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タイトルの通り、議論に打ち勝つためのトレーニングを提供している。相手に言いくるめられることなく、あるべきゴールへたどり着くための方法論である。
議論の基本構造は、「共通の問題について、片方の主張があり、他方のツッコミがあり、これに最初の人が応答する」というものである。ツッコミと応答のやりとりから成るわけだ。片方がツッコミを入れることなく、了承(納得)してしまえば、議論は終わりとなる。
コンサルティングの現場では、ソフトにツッコミを入れることで発見を促す。
科学論文や科学的事実がなぜ正しいとされるのか?
それは提示された証拠が厳しい批判に耐え抜いたからである。ツッコミを乗り越えることによって、自他ともに認める客観的な真理となる。詳しい人が言うのだからそうなのだろう、というのが暗黙の了解になっており、正しいかどうかを判断するには高い専門性が必要になる。
議論でよく見られる「人それぞれ、色々な考えがある」という相対主義はコミュニケーションを不可能にする。それぞれの意見が孤立し、個人の好みと選択の問題に矮小化されてしまう。議論の軸を提供し、比較を促すことで、ゴールへ導く。
ーキーフレーズー
・議論では、正解を求めるのではなく、主張が妥当かどうかを検討する
・もう一度定義を言ってもらえませんか?→同じ言葉が同じ事態を指すことを確認する。
・例示とデータの使い方には穴が多い。データソースが不正確、ウミガメの例。統計的な偏り、吉原の遊女の例。
ー以下、メモー
簡単に納得してしまう人は本書を読むと良い。十分なTipsが与えられている。目の前の情報を常に整理し、論理的に正しいか、抜け道はないかを考える。正しいと思っても、論理的な飛躍がないか、可視化すると良い。統計には特に注意が必要だ。