なんだよ。”
そして、時刻に関係なく気まぐれに「ぽっぽー♪」と鳴く鳩時計が絶妙~。
章ごとに流れる昭和の大ヒット曲も良かったです。
でも自分にとっての青春時代の思い出の曲が懐メロだなんて…。トホホです。
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登場人物それぞれが再生していく物語り。
すごくわかりやすく言葉が胸に沁みる。
回りくどくなくてストレートにじんわり沁みる。
ー才能ってのはね、成功するまで絶対に努力をやめないって、自分自身を説得し続ける能力のことをいうのよ
ー人間っつーのはさ、他人に「ありがとう」って言われるために生まれてきてんの
ー人ってさ、長所で尊敬されて、短所で愛されんの
ー自分で断ち切ったはずの過去には、いつまでもつきまとわれて重いんだけど、しっかり受け入れた過去は、その瞬間から軽くなるんだよね。
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ミステリ要素を入れて人間模様を描いているけど、それほど感動はなかった。でも、読みやすく、それなりに山や谷があるのでお話として楽しめた。
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「人は長所で尊敬されて短所で愛される」
人生がちょっと明るくなる言葉をもらった。
霧子さんの話し方が最初面倒くさかったけど段々気にならなくなった。他の作品が映画になってるだけあって、このお話も映画になりそうなまとまり方だったかな。
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昭和歌謡を流す順喫茶「昭和堂」のオーナー・霧子はお金にはガメツク 営業時間内でも漫画片手に 缶ビールごくごく・・・ やってくる町の人達の悩み事を次々と解決・・・という同じ流れをいくつか読んでいると飽いしまう 今回は×か・・・と がっかりしながら読み進むといつもの調子でひきつけられていく さすが森沢明夫さんの本・・・となる 振り返ってみれば この人の書いたものは全部OKです
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なんか最近ドラマ化されていたような、そのテレビをつけっぱなしでうろうろしてたような。この本を読んで、じっくり観れば良かったと思った。
この人の作品、世界観が好き。
心が浄化されるというか、自分が自分でいればいいんだなと再確認できる作品。
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キリコの癒し方は型破りだ。昭和堂という喫茶店のオーナーのキリコと、従業員のカッキー。ここに集う常連客も個性豊かで、クスッと笑ってしまうユーモラスぶり。でも、忘れてはならない。本編に似つかわしくない不穏なプロローグを。キリコがご近所のトラブルを解決する時に必ず名言を残す。「ありがとう」は自分を受け入れるための魔法の言葉。エピローグとプロローグが見事に繋がった時、本当の意味で「癒し屋キリコ」になった。破天荒なキリコの行動の原動力は、過去の自分と向き合う日を待つ事だったのだろう。心に温かな明かりが灯るような本。
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商店街のはじっこにある、喫茶店
そこのオーナーはお金にがめつく、大酒のみのキリコさん
だけど何故かその場所に集う人を癒してくれる(もちろん有料w)
読み始めはキリコさんの強烈キャラにげんなりするのに
読み進めていくうちに、やさしさや暖かさがわかって
好きになってくる。
最後はホロリ
読後感の素敵な1冊
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まーちさん、hi2515さんといった
ブクレポ仲間のエース級の方々が
すでにレポを書かれている作品です。
まずはタイトルが気になって手に取りました。
「癒し屋」? なんじゃいな、それは? という感じ。
駅前ロータリーから延びる銀杏通りにある
小さくて古い純喫茶「昭和堂」は、
始終昭和の名曲が流れているお店です。
そこで働く雇われ店長はカッキ―こと柿崎照美。
実はこの喫茶店には、
オーナーの有村霧子さんが行う裏稼業がありました。
心に傷を負ったお客さんに
救いの手をさしのべる「癒し屋」を営んでいたのです。
お代はお賽銭箱へ入れるしきたり。
お店も裏稼業も繁盛していたのですが、
実は霧子さん自身も、人には言えない心の傷を持っていたのです・・・。
四十路の美しい霧子さんが
依頼人の悩みをきき、突拍子もない作戦と話し合いで
問題を解決していきます。
各章ごとにそれぞれの問題にあったような曲も選曲され、
一見だらしない根なし草のように思える霧子さんの
奥深く温かい人柄があらわれるようでした。
【プロローグ】YES・YES・YES(オフコース)
【第一章】夢の中へ(井上陽水) 【第二章】サムディ(佐野元春)
【第三章】想い出がいっぱい(H2O) 【第四章】初恋(村下孝蔵)
【第五章】異邦人(久保田早紀) 【第六章】元気を出して(竹内まりや)
【第七章】時代(中島みゆき)
【エピローグ】いい日旅立ち(山口百恵)
選曲はどれもこれも本当に私には懐かしい曲ばかり。
音楽で癒されるっていうことがよくわかりました。
でも、心が温まる作品だと思いますが、
どうしても、同じ作者の『虹の岬の喫茶店』が頭に浮かんできます。
カッキ―も以前、
虹の岬の喫茶店にお世話になったことがあるという
設定になっているせいでしょうか。
同じような構想の作品は、
先に読んだ作品のイメージが強くなりがちなので、
すごく魅力的なキャラクターがいても、
ちょっと印象薄くなって損だなと思いました。
※『虹の岬の喫茶店』ファンの
個人的な意見ですからお気になさらないで下さい。