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隠れ宿「左近」の長男・桜蔵(さくら)と、彼に惹かれたあやかし達との短編集。
男同士の云々がテーマなので、ひとを選ぶとは思います。この方の作品は初めてでしたが、とても綺麗で品のある日本語でした。
桜蔵の放つ、危うい色気が凄い。何度表紙を見返したことか。あやかしや大人の男達との対比も素敵です。なされるがままの頼りなさが、散るのみの桜と絶妙に合ってる。
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最近の作品。
『カルトローレ』とはまったく違う類いのお話。
本作のほうが、彼女の好みに近い登場人物がでている気がする。
(柾はちょっと『白昼堂々』の千尋っぽいし、桜蔵は凜一っぽい)
けれども。
こんなに男色が強い作品を書くようになっていたとは。
あとがきにある15歳と16歳の境目(少年と青年の境界線)への作者の意識がそうさせているのかわからないが、これまでの作品だと、もっとオブラートというか、繊細という名の靄に包まれていた気がするのだけれど、本作はかなり直接的にその色をアピールしているように感じた。
(文章が艶っぽい。そして、嫌いじゃ無い)
魅力的なのは人間よりもむしろ桜蔵を喰おうとする(喰ってしまう)あやかしのほうで。
『骨箱』の望月が放つ色気には中てられた。
ふいに読み返したくなる作品。
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表に出てるタイプのBL小説。
それでも長野まゆみらしい現実と夢を行き来するような話ですんなり読めました。
最後まで桜蔵は男だと言い張ったけれども実は女性なんじゃないかと最後まで思ってしまう終わり方でした。
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武蔵野にひっそりとたたずむ一軒の古屋敷。そこは、世界をはばかる逢瀬のための隠れ宿「左近」である。十六歳になる長男の桜蔵は、最近どうも奇妙な男にかかわることが多い。生まれながらの性質なのか、その気もないのに、この世ならざるあやかしたちを引き寄せてしまうのだ。彼らは入れかわりたちかわり現れては、桜蔵を翻弄するのだが……。これは夢か現か、人か幻か――。生と死の境をゆきかう、いともかぐわしき物語。
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面白かったです。途中から「この人もまたアレなんでしょ」と思ったら、100%当たってしまったけどw 個人的に長野まゆみ作品に限っては、人物のイラストを入れないで欲しいといつも思ってしまう。いやな絵ではないのだけど、自分の中でイメージしたいタイプの少年といつも違うから。
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長野さんの美しい日本語にあてられて幸せでした。桜蔵くんのガールフレンドが出てきたときは、おやっ!?と思わず身をのりだしてしまいましたが。ふふっ。
『天鵞絨』を『ビロード』と読ませる長野さんも恋しいですが、ひらがなの使い方や登場する物、風景、人の名前やしぐさなどで、こんなにも雰囲気が出せるんだなぁ、やっぱり長野さんワールドだなぁ、とうれしく思ったのでした。
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一話目の入浴中に天井から桜が舞い落ちてくるシーンは鳥肌が立ちました。目に浮かぶ幻想風景があまりにも綺麗にありありと想像が出来るのはさすがの手腕です。言葉が綺麗過ぎて本当に鳥肌が立ちます。
長野作品ドラマでも見たいなと思いつつ、「映像化は無理」な作品でしょう。もちろん下手にそんなことされたくないですが。
長野作品としては随分俗っぽいなと感じました。
ここまできたら直接的表現があってもいいですね。(嫌な方嫌でしょうが)
主人公・桜蔵の人間性が掴めないというか、翻弄される様がちょっと、だったんですが、そういう流されるところが「女」である所以なんでしょうね。
羽ノ浦先生の正体が気になる所ですが、他の方のレビューを読む限り続編があるんです…かね?是非読みたい。
あと気になるんですが浜尾にもされてるんですか?桜蔵君…(笑)
文章としては読みやすくなったなぁと思いましたが、今までの長野先生の文体に慣れていると逆に違和感もあり、すんなり読める所とそうでないところが浮き彫りになりましたね。
どの話も冒頭の状況説明が読んでいて好きです。
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艶めかしく妖しい、という言葉が似合いの作品でした。
宿屋「左近」が男同士の逢瀬の為であることもあって全体的に淫靡な雰囲気で
登場する男性はみな魅力的・・・
あやかし(男)に妙に好まれる主人公桜蔵も16歳という微妙な年頃の危うさが半端ないし桜蔵の父親の柾も,左近の常連の浜尾も”大人”の男の色気が半端ない
官能小説のように直接的な表現は無いのだけれど至る所から耽美かつ淫靡な雰囲気が溢れてる無性にゾクゾクとさせられた作品。
布石というか気になる事が沢山あって堪らないです
あと・・・桜蔵は結局毎度毎度美味しく頂かれちゃってるん・・・だよ、ね?
目覚めて裸だったって・・・どんだけ隙だらけなの桜蔵・・・笑
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この方の作品ははじめて読みました。
古本屋さんで見つけて、裏表紙のあらすじに惹かれて勢いで購入。
それを読んだ時点で想像していた設定とは結構異なり、
「あ、ひょっとしてやっちゃった?」
とも思ったのですが、読みすすめていくうちに、どんどん世界観に引き込まれていきました。
文体がものすごく好みですし、すごく幻想的な雰囲気が漂っていて、魅力的でした。
何より柾さん(主人公の父)がすごくかっこいい!
大人の男として、ものすごく魅力的でした。
そのほかの大人も、ものすごく素敵な人が多いです。
幻想的な感じのものが好きな人や、かっこいい男性キャラが好きな人にオススメしたい本です!
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和風ファンタジーだよね、もう。単行本持っているので、ある意味再読です。折角文庫版も買ったのに、あとがきが著者様じゃない(涙)と思ったけど、裏話的なネタが読めて興味深かったので、全然ありでした。でも個人的に、表紙は単行本の方が好き…。
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最近の長野さんの作風は正直アレでしたが(笑)、この桜蔵くんはなんだか好きです。千菊くんも、白昼堂々シリーズの正午みたいで可愛いし。
それより何より、単行本で読んだ私はこの文庫本の表紙に驚いた!綺麗!!ジャケ買いしちゃいたいくらいです。
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長野まゆみさんを久々に読んだけど、作風がかなり変わっていておどろいた。前より読みやすくなったかな?
相変わらずきれいな文章だけど、個人的には初期のが好み。
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長野さん、
「紺極まる」に続き二作目。
前回の主人公が少年なら、
今回の主人公は青年だそうで。
男が男を、
なんて書くとゲロゲロしたくなるけど、
長野さんの文章は
日本語が綺麗なので現代版の古典みたいです。
浮世離れというか
実際物語のなかの主人公・桜蔵は
源氏のような男たちの逢瀬や情事に使われている
隠れ宿「左近」の息子。
桜蔵の意思とは関係なく、男を惹きつけてしまう。
この世に想いを残している
あやかしという男たちをひろってしまう。
結末や伏線などではなく、
曖昧で強引な終わり方も素敵です。
交わるって感じです。
それが嫌味ではなくて、
ふわーっとしている感じです。
桜とか菊とか、
和、死、静、寂、情、交、古、気とか
漢字や言葉が響きが
1ページが綺麗な一冊です。
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ものすごく久しぶりに長野まゆみを読んだ。高校以来だ。昔はあのきらきらした言葉に魅了され、ほのかな雰囲気に酔わされたがあのころと作風が変わっていると感じるのは読み手としての自分の変化だけではないように思った。事実、解説にもかつての長野まゆみと現在の長野まゆみには意識的な解離があることが記されていた。そしてこの変化は好ましかった。私も中高生のころは古いことばや漢字を多用した文章を好んで書いたが徐々にだれもが読みやすいやわらかなことばを意識的に選ぶようになった。私ごときを長野まゆみと比べては失敬にもほどがあるが親近感をいだいたことはたしかだ。
そしてこの物語は決して直截には描かれないが明らかで艶かしい。とてもエロティックだ。これが少年ではなく青年の物語だからだろう。ほのめかされることは表現される以上に想像をかきたてる。悪くない再会だった。
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長野さんは本格的にこっちのほうに移行したのかしら。
なんていえばいいのか、いわゆるBLなんだけれど。あからさまな場面を描かないBLというか。
ただ、描こうとしている精神は、やっぱり「長野ワールド」なんだろうなぁとは思う。
良い意味でどこか現実感のない、作中のモチーフとしても使われている蛤の蜃気楼のような、お伽噺のような空気感。