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長岡弘樹さんの新刊は警察小説である。警察学校での成績が同点1位だった2人、戸柏耕史と陶山史香を中心に展開する連作短編集になっている。
この2人、交番巡査時代から手柄を競い合い、順調に出世の階段を上っていく。彼らの立場はどんどん変わり、最後には定年退職後を描くという、警察小説としては異例の大変長いスパンの物語になっている。なぜそこまで張り合うのか?
これが男性警察官同士のライバル関係なら、さほど珍しくはあるまい。現在では多くの女性警察官が活躍しているし、女性警察官が登場する作品も多いが、男性社会での孤軍奮闘という描き方が多かったと思われる。
互いの点数を探りつつ、利用できる局面では利用する。そんな2人だが、対等な関係とは言い難いことがすぐわかるだろう。どちらかといえば、耕史が史香に助け舟を出している。巡査時代の史香は、捜査手法といいあまりにも未熟に映る。
2人の出世スピードの早さに戸惑うが、各編はミステリーとしての意外性に満ち、短編としての完成度も高いのはさすが長岡さんである。2人が年齢を重ねると同時に、かつての関係者が立場を変えて絡んでくる。連作としてもツボを心得ている。
後半に入り、段々突っ込みを入れたくなる場面も増える。特に…おいおいおいおい、高い志はどうしたんだ…。しかし、経歴に傷がつくのを巧みに避け、出世街道を驀進する2人。もっとも、その陰にはゴニョゴニョ…だったわけであるが。
最後の「残心」は前篇・後篇に分かれている。2人とも警察官を勤め上げ、もはや張り合う必要もないのだが、奇妙な関係に終わりはないらしい。警察OB・OGとして、鋭い観察眼はいささかも衰えていない。そして見抜いてしまった。
何を見抜いたかは読んでみてください。こんなに駆け足で2人の警察人生を描き、最後の最後に何だよそれはっ!!!!! 元々後始末をきっちり描かず、読者の想像力に委ねる長岡作品ではあるが、こんな結末で読者にどうしろというのだ。やられました。
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連作短編で、長い時間の流れを描いた作品である。
しかし、時の流れを実感するというよりも、あまりにも駆け足で語られたような感じがしてしまった。
新人警官だと思っていたら次は警察学校の教官、片や外国へ派遣など、戸柏と陶山の立場はめまぐるしく変わる。
この、不親切なまでのぶっきらぼうな語り口は、読者に高度な想像力を要求する。作者が想定している事柄を読者も精密に読み取らないと、話の流れも意味合いもつかみそこねてしまうのだ。ふだん、丁寧かつ親切な語り口に慣れてしまっている私には、とても困難な作業だった。
そしてあのラスト。なぜあの時点なのだろう。そして結局わからなかった。なぜそこまで二人が張り合うのか。きっとたくさん読み落としているんだろうなあと思うが、無口な人と対応しているようなもどかしさで疲労困憊である。何度も何度も読み返すことでしか読み取れないんだろうなあ……。
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『教場』よりは身体的苦痛(耳にありんこのような…)がなくて良かった。
新人警察官から署長・副所長まで2人の警官が立派に成長したのかと思ったのだが…こういう結末だったとは。
長岡氏はいとも簡単に警察官を犯罪者にしちゃうよね。毎回肩透かしくらうよね。
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何かわからん!これは、面白いのか?
2014.10.31
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警察学校での成績が同点で一位だった、戸柏耕史と陶山史香。彼らは卒配後も手柄を争い出世をしていくが――。なぜ二人は張り合い続けるのか?ベストセラー『教場』につづく異色の警察小説。
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第一話から第八話まであるが、章が変わるごとに時間もぐっと進んでいたりして、初めは多少戸惑いもあったが、新人警察官が、歳を重ね昇進し、署長まで務めて退職してのちまでの長い長いスパンで描くことで、戸惑いと愛情の深さを思い知ることにもなるような気がする。警察小説としては邪道なのかもしれないが、人間ドラマとしては奥深いのもがある一冊である。
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警察ミステリ。同期であり、ひたすら張り合う二人の男女をメインに描かれるさまざまな事件。二人の関係はそのままに時は流れ、それぞれの立ち位置が変わっても切れない繋がり。彼らの間に何があるのか。
最後まで読んで、それまでに起こったさまざまなことが一気に意味を持ってくるのには愕然としました。すぱっと明快に描かれる部分が少なく感じますが、その分じわじわと重みを感じました。
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短編小説に定評のある作者の警察モノの連作短編集。今回も伏線を色々はって最後に回収をしていくのだが、その回収の仕方というのか、はっきりしたものがない表現が多くわかりづらかった。二人の同期の警察官の関係性も何だかわかりづらくラストでやっとはっきりしたような。
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この作者の作品は、おもしろいのかもしれませんが、その伏線の張り方に、違和感があって、あまり楽しめない。。。
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#読了。連作短編集。警察学校の同期の戸柏耕史と陶山史香。二人は順調にキャリアを積み出世をし、警察人生を終えるが・・・なるほどというか、少々釈然としない気も。20代から60代まで淡々と綴られているのは面白かった。
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分かり難い。登場人物の関係も、時系列も。なので、事件が解決しても、すっきりしない印象です。何度も読み直す気力もないので、分からないところは分からないままでいいや、と思ってしまいました。
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作者がやりたいことは、判るのだけれど。
とにかくも、長い話の中で最後まで解決を引っ張った事件の詳細が、終始全く読者に説明されないというのが何とも、不満しか残りません。
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2014.12.6警察学校をトップで卒業した耕一と史香が互いに張り合いながら警察の組織の中で出世していく話…と思ったら最後に意外な事実が明らかになる。とてもわかりにくい話だった。短編それぞれのエピソードは面白いのだが、最後、何か奥歯に物がはさまったような…。読み終わり、隠されたことが明らかになった後も釈然としない感じ。
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著者得意の警察ミステリー。今回は同期男女の警官が手柄を競い合いつつも、事件に直面するたび、お互いの警官としての覚悟を認め合いながら成長するというコンセプトは著者の作品としては珍しいのでは。
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警察学校で同期だった男女が主人公の長編ミステリ。無駄に上昇志向の強い主人公達には感情移入できませんでした。いわゆる「事の真相」に関しても非現実的なような・・・
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2015年の初読書は長岡弘樹の連作短編集にしてみた。『教場』に続き、長岡弘樹にとって警察小説は2作目。どちらかというと『教場』の方が好みである。この作品も異色の警察小説のジャンルになるのかもしれない。長岡弘樹が得意とする人間の情の部分を最大限にひき出し、読者をグッと作品の中に引き込むところが素晴らしい。戸柏耕史と陶山史香。この2人は切っても切れない縁なのだろうなと思う。結末はとても、考えさせられた。本当にこの人は上手い。