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スタニスワフ・レムといえば、自分は先に「虚数」を読んでいました。
何はともあれ「訳者あとがき」に原版のまえがきを持ってきたのは正解かなと思います。これを最初に読んでいるか後に読んでいるか、で印象は違うでしょう。
正直なところ、わけわかんねー作品という印象のまま読みきってしまいましたが、そのわけわかんねーという部分が肝なんです。多分。
屑物書き的な観点から見ると「虚数」でも「ソラリス」でも、こんなに設定膨らませて、うまくそれを発散できてるのはスゲーなーと思ったり。普通膨らませた設定は収束させようと努力するであろう所を「(一見)わけわかんないだろ? でも理論的だろ?」と発散させつつも納得させられてしまうのだ。
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意思を持つ惑星「ソラリス」
科学が発展しても、宇宙というものの謎は、人間をあざ笑うようにゆらゆら揺れている。
死んだ妻のコピーが登場?
そんな現実、受け入れられますか?
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最近ハリウッドでリメイクされ、新訳も出版されたが、そんなものは★ひとつです。やはり旧版をオススメします。
通称「ソラリス3部作」の表題作。
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それまでとっつきづらかった海外SFを読むきっかけ。読みやすい。けど、悲しい。ソラリスの海は記憶を読み取って実体化させてしまうけど、それは記憶によって作られた実体であって本物とは違う。けど、その違いがどこにあるのだろう? その違いはどこで問題になるのだろう? 胸が締め付けられるような読後感があります。
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和モノを中心に読んでいるわたしですが、一番好きな本を挙げろと言われたら間違いなくこれを挙げます。それまでの色んな概念が覆される。人間の発想は、おしなべて自分自身の置かれている社会から飛び出すことは出来ず、多くの場合、産まれてからこれまでに見聞きしたもの・取り入れた概念の中でしか、ものを考えることは出来ないんですね。
翻訳も非常に好きです。なんてったって邦題から素晴らしすぎるよ。
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宇宙における未知なる物との遭遇は、想像すら出来ないことが起こり得る。あとがきのレムの言葉が私の宇宙に対する考えを変えました。
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星が、人を観測しているのね。心に入り込んで亡くなった大切なモノを蘇らせる。
旧映画に使われていたバッハの音楽が印象深かった。
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読み進めるのが少し大変でしたが、話自体はとても興味深いものです。
もしも、自分たちが立っているこの惑星に意思があったなら、しかも、今まで人間に興味がなかった惑星が人に興味をもって、積極的にアプローチしてきたら、
そのアプローチの仕方が、実に人にとっては痛いんですけどね(笑)
惑星ソラリスやソラリスの原作ですが、映画よりもやはり本のほうが想像力をかきたてられるお話では、ないかと思います。
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スタニスワフ・レム、1961年の作品。映画「惑星ソラリス」と「ソラリス」の原作である。ハヤカワ版が1977年刊行(訳は飯田規和)なのに対し、国書刊行会版(コチラのタイトルは「ソラリス」。訳は沼野充義)は2004年。国書版はポーランド語原典からの新訳版で、ハヤカワ版はロシア語版を原典としたので、少々内容が異なるらしい。が、特に結末に大きく影響を及ぼすようなことはなく、冗長すぎるきらいのある部分がカットされてるのがロシア語版という情報だった。どちらを手にするべきか少々迷ったが、長く読まれているハヤカワ版を手にした。
長い物語であるし、ソラリスの「海」についての描写や研究書については相当ページを割いているが、登場人物たちがソラリスにやってきた経緯などは深くは語られていない。この曖昧さが却って50年近く昔の物語の劣化を防いでいるのかもしれない。そして、描写が非常に美しい。「海」の描写のなんと美しいことだろう。恋人・ハリーの描写のなんと儚いことだろう。
読み始めのとき、わたしは「地球的な価値観で」ソラリスを当てはめて、ひとつ謎解きでもしてやろうといった気持ちでいた。しかし、そもそもそれが大きな間違いだった。ラスト、ソラリスの海での体験の描写は、圧倒的な美しさだと思う。それから、恋する人にもオススメの小説。泣けます。
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東欧産のSFということで、アメリカのものとは違う独特の雰囲気をかもしだしてます。特に登場人物の心理描写が素晴らしいです。ところどころ、ソラリスの歴史やソラリス研究について書かれているので、ストーリー一辺倒にならず、奥行きのある物語となってます。
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面白かったのは最初の100ページと最後の50ページ。それとレムのあとがき解説だった。
不気味な黒人女性との出会い(結局彼女は何だったのか…ギバリャンにとってのそれなのか…?)やハリーが出てくるくだりの緊張度は非常に素晴らしいものがあったんだけど。
中盤は物語における過去の解説が大半で、説明口調なところがあって興醒めした。
そのテーマについては興味深いものがあったんだけど、これから起こる現象を通じて描けなかったのかなぁって上から目線。
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タルコフスキー監督『惑星ソラリス』を観て読みました。映画と違ってソラリス学の考察(学説)が、結構な割合を占めていて、難しく理解出来なかった。ただ人間的思考から「未知」を「既知」と捉えるのではなくて、「未知」は「未知」のものとして考えられたことに、すごく納得いった。
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意志を持つ「海」で覆われているという惑星ソラリスに赴任した研究員が見せつけられる過去のトラウマ。「海」の仕業らしいが、それが何を意図したものなのかは最後までわからない。
未知なるものとの遭遇がどういう意味を持つのか考えさせられる。
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映画化も2度。スタニスワフ・レム氏のSF小説。
森見登美彦氏の『ペンギン・ハイウェイ』の海のモチーフにもなっている作品で、いつか読みたいと思っていました。
1960年台に発表されている作品なので、『2001年宇宙の旅』とか『スターウォーズ』とかとほぼ同時期の作品なんですね。
「ソラリス」は、精神に働きかける海。作中でも心理的な生体解剖と表現される海からの働きかけは、かなり残酷です。主人公たちの苦悩がしっかり描かれていますね。読んでいて、結構、重苦しかったかも。
また、あまり背景が語られない作品なので、理解しながら読むのが難しかったのも事実。
ただ、同時期のSFの中ではかなり異色と言ってもいいんじゃないでしょうか。未知との遭遇のひとつの形ではあるのですが、ただの宇宙戦争ではなく、何重にも折り重なったテーマ性が作品を深いものにしていると感じました。
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不可知なる物を目の当たりにすると、こんなに豊かなドラマが生まれる。
映画版は割とメロドラマティックな展開が印象に残りますが、原作はもっと淡々とした情景描写やSFチックな解説調の文章が多く、とても静かな作品です。が、ソラリスの海という最後まで謎のままの舞台装置を通じて人間の内面を照射する世界観は、原作も映画も同じスタンスを取っていると鴨には思えました。大きな盛り上がりはないけれど、しみじみと来ます。