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<目次>
第1章 経営側が隠しているエグゼンプション導入の本音
第2章 なぜエグゼンプションはひつようになったのか?
第3章 なぜ欧米人は、しっかり「働かない」のか
第4章 労働者都合でのエグゼンプション設計
第5章 どこまで日本型を変えるべきか
第6章 法律でできることと、企業が考えること
第7章 みんなで歌う、日本型雇用へのレクイエム
<内容>
雇用問題の第一人者の最新の著書。いわゆる「ホワイトカラー・エグゼンプション」について、問題点と利点を明記して、いいとこどりの提案をしている(欧米型雇用と日本型雇用のいいとこどりも)。
話はわかるけど、実現はどうなのかな?と言う部分と、タイトルを見たときに感じたイメージと内容が合致しなかった(体を壊してまでの仕事人間はやめよう、的なイメージだった)ので、★は三つです。
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さすが海老原さんです。ホワイトカラー・エグゼンプションについて、本質を的確に指摘・整理(かつ新書というボリュームの中でコンパクトに)しています。「まさに」という内容。
いみじくも海老原さんも最後の章で触れられていますが、日本企業の雇用を巡る他の問題、例えば女性活用の問題も同じですが、ここまで日本雇用の「本質」に遡って考えないと、議論がとても表層的になってしまい、先に進まないんですよね…
企業人事に関わる方や雇用問題に関心のある方たちは当然のこと、サラリーマンは読んでおくと良い、日本の雇用問題の「基本書」だと思います。
必読。
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海老原嗣生"いっしょうけんめい「働かない」社会をつくる"
雇用ジャーナリストと称する著者による、日本型労働慣行の再考。若手の育成システムなど評価すべきところは評価する一方で、全員が幹部候補生などの無理のあるところは廃して欧米式の降りた人コースの創設を提示。
人生を半分降りる、というとこれまでは哲学の領分であったような雰囲気もありますが、本書では現実的な目線でそのモデルを提示しています。アメリカ式の夫婦ヒラの共働き、400万円×2人で世帯年収800万円など。今のところ、これを実現できるのは公務員や教師のヒラ夫婦くらいのものでしょう。
○長らく日本型の人事管理は、年功昇級・昇給が基本となっていた。昨今ではそれが緩くなってきたとはいえ、ヒラでいる限り依然として年齢による給与アップは大きく、同時にその分同じ職務ポストなのに、若年者よりもより難易度の高い仕事をさせられる、という傾向は強い。
それについていけない社員には、厳しい査定で賞与による年収調整を行う。が、それでもやはり、市場給とは乖離した高給与のため、彼らは転職もままならない。
○誰もが社長や役員になれるわけではないのだから、無限の階段は、どこかで終わり、あとはフラットになるべきだ。そこからは給与は上がらない。その分、仕事の難易度も責任も増さない。だから、習熟にしたがって、みな早く帰れるようになる。そんな「階段を卒業した人用のコース」を設計すべきだ。
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海老原本にハズレなし。
日本と欧米を中心とした人事制度比較を中心に。自分の今の環境が比較材料になってから、この手の本はより楽しめるようになった。
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ホワイトカラーえぐぜぷしょんを導入するとしたら、という話だけれど、現実にはずいぶん違う方向へきてしまっている。雇う方にも雇われる方にも。
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ホワイトカラーエグゼンプションを残業代論議にとどめず、日本型雇用変革の一大エポックに育てるべき
現在の大手企業の熟年非役職者は、転職困難な高年収
欧米は、出世していくエリートと、そうではない大多数のノンエリートに分かれた二層社会であり、ワークライフバランスが充実しているのは低給である後者
安い熟年労働者が多いため、若年層の雇用阻害
超過勤務手当は新規雇用を生み出す
エグゼンプション(例外)は、余人をもって代えがたい人材
欧米は仕事を人につけるが、日本は人に仕事をつける
キャリアの中盤までは日本型、後半はエリートコースと給料は上がらず責任も増さないコースに
何かをやってもいいという法律はつくりにくいので、エグゼンプションこそ日本型を変える最大のチャンス
キャリアの中盤以降は、年齢相応の難易度と給料という概念を捨てる、それが習熟が進むことで労働時間が短縮することにつながる
残業代がなくなり、働かせすぎが起こる可能性もあるので、今までよりも安全衛生管理基準を厳しくし、しっかり休ませる
年間労働日数の上限を設定
年収600万でエグゼンプションとなるが、ワークライフバランスが充実しているので、夫婦共働きができる
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中高年部下なし名ばかり管理職、その存在から日本型雇用の破綻点を暴き出し、欧米型雇用を接ぎ木することで全体の満足度をあげようという趣旨。法的な整備と、会社側の努力がないと著者の主張はかなわない。時間軸としてはまだ先になる印象だ。
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ホワイトカラーエグゼンプションについて論じた書。海外主要国の人事制度と日本のそれを比較し、日本式の良い点を残しつつの折衷案を提案。マスコミは残業代ばかりフォーカスするが、いかに表層的なものかがわかる。
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わかりやすいつくりの新書。
特に、日本と欧米との働き方を比べることにより、日本型労働のメリットとデメリットを明らかにし、そして欧米型に段階的に移行していくべきという論点を示していく流れわかりやすい。
自分は今の会社でやりたい仕事なかなかやらせてもらえなかったけど、希望以外の部署に配属されて人間関係とか仕事内容でためになったなぁと思うことは多々あった。
熟練者ばかりになったらほんとに残業しなくなるのかは、今の職場を見てると首をかしげるけど、筆者が言うように多面的に変えていく方向であれば、残業しなくてよくなってくれる気もする、、面白かった。
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エグゼンプション(例外という意味。ここでは残業代不払い制度のこと)をうまく活用して、日本型の雇用環境から欧米のジョブ型雇用環境へ半歩でも進もう、そのためにはどういうビジョンと知識を持っていればいいのか、そして、移行していくためにはどうしたらいいのか、どう構えればいいのか、を説いた本です。ただ、そこでは、新卒採用からはずれたり、中途退職したひとの再チャレンジについては、あまり立ち入っていません。本書の三章を読んだ時点で、日本型のよさが、若者たちの就職しやすさという恩恵にあり、そこが捨てらずに欧米のジョブ型に移行できないのならば、定年を35歳くらいにして、35歳からはジョブ型で、そこから再雇用・再就職したらダメなのかなと思いました。60歳定年だとかを維持するよりか、定年を無くすか、思い切って30代で定年にして労働市場に放るかするといいのではないかなんて思い浮かんだんです。それとは別に少数のエリート層がばりばり働けばいい。フランスはエリート層が長々と働き、そうではない多数のひとはワークライフバランスを考えるようだ、と三章までには書いてあった。そうして読み進めていくと、著者もちょっと似たような結論を持っていました。30代くらいまでは日本型のメンバーシップタイプの、新卒採用で総合職として「人に仕事をつけていく」やりかたを残し、それから限定社員など欧米型のジョブ型の雇用方針にしていくというのです。僕のぼんやりした思いつきが、詳しく論理的に展開してく感じで、その後は読み進めました。
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日本型がいい、欧米型がいいという話ではなく、どちらにもメリット・デメリットがあって、年齢に合わせて日本型から欧米型に移行していけばよいというのは、たしかに。混ぜ合わせるにしても、欧米で日本型を取り入れていくより、日本で欧米型を取り入れていく方が、実現の可能性が高そう。p.182の欧米と日本の家計維持の図表が分かりやすかった。
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ある方がおすすめとして紹介していた本でした。
この著者の本は何冊か読んだことあるが
今回の本は、私が特に最近疑問に思っていた
日本以外の国での、新卒の雇用の入り口がどのようなものか
雇用維持がどのようにされているのか
という情報の記載があって、
日本型のシステムが、悪いとことばかりではないこと
欧米型をそのまま導入すれば良いということでもないこと
でも、このままではまずいということ
が、おぼろげながらわかった気がする。
この本が書かれたのは5年前の2014年なので
その後の、状況がどのように変化しているのかという点は気になるところ。
とはいえ、日本は良いも悪くも変化は緩やかなので大きくは状況は変わっていないけど、今年の4月から、労働基準法が改正されて、少しまた変化というところか。
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海老原氏の今までの著作と比べると、かなり真面目に書かれている。タイトルは奇をてらっているが、内容は他の先進国との比較、エグゼンプション、正社員と非正規社員、今後は欧米と日本のいいとこどりによる労働市場の活性化、中高年でも転職しやすい状況をつくることなど。
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日本型雇用のメリットも活かしながら、その改めるべき点も示した本。欧米礼賛にならず、事情に応じた働き方を選べそうな予感がしました。
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大企業から中小企業への転職が成り立たないのは、年収の差があるから。
欧米の普通の人は40歳以降昇給しない。もともと昇進制度はない。
フランスでもエリートは日曜労働=ガードル層
日本型人事管理は、全員ガードル層
欧米は仕事に人をつける、日本は人に仕事をつける。
職務範囲の限定、ではなくポストと人の結びつき。
欧米では、異動や昇進はない=別の会社にも応募しやすい。
社内での応募は玉突き人事を発生する=外部に人材を求めやすい。
日本型は人事が自由=会社という袋に入る制度だから=自由に仕事を割り振る反面、首にできない。
エリート学生でも、入口はLP(幹部候補だが、2年程度の非正規)
日本型は入社の段階で肌合いのいいひと、に絞られる。
若年雇用の仕組みがあれば、若者の高失業率は避けられる。ドイツの例。
半休制度と労働日数上限でお付き合い労働を防げる。
年収が高くなければ転職市場は盛んになる。
新卒の採用条件は、仕事が上手くできるか、仲間とうまくやっていけるか。