投稿元:
レビューを見る
SFはほとんど読まないので時間の歪みとか難しかった。膨大な宇宙では一度離れてしまうと同じように進んでいる人に会うのは困難であるのね。「キャッシュ」「海を見る人」「門」の切なさが好き。
投稿元:
レビューを見る
7つの短篇を収めた短篇集です。個人的には「独裁者の掟」が良かったです。善悪は捉え方によってどうとでも変わるというのがよく分かります。「門」の最後のオチもニコッとさせられる爽やかなオチで良かったです。ハードSFということで専門用語も沢山でてきますが、判らないところはすっ飛ばして読むってことでも問題なく読めると思います。ただ私には判らないことが多すぎて少々消化不良ではありますが。
投稿元:
レビューを見る
表紙は「海を見る人」のワンシーン。
こうやって見れば、感傷にとらわれたせつない印象的な恋情場面なんですが。
このきれいだけど、せつない場面は、限られた期間だけの話ですよね。
老人の時間間隔では、おそらくきれいなままで見るだけでしょうけど。老人の死後、どうなっていくのかを考えたときに、ちょっとホラーなんじゃないかな?と思ってしまって、現実に引き戻されました。
なんか、そう思った自分が哀しい。
彼女が、引き伸ばされていくのって、そこまで観賞に耐えれるものですか?
舞台設定を理解するのに、体力使う物語が多かった。入り込むまでに、時間かかりました。
なので、入り込めたと思ったときは、たまらんね。
でも、短編集なので、入り込めている時間が短いんです。
投稿元:
レビューを見る
硬い方の小林泰三が楽しめる短編集。まずいろいろな世界を科学的に数学的に論理的に精緻に構築し、そこに人間を放り込んでみる。すると何が起こり、彼らはそれぞれの環境、ひいては世界そのものにどういった方法で立ち向かうのか、というある種の実験のような印象も受けた。SFとしてもおもしろいけど、解説にもあるように異世界ファンタジーとしても読める。『独裁者の掟』が鮮やかで好きです。
投稿元:
レビューを見る
初の本格SF。完全に文系の私には少し難しかった。
ただストーリーだけを見ても面白く、理系の恋愛小説ってこんな感じなのかなと思った。理系の知識があれば、宇宙の途方もない距離や大きさを実感できて、もっと面白かったかもしれない。
門の話だけはオチが読めていたけど、それでも面白かった。不思議で少し怖い。
投稿元:
レビューを見る
専門的なことはよくわからないが、独立した話がまとまって最終的に一つにまとまる(珍しく?希望がある)のは見事としか言えない。勉強になるファンタジー作品。何作か読み終わったが、自分は小林氏の表現する会話のテンポが好きなんだな、と気付いた。
投稿元:
レビューを見る
独裁者の掟はどう終わるのか予想出来ていなかったのでオチにびっくり。こういう系は読んだことあったのに。
天獄と地国は天と地の扱いが逆様の世界で暮らす人類の話。気になる終わり方だった!
海を見る人はなかなか救いのない終わりで、門はなんとなくわかってしまった…けど、話と話の間で会話してる二人の正体には気づけなかった。
SFだけど、切ない話が多かったように思う。よかった。
投稿元:
レビューを見る
数学的に図形を使って誰か解説してくれ
こんなにネットが発達した時代になぜそんなサイトが、うごのたけのこのように存在しないのか
そんな日は永遠にやって来ないのか
SNSの発達のせいで良質な評論サイトが減っている
投稿元:
レビューを見る
最初の「時計の中のレンズ」が唐突すぎて何回読んでも世界観がイメージできなかったので、長らく放置してあった。久々に読み直し、脳内チューニングが合ってくるにつれて生き生きと読めるようになった。
こんなによく計算されて、一般人にも理解できる程度のSF観、全部短編だけじゃもったいない!もっと詳しく説明して傍流のエピソードも膨らませて、一冊の本にすればいいのに!と思う話ばかり。
キャッシュ・海を見る人、が楽しかった。
投稿元:
レビューを見る
SFは割と好きだけども、面倒な難しい話はぶっちゃけ素通りなので、いわゆるSFファンというわけではなく。SFって2001年宇宙の旅みたいな、微妙な空気感があるような。そういう雰囲気が好きなわけで。でもってこの話はすっかり切なすぎな話に、時々いやそうなんか、どうなんだ、さっぱり分からんけどそこまで自信満々に話すならきっとそうなんやね、という難解な話のが交互にやってきて、これがいわゆるギャップ萌えってやつか。
投稿元:
レビューを見る
自分はハードSF好きだと言ってきたけど、これを読んで反省した。
ごめんなさい。
これからはミーハーハードSF好きと言います。
それくらいきっちりと計算されていたり、科学理論が描写の背景にある。
何と言っても作者が「ばりばりのハードSFファンの方々には、できれば電卓を片手に読んでもらいたい」と挑発的なことを言っているのだ。
「がっつり計算してますよ、お前らもやってみろ。ハードSF好きなら当然できるよな!」ということだ。
そしてこれを受けて解説で向井さんが「天獄と地国」の計算をしている。
これはもう計算なんか全然できない自分は到底ハードSF好きなんて口幅ったくて言えやしない。
とは言え、作者が言うように計算ができなくても十分楽しめる。
まぁ多少理屈や計算を見せたいがためにこの話作ったよね、というところが見える話もあるけど、全体的には悪くない。
一番好きなのは「門」。
時間関係好きなんだよね。
面白かったです。
投稿元:
レビューを見る
「時計の中のレンズ」★★
「独裁者の掟」★★
「天獄と地国」
「キャッシュ」
「母と子と渦を旋る冒険」
「海を見る人」
「門」
投稿元:
レビューを見る
ハードSFな短編集。時間間隔が違う人同士の恋愛を描いた、書籍タイトルと同じ「海を見る人」が面白かった。
投稿元:
レビューを見る
アイディアは秀逸なものが多いと思うんだけど、残念ながら、あんまり文章のうまい人じゃないようだ。あと、「門」はネタバレ。あの手の話はネタバレもしょうがないと思うので、それでも「うーん」とうならされてしまうようなヒネリがほしかった。(直球でした・・・)
投稿元:
レビューを見る
小林泰三さんの小説はアクが強い、というのが自分の中のイメージ。独自のユーモアやブラックジョーク、ナンセンス、詳細なロジック、特異なキャラクターに文体、そしてグロ描写と、合わない作品はどうにも合わないのですが、ハマるときはハマる、そんな不思議な作家さん。
この『海を見る人』に関して言うと、文章や独自のユーモアやといった小林さんのアクの部分は大分抑えめな印象。一方で精緻なSFの論理と世界観のこだわりであったり、通常の概念を揺さぶるような物語のテーマは健在。「綺麗な小林泰三さん」というべき短編集かも。(他の作品のイメージが、どんなんなんや……と思われそうだけど)
収録作品は全6編。そしてそれぞれの短編を繋ぐ、幕間の短い会話で構成されています。短編が語られた後にある、二人の人物の会話の部分が本全体の雰囲気を醸し出しているように思います。異なる論理が支配する世界での人々の考え方や生き方。それを読者はどう受け入れるか。その道標の一つにとして考えさせられます。
最初に収録されている「時計の中のレンズ」は難しかった……。どんな光景が広がっているか。世界観はどういったものなのか。ハードSFの論理は正直ちんぷんかんぷんだったものの、世界観の壮大さだけはかろうじて分かりました。
宇宙を舞台に遊牧民族の旅と、少年の淡い恋とほろ苦い成長を描いた短編です。
「独裁者の掟」は異なる二つの宇宙国家の戦争と、強国の統帥の独裁。そしてそれに翻弄される人々を描いた短編。
戦争の中奔走し、自分の使命を果たそうとする人々の生き様と、無慈悲な統帥の政治の様子の対比が印象的。そして意外な展開が待ち受けると共に、善と悪の概念が揺さぶられました。
「天国と地国」も壮大だったなあ。
侵略者に襲われ、壮大な宇宙空間を旅する四人の男女。ある日彼らは、うち捨てられた様子の拠点となりそうな星を見つけるが……
神話と思われていた星が存在するかも、そしてその星の正体は、というのがなんだか途方もなくワクワクする話でした。この短編を長編版にしたものもあるらしくて、そちらで物語のその後が語られるのかも、気になります。
「キャッシュ」は仮想空間と現実空間が交差する探偵もの。
この世界観と設定ゆえの捜査や推理であったり、そして犯人の正体であったり、結末であったり、そしてSFならではの哲学的な面もある、とても好みの短編でした。
「母と子と渦を巡る冒険」はこれが一番小林泰三さんらしい作品かもしれないなあ。
お母さんのためボロボロになりながらも宇宙空間をめぐり、情報を集める子ども。明るくユーモラスに(?)描かれるグロ描写ととぼけた雰囲気。そして結末のブラックさと、小林さんらしさにある意味満足しました(笑)
表題作の「海を見る人」は時間の経過が異なる二つの世界の少年と少女を描いた恋愛もの。
最後に老人が海を見続けている意味が分かると、切なさの中に一種の狂気的な部分も垣間見える、これも独特の短編だなあ。老人が見続けているものを想像するにつけ、残酷なようでいて、ある意味甘美なようにも思えて、気持ちがざわざわします。
「門」は量子テレポートとそれを守ろうとする人と、破壊しようとする人々を描いた話。
小さな宇宙船に艦隊が攻めてくるという、派手な書き出しから、艦長と語り手のいじらしい関係性に結末とこちらも面白かったです。
世界観を全て理解しようとすると、相当ハードルは高い気がしますが、ぼんやりとでも雰囲気さえ掴めていれば、どの短編もその世界観ならではのドラマに、読み手を引っ張っていってくれる、そんな短編集だったと思います。