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解説でも書かれている通り、犯罪そのものより
パノラマ島の描写が半分を占めるのが特徴的だった
そして同時収録の石榴はごくスタンダードな推理小説だった
発売された当時は評判が芳しくなかったらしいが、個人的にこちらの石榴のほうが好きだった
オチはどちらもあっさりした印象
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パノラマ島奇譚 石榴の2本
石榴の方が印象深かった。裏を読んでそのまた裏を読んで。。ジャンケンでそれを瞬時に判断できる人物。。凄いな。。
そして、美人だから惚れられるわけでもないのか、手に入れたからこそ他へいくのか。。。
パノラマは、主人公の創造する世界観を表現するには
他人の力が大分必要なわけだが、従った理由が気になった。。単純なお金なのか、説得しうるほどの魅力がその世界観にあったのか。。。
色々想像してしまう。
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昔のカルト映画を思わせる作品。
ただし、オチが「そんなんでいいの?!」というような
呆気ないもの。
それで、いいのかもしれない。
狂人の夢、それを具現化した奇妙な島。
そういったものを楽しむための娯楽作品として、完成しています。
どの作品でも同じことですが、
病的な美しさの表現は、乱歩自身が実際にそういった類の偏執者なんじゃないかと思うくらい、
油絵のように立体的で、粘っこく書かれていました。
あくまでもサイコであって、推理小説ではない。
それが乱歩の魅力であると思いました。
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えー嘘だ、嘘〜、そんな〜えっ、おー、おお、やばっ、ありえねー、ぜっていありえねぇーよ、そんなー、気持ち悪、そんな〜、おー、あはは、そりゃねぇよ、馬鹿馬鹿しいわ、見てらんねーよ、そりゃやばい、おーー、あーーそんなオチ、そりゃヤベェな、そのオチはやべぇよ、もう一度そのオチはやべぇよ、異端すぎ、奇譚すぎだろ、そこで、俺も裸体を拝みたいわ〜
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初めて読みましたがこれまでの江戸川乱歩とは少し違う世界観に酔いしれました。
「パノラマ島綺譚」は正に理想郷を舞台に一攫千金と楽園の為に犯罪を起こす男の話ですが、
トリックと言えば終盤の死体の隠し場所の謎解きくらいで
(それも目星を付けれるくらいの謎解き)ほぼ犯人目線で物語が進んでいくので、
逆に「一体この物語の終着点はどこだろう?」と乱歩の掌で転がされている感覚が強かったです。
乱歩本人が解説にもあるようにこのような夢想物語を描くことを恥ずかしいと思っていたようですが、
島に上陸してからの描写は耽美的で浮世離れしていて、
到底理解できぬ程の狂気なのに恐ろしく美しいと思ってしまう。
まるで宗教画や西洋絵画を眺めているような美しさで、
特に海中と最後の花火の描写は自分が「事件」を読んでいるにも関わらず、あまりの極彩色の暴力的な美しさに事件を忘れてしまう程でした。
「芋虫」や「人間椅子」とはまた違う狂気で、乱歩の才能に驚かされました。
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【概略】
売れない作家である一見廣介は、ある日、学生時代の友人で自身と外見がそっくりの資産家・菰田源三郎の訃報を聞く。その死因は癲癇によるもの。死者と瓜二つであること、癲癇は死亡と診断された後に息を吹き返すことがあること、その土地は土葬の風習が残っていること、この3つの要素が一見廣介に壮大で淫靡な計画をもたらした。
時期不詳 読了
2019年12月20日 読了
【書評】
おそらくは小学校高学年、または中学生だった頃に読んだ記憶があるこの「パノラマ奇譚」。久々に読んでみた。
「あれ?このM件S市(小説の舞台となった場所)って、三重県志摩市?」・・・という予感、どうやら当たったみたい。志摩市には江戸川乱歩の記念館があるそうだ。いつか訪ねてみよう。
なんとも言えない淫靡な雰囲気、この空気感はなにをもってもたらすことができるのかなぁ。一度、写経とかしてみたら吸収すること、できるのだろうか?パノラマ島の中を(かりそめの)妻と練り歩く描写は、少し長いかなぁ~とは思ったけど、計画を思い立ってから実行に移したあたり、また、計画が実行された最初のあたりの雰囲気は、なんともいえない感覚に襲われた。
おそらくは乱歩自身はそんな風に捉えてはいないと、そんな意図を含んではいないとは思うけど、パノラマ島での職人や芸術家に対する厚遇は、なんというか資本主義に対する、若しくは芸術や職人技術に対する冷遇へのアンチテーゼのようにも感じたなぁ。
推理小説・・・というには設定が都合よすぎる、けど、人間の欲の膨張と、蟻の一穴と、人体(とりわけ女体)を想起させるパノラマ島に対する描写・・・ベルセルクの「蝕」の時間のような、そんな感じで耽読できた(笑)
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昔読んだ少年探偵団シリーズ以来、久々の乱歩。一人の男の強迫的で幻夢的な妄想の極致。前衛的で自由な、ユートピア的ディストピアの描写に圧倒。表現者の幸福とは狂気的に突き詰めたコンテンツを産む事と思えば、これほど幸せな作品も無いのかも知れない。
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入れ替わりトリックを用いた殺人事件が題材。
しなし、トリックそのものよりも奇怪、混沌、摩訶不思議に満ち満ちた人工島の描写にこそ乱歩の真骨頂があるのだろう。海底トンネル、錯視を利用した造形物、動物のように主人に傅く人間…人によれば桃源郷にも映る景色の数々を想像するだけで恐ろしいような、それでいてどこか心地の良さを感じてくるから不思議。
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ミステリーやホラーというよりも
ファンタジー小説を読んでいるように感じた。
パノラマ島の描写は個人的には合わず
飛ばし読みしたくなりつつも…耐えて読んだ。
江戸川乱歩さんの文章が合わないのかもしれない。
が、短編小説でありながら、物足りなさを
感じさせないところは凄いと思った。
かなり粘度のある文章だからだろうか。
日頃からファンタジー小説を好んで読む方には
かなり合うのではないかな、と思う。
自分の好みには合わなかったものの
やはりパノラマ島に関する文章の事細かさは、
空想の世界として考えると惹かれるものはある。
締めの呆気なさはむしろ良かった。
あっさり終わったことでスッキリした。
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表題作を途中までなぜか村上春樹作品だと勘違いして読んでて (あれ?なんでこんな古風な言い回しなんだ?) と思ったら乱歩先生でした。でもそう思うくらい今まで読んできた乱歩作品とは雰囲気の異なるものだった。幻想的で耽美的。しかしラストの気持ち悪さに思わず笑い拍手してしまった。さすがっす先生。著者のエッセイでも書かれてたようだけど、パノラマ島の描写が確かに独特で想像力を要するので体力を使った印象。江戸川乱歩作品の推理やトリックを読みたい人にはあまりおすすめしないかも。
同時収録の「石榴」はコレコレコレィ!となるザ・推理小説。最後に始まる大どんでん返しの連続に「あっそういう…えっ違うの!?」と振り回されっぱなしで楽しい。
解説でも書かれてたけど、一人二役という共通点のある2作品を1つの本に収録してくださってることがおいしくてありがたい。
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表題作はミステリというよりは怪奇小説として面白かった。
色鮮やかでグロテスクな感じが乱歩っぽい。地上の様子も気になるけど、海底の様子が見てみたい!出てくる魚の画像を調べるだけでワクワクゾクゾクした。
乱歩地獄で映像化されてそうだなと思ったけど残念ながらされてなかった。しかし漫画があるそうなので是非読んでみたい。
石榴は2回目。無駄がなくて面白い。
てかここでもサード侯爵的な人が出てきてたのか…。
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表紙に惹かれて手に取った、久々の江戸川乱歩!子供の頃よく読んでいた。思えば私のミステリー好きはここが原点かも。
40年以上前のワクワクがよみがえる。
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「パノラマ島綺譚」、「石榴」を収録。病死した資産家とすり替わり、自らの理想郷を建設しようとする壮大で狂気的な物語であり、パノラマ島の異様で生々しい描写には作家の独特な感性と表現力の高さを感じる事が出来ます。
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乱歩の作品だと「押絵と旅する男」のような幻想怪奇趣味のあるものが好きなので、期待値高めで読み始めた。
予想はしていたけど、島の描写の比重が大きくてちょっとくどい。。でも沼のそばに寝そべる裸の女性と椿の描写の文章は、耽美で退廃的な筆致に魅せられて繰り返し読んでしまった。読み終わってから思ったけど、パノラマ島のイメージって、ヒエロニムス・ボスの「快楽の園」っぽい。
大きなインパクトと同時に虚無感も感じる終わり方が乱歩っぽくて好きだった。
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11冊目『パノラマ島綺譚 江戸川乱歩ベストセレクション⑥』
(江戸川乱歩 著、2009年5月、KADOKAWA)
1926〜1927年にかけて連載されていた表題作の他、1934年に発表された中編『石榴』も収録。
どちらも乱歩らしい耽美でグロテスク、そして奇天烈な作品である。
「そして、丁度その時、まるで申合せでもした様に、打上げられた花火の、巨大な金色の花弁は、クッキリと黒天鵞絨の空を区切って、下界の花園や、泉や、そこにもつれ合う二つの肉塊を、ふりそそぐ金粉の中にとじこめて行くのでした」