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手に汗を握って、というわけではないが、一気に読ませる筆力はある、この先の化け具合が楽しみな作家。
後半でオチがなんとなく見えてしまい、驚天動地なカタルシスはなかったけれど、安易なハッピーエンドで終わらせないところに非凡を感じる。このエンディングゆえに忘れがたい作品となるのでは。
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正直、裏表紙のこの解説ではあまり惹かれなかったのですが、長編賞受賞という言葉に惹かれて買ってしまったこの作品。ドッペルゲンガーとは異なる、といっても自分そっくりサンと出会って
ドタバタ騒動が起きるんだろうとなめていました。が、が、が!
あらぬ容疑で警官である加納に突き出された忍は、彼の車で高級レストランへと連れて行かれる。
そこでは、自分とまったく同じ容姿で自分の近くを闊歩する謎の存在、バイロケーションに悩まされる人々が会合を開いていた。そこで彼らが語るのは、とても理解できないようなおかしな話。そして胡散臭い会の名前
もう一人の自分であるバイロケーションをなんとかする会
彼らは本当にそのような存在を信じているのか。しかし、その存在を認めれば自身が被った容疑に説明を付けることができる。 そして被害を被った会のメンバーのためには金も権力も惜しげもなく使う謎の主催者の正体とは。
バイロケーションは身が偽物であると自覚していないため、本人がバイロケーションを憎めばバイロケーションももう一人の自分に対して憎しみを抱く。 作中ではバイロケーションを殺したいと思っていた警察官、加納は自分のバイロケーションと出会い、(お互いがお互いを偽物だと思うため)殺し合いにまで発展しそうになる。作中では絶えず『忍』視点で話が進むため、どちらが本物かは見分けがつかず、話を読んでいても何を信じればいいかわからなくなっていく。
二度読み必須の作品。最後は切なく終わります。
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【第17回日本ホラー小説大賞 長編賞】
最後は、飯塚さんの作戦ミスだなあ。
忍が最終的にあの選択をしてしまったのは、わかる。
自分より恵まれている偽物なんて、その存在に耐えられないよなぁ。しかも、自分がオリジナルのはずなのに偽物の代役なんて…。
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第17回日本ホラー小説大賞・長編賞を受賞した作品。
ストーリーは途中ごちゃごちゃして混乱してしまいましたが後半でどうにか納得。
まだ若手作家さんですが文体がなかなか好み。
今後の作品も要チェックです。
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角川ホラーからの刊行ですが、めっちゃミステリー。
とういえば映画化してなかったっけ?その後話題を聞かないということは失敗したのかしら??
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ホラー小説大賞、長編賞受賞作。
受賞時は20代やったんかな。
途中で意味が分かった時の、
あの鳥肌は忘れられへん。
確かにホラー。こんな…こんな感性、アリかよ?
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出版当時、表紙を見て面白くなさそうと思い、またあまりホラーっぽくもなさそうだとスルーしていたのだが人から勧められて読んでみた。面白かった。文章が凄く上手くて読みたい気持ちにさせられた。
バイロケーションは本物と同じスペックと記憶と経験を有してそれを更新し続ける上に、出現した時に得た経験値まで得て人生の競争相手になるので、ドッペルゲンガーよりもタチが悪い。イヤミスみたいな小説だった。
加賀美からの、目指してきた画家の道と恋人でどちらが大切かという問いかけに高村忍が出した答えの通りになって救いがない。そこがホラーだった。
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感覚的にはSFチックなミステリって感じかな?
バイロケーションとは、ドッペルゲンガーとは
違う同時両所存在。
本人に近いところに出現し、その時の本人と同じ姿、記憶を有し
本人として行動してしまう。そして、いつ消えるかわからない。
ある意味、それって怖い。
設定がしっかりしてるから、色々考えてしまいました。
哲学問答みたいな部分もあったし・・・。
自分だったら、どうするんだろう・・・とか。
怖くて猛烈に腹立たしくて、切ないなぁ。
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ドッペルゲンガーとか分身的な存在、バイロケーションを巡るお話。ジャンルはホラーだけど中身はホラーというよりミステリな感じ。
ホラーというジャンルにしては、設定が細かく、超常現象への恐怖というより、それに対するそれぞれの考え方に焦点を当てている様に感じた。
読んでいるうちに語り手や登場人物達が本体なのかバイロケーションなのかわからなくなってくる。
どんでん返しの連続なので、ドキドキしながら読めた。(実際に現れたらたまったもんじゃないし)
作者的にも内容的にもオチは読めていたが、それでも切ないラストだった。
買ってからしばらくしたら映画化した。映画版は色々設定がホラー寄りに変えられてるらしい。
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もう一人の自分、バイロケーション
いわゆるドッペルゲンガーとの恐怖と戦いを描いた作品です
話の展開も早く、主人公の心情もストレートに描かれていて
スラスラと読める作品でした
大きな驚きや予想外な展開があまりなかったのがちょっと残念
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映画のCMを見て興味を持ち読んでみました
CMだとホラー系なのかなと思っていたが、読んでみるとそんなことはなく怖い系というよりも超常現象系なのかなと思いました。
自分は読み進めていくうちにこの主人公はオリジナルなのか、それともバイロケーションの方なんじゃないか、と思い、途中で混乱していました(笑)
ただ、比較的ラストを予想しやすい作品だと思います。
少しひねくれた作品を好む人には合わないかもしれないです
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実はホラーミステリー。
設定がおもしろそうで購入。オチは期待外れの気もしましたが、ラストは…多少予測どおりとはいったものの、なかなかおもしろかったです。
途中、まわりくどいとかいうか、スッキリしないというか。伏線張りきれてない感じはありましたが。
読みどころは、この“もうひとりの自分”という現実離れした状況からの、実は奥深い衝撃的な結末。
よくあるホラーのただ怖いということではなく、人間であるからこそ・感情があるからこそ、恐ろしいということ。
幸福は共有できない…でも苦しみは共有してもらう。
まぁ所詮、現実の世界ではあり得ない。なんて思っていたけれど、読み終わってふと…
この苦しみや苛立ちの種類は、認知症とか精神病とか脳疾患を抱えている人の苦しみに近いのかもしれないと気づかされたら、私にとってはただのホラーミステリーではない特別な一冊に。
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ネタバレどーんとあるので気をつけてください。
まず始めに、えええええええそんなのありかよおおおおお!????
いやね、ミスリードは重要ですよ勿論、じつはこんなんでしたーとかよくあることじゃありませんか。ラストも納得が行くけど哀しいというか、映画の宣伝文句である、本物を必ず殺す、というアオリはあながち間違いでもなかったのだなあ、と。
簡単に言うと、所謂ドッペルゲンガーみたいな自分と瓜二つの存在をバイロケーションというのだけれども、そのバイロケーションはオリジナルの記憶も引継ぎ現れる時間もアトランダムで私生活がぐちゃみそになっちゃうんですよ、さあどうしましょう?というお話です。
んでもって主人公は結婚して画家じみたことをしてまったり暮らしているのですが、ある日バイロケーションに出会ってしまって、どうすべと奔走するのです。
そしてその中で、主人公自体がバイロケーションであり、本物は結婚したこともなく処女のままで画家としてのレベルは主人公に及びもしない哀しい哀しい人間で、とりあえずゴミクズじみたものになっちゃってて、ことの真相を知らされて、すり変わりゃ万事解決なんすよどーすか!?と言われて、ふざけんなあたしよりなによりも上にいきくさった人間に屈しろとかあたしである必要性なんかねーじゃねえか!とブチ切れて自殺しちゃいました。オリジナルが死んだので勿論バイロケーションも死にます。旦那はなにひとつ知らないまま、いきなりいなくなったバイロケーションを呼び続けるのです。
むなしー。
そりゃ、旦那はなにも知らないのだから、バイロケーションの代わりになればどうにでもなるのかもしれないが、それはオリジナルがなにひとつ関与してないものであって、それの代わりをしろったってしたいわけがねーよ。しかも入賞とかなーんにもとったことがなく決死の思いで送った作品が実のところバイロケーションが描いたものが入賞し自分の作品は一次予選ですっ転んでたなんて、そりゃープライドはズタボロ、自分の存在価値はズタボロ、死ぬことしかえらべないに決まってるべや。
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ホラーや! 途中でからくりは分かったけど、結末はあんまり予想してなかったなぁ。まあ、予想通りとも言えば言えるんやけど。ホラー要素の怖さが勝ちました。
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一気読みしてしまった。
ドッペルゲンガーと似て非なるバイロケーションという
設定は、突っ込みどころもなくはないけど
少なくとも作中一貫してブレずに小説の土台として
このネタを余すところなく使いきっているので
自分としてはこういうものだと納得して読めたのが
読後の満足感につながっている気がする。
こういう新設定は往々にして破綻しがちなんだけど
最後まで「やりきった」のを素直に賞賛したい。