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連載100周年を記念して、昨年末に発売されたメモリアル版。間違いもそのまま残してあったり、内容もさることながら、コレクションとしても持っておきたい一冊。
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よく出来たストーリー、説得力のある内容。語り部となる学生が出会う「先生」の秘密が最後の長い手紙で解き明かされていく。
自殺を図る理由にも納得がいくが、残された奥さんご真相を知らされないのはある意味残酷でもある。自殺した先生は知られたくないと思うだろうが。
手紙の終わりとともに物語が終わるのも斬新で余韻を残す。武者小路実篤の友情もこれを模したのだろうか。
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本は知識を得るものとして、読んでは捨て読んでは捨てているけれど、ずっと手元に置いておきたい本もある。
漱石の自筆原稿を、誤字もそのままにおこし、見返しには自身が描いた装画を使用。大正3年に朝日新聞に掲載されたそのままのスタイルを守って甦った漱石の「心」。手触りも文体も装丁も、私の大好きな「ザ・本」です。
内容は教科書でも読んだことのあるおなじみのものだが、読み返してみると先生のエゴに改めて憤りを感じる。「やっちまったことは仕方がないぢゃないか。自責の念に駆られていつまでもうじうじと…!挙句の果てに死んでしまうなんてKに対しても奥さんに対しても失礼ぢゃないか。しかも明治天皇崩御に伴う殉職と絡めて自殺の言い訳するなんて男らしくない!」と本人をなじってやりたい。
そして「私」が先生の何に惹かれて家に通うようになったのか、プー太郎である先生から何を教わっていたのかが疑問として残る。
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2/21は「漱石の日」
『こころ』の刊行から100年を記念し、
祖父江慎さんがブックデザインを手がけた新装版を。
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古い本を読み慣れていないので、当初は随分と読み進めていくのに時間がかかりましたが、ある程度慣れてくると、(携帯片手に漢字や意味を調べながらですが)読みにくさも味?に感じる程度には慣れました。慣れてきた上で、特に後半というかほぼ最後の1割程かな?の臨場感というのか、疾走感というのか…良かったです。ドキムネ感?
教科書なんかで読むよりも、なんというか…本というよりは、私的な日記を覗き見したような罪悪感ではないですが、ドキムネ感?を感じれて良かったです。
語彙力ないし普段は読みやすいものしか読んでいないので、勘違いかもしれませんが…少しの達成感もありました。笑
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本題の「心」はたくさん出ているので、ここでは本の装丁について。
ブックデザインをした祖父江慎は夏目漱石本のコレクターとしても知られ、初版本から児童書、朗読CDまで所蔵しているとのこと。その彼が手掛けた「心」本はとんでもなかった。
まず初版本のデザインをほぼ踏襲している。表紙、前見返し、後見返し、口絵は漱石本人によるものを使用。本文は読みやすく現在のフォントに置き換えられているが旧仮名遣いはそのまま、書き間違いもそのままとしている。序文も漱石自身が朱を入れたままのもので、ページを広げれば夏目漱石が書いた作品を読むのだ、と背筋が伸びる。ノンブルも漱石が書いた数字をフォント化して使用している。更に「先生と私」「両親と私」「先生と遺書」それぞれ色が変えてあり読みやすくなるよう工夫もされている。スピンもついているし。
ここまで「夏目漱石作」にリスペクトした本があるだろうか。詳しい引用は巻末の452、453P読んでほしい。ちょっとした宝探しもできる。装丁は本だけでなく函(このの出版不況の時代に函がついている)にも様々な仕掛けが施されている。
本文だけでなく装丁まで「夏目漱石」の作品を楽しみたい方におすすめしたい。帯の「KOKORO naked!」は伊達ではない。作家・夏目漱石を世に出した岩波茂雄の出版社、岩波書店だからこそできる渾身の一冊。