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論点は分かりやすかった。
ただ、本書にもある通り、サンプリング事例がある程度偏っており、まずはここから、ということなんだろう、と思う。
比較的恵まれている層でこのレベル、と考えると実態はもっとひどいんだろうなあ、と思う。
本書の読み方にもよるのだろうけど、もっと残業のない社会(夫も育児しやすい環境)が大切なんだろうな、と感じた。それが難しいから、なんですが。。
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個人的に今読むべき本だった。
なぜあんなにバリバリ働いていた女性が出産を機にぶら下がりのように見えたり、辞めてしまうのか。そこには男性のオトコ並み働き方を前提とした社会、そこに対応した名誉男性と女性性を受け入れている女性同士の対立でそもそも社会は変わらない、など…
今までの自分の考え方に新しい視点を入れてくれた良書。
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つまり、社会は「女性と男性を同じ存在にみなす」のではなく、「女性【を】男性【と】同じ存在にみなす」ことを目指し、女性に対しては、男性と同等に学業や地位達成を果たすという意味での「男なみ」を求めてきたのではないか。
あと、ケア責任という言葉。言われてみると必要な定義だな、と。
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働きたい、産みたい、育てたい、良き妻でありたい、という女性が、会社と家庭で抱える悩みについて、社会の構造的視点から指摘をしてくれる1冊。
うんうん、分かる分かると思いながら読み切ってしまいました。
やりがいをもって働きたいけど、家に帰ってご飯も作りたいと思ったら残業なんてできないし、それでも残業しないと終わらない仕事量だし、それに子供も産もうと思ったら仕事量は減らさないと無理だけど、周りがフルで働く中自分だけ仕事量減らしてもらうのも罪悪感だし…そんな中で女性の活用なんて政府方針かもしれないけど、現実問題不可能…とか限りないジレンマを抱える女性の生きにくさが言語化されてます。
男性の家庭進出がもっと進まないと、女性が社会にでたってやることは増えるだけ。
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やる気はあるのに、思うように働けない女性たちがいる。両立が出来ないのではない。周りがやりがいを奪っていまっているのだ。もちろん子供ができて優先順位が変わる人もいる。それでも、やる気ある女性が不必要な配慮をされることなく、働き続けることのできる社会であってほしい。
論文としての有意性はともかく、こんな女性たちがいるんだという、生身の声が世に出ることに意味があるんだと思う。あとがきに著者の思いが詰まっていてじんとくる。
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学術論文なのか、ドキュメンタリーをまとめた本なのか、
問題意識と意欲だけで中身が伝わりにくいちょっと惜しい本です。
自分自身は育休世代のジレンマを体感しているので、あまり学びはなかったです。自分のかかえるジレンマを他人に説明する時に使えるといいなぁという想いもあったのですが、ちょっと期待はずれでした。
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サンプリングが高学歴に偏っているが、それはそれで傾向が見えて良かったのかも。
著者に近い属性に関心があったからかもしれないが…
ぜひ他の属性の育休世代の女性もサンプリングしてまとめてほしい。
普遍的ではないにしろ、一つの傾向が書かれていると捉えました。
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この本を引用したブログ記事を書きました。
「0歳で保育園に預けたのですが、仕事を辞めるので、おそらく今年退園になります。そんな立場で考えたこと。」
http://umet.hatenadiary.jp/entry/2016/02/21/101316
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バリキャリには程遠いけれど、子育てと仕事の両立を目指すうえで
共感できる部分は多くあるのではと感じた。
完璧主義を捨てることが大事なのかもしれない。
15人のモデルケースしかなかったので、もう少し統計的にみてみたい。
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社会学の書籍としても、組織論の書籍としても、ジェンダー論の書籍としても優れた良書。現時点の日本では、女を受け入れ、女としてのキャリアで妥協している層がキャリアを積んでるとうのが皮肉だった。
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なんでバリキャリ女性ほど出産を機に辞めてしまうのか、その辺の理由、背景が分かりやすい。
確かに、男性にも読んでほしい本。
自分が出産を控える立場になって感じることだが、復帰してバリキャリを続けるか、それなりに妥協して働くか、会社を変革してさせるようなパイオニア的なスーパーな女性を目指すか、戻る場所があることに感謝して淡々と与えられた業務をこなす日々を送るか、など、どんな立ち位置とかスタンスで行くべきか、将来の自分を想像しながらもまだまだ他人事として考えてしまう。
実際に、育休から復帰して、両立してみてはじめて見えてくるものもあるんでしょうね。
色々考えさせられた。
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産休・育休等の制度が徐々に整備されてきているが、仕事を辞める女性、意欲が低下したようにとらえられる女性がいる。まだまだ課題はたくさんある。
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分析対象のサンプル数が少ないので定量的には説得力がなく、筆者の「書きたいこと」が色濃く出ているので嫌いな人もいるかもしれないけど、
こういう「日本社会における女性の働きにくさ」を実際に経験して、具体的に声をあげることは大事だと思う。
現代に働く女性の一人として、制度はどんどん新しいものができているのに、依然として変わらない男性優位社会に漠然と不安を感じていたので、そこをビシッと指摘してくれていたところがよかったな〜
こういう本に対して「フェミニストが!」とか「女は生意気」と言われることがあれば、日本は本当に終わってると思う。
自分だけがよければいい、既得権益を守りたい、なんて考えはモテないよ。
漠然と将来に不安がある時代だからこそ、共感力というか、寄り添える力が必要なんじゃないかな〜
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著者が1984年生まれで同い年、ワーキングマザーの書いた本ということで手に取ってみました。
勉強もできて、大企業の総合職に就いて、晩婚・少子化が進む現代においては比較的早く結婚して出産もした。
言ってしまえば「勝ち組」のバリキャリ女性たち。生め、育てろ、働け、の全てをこなす“スーパーウーマン”たちは、はたして偉い人たちの言うように輝いているのか?というと、既存の企業のシステムや世間が求める「母親像」などに苦しめられたりして、実はボロボロだったりする。
…とはいっても食うに困っているわけでなし。こんなことは贅沢な悩みだ、私たちの苦労なんて苦労じゃないよね。…と、ものわかりが良く声をあげない彼女たちに対し、著者は言います。
贅沢だとか、あんたたちはどうせ勝ち組だとか、人は言うかもしれないけれど。
同じ立場の男性たちは全く経験しない苦労を味わっていることを、隠してはいけないのでは?
最終的に「女だから」「男だから」という言葉しか残らない不平等がある。悔し涙があり、憤りや生きづらさを感じたということ。そういう気持ちに誰も寄り添ってくれない世の中ってのはおかしいのではないか。つらいって言ってもいいんだよ、私たちだって。
(これで終わりません。)
というかむしろさ、勝ち組なんだからさ、エリートなんだからさ、私たちが感じた理不尽を出発点に私たちが社会を変えて行くんだよ!涙拭いたらやることやるぞ、おまえら!
という感じの、優しうて後に強し、なアツい本です。
※勝ち組とかバリキャリとかって言葉はキャッチーだしイメージがわきやすいから本書でも使われていたように私もここで使っているけど、なにかと議論を呼ぶ言葉ですね。ま、それはここでは割愛。
アツいといっても想いだけが空回りということもなく、どういう構造がこういう現象を引き起こすのか?といったところの分析がとても丁寧です。それもそのはず本書は著者が育休中に大学院で書いた論文を出版用に書き直したものなのだそうで。新書とはいえ「流行の話題と上手いタイトルが目を引くが1章だけでほぼ言い終わっててあとは薄味」みたいなことになっておらず、頭からつまさき、指先まであんこみっちり。その点だけでも感服の力作です。
以下、備忘メモ。
■「育休世代」という定義
・均等法施行から何年とよく語られる、施行直後の世代とはまた違う苦労があるよねという差別化。
・各種制度も整ってきて、昔に比べたら恵まれている。だけど!同じ女としての苦悩があるよね。
※この、「私とあなたとで状況は違う、お互い羨んだり妬んだりという気持ちを持つことも正直あるかもしれない、だけど、実は共感し合えるところもある、そこを出発点に、建設的に物事を変えて行く話をしようよ」っていう主張は、本書全体を通して、ある。世代間、未婚・既婚、子供のいるいない、出産後仕事を辞めたか・続けているか、さらには復職者同士でさえ、あの人は親と同居だからとか、シッターまで雇ってるとか、旦那さんがどうだとか・・・そういう対立構造、意味ないよね��と。
■高学歴で大企業の総合職、バリキャリ女性15人だけにインタビュー対象を限定していることについて
・著者自身がそうだから、自分の友人やその友人などをインタビュイーにしたようである。彼女たちの発言の引用を見てもかなりくだけた口調なので、いろんな発言を引き出せたであろうことは伺える。
・それはそれで強みでもあるが、同じ手法で別のグループの人たちを対象にこの研究をするのは難しそうだなあと思った。たとえば「絶対に家事をしない夫たち」の気持ちとかすごく聞き出したいのだけど、この著者には語ってくれなさそう(笑)。
・また、そんなバリキャリ女性は世の中の少数派だという批判に対しては、「そういう対立構造(を煽る姿勢)から脱したい」という話と、「(エリート意識と言われるかもしれないけど)バリキャリが活躍してこそ女性全体、ひいては社会全体の利益にもつながる変革を起こせるのだという理念」で回答。
・傍目からは恵まれているように見えても、みんなそれぞれの事情を抱えて頑張ってる、こうやって生活してる、そういうことをつぶさに伝え合えたら知り合えたら、もっとわかりあえるんじゃないのか?ということでまずは入り口として、この人数のインタビューなのであろう。
・私自身本書の定義で言うと「バリキャリ」なので、同じ穴のムジナですが、はたしてどこまで多様な層に著者の思いは届くだろうか。
■「ケア責任を負う就労者」という概念
・そもそもこうした就労条件のばらつきやなんかの話って「女性」の問題にされがちだけど、実は女性に限らない。育児や介護などのことを「ケア責任」という言葉で表現するらしいのだが、これまで慣習としてケア責任を負うのは女性とされてきたというだけのことで、今後企業は「女性を」ではなく「ケア責任を負う就労者を」どう活用するかを考えなければいけないよという指摘。ちょっとずれるがLGBT的な意味でも。
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出産を経験した女性総合職にターゲットを絞り、彼女たちが抱える葛藤を研究した一冊。
総合職として働く道を選択した女性たちは、なぜその道を選択し、
入社、結婚といったライフイベントを経て、仕事や家庭への感じ方や考え方どう変わり、
出産を機にどんな道を再選択し、その選択にはどんな理由があるのか?
といったことを、企業に総合職として就職し、20代で出産を経験した15人の女性へのインタビューを通じて研究した本です。
【感想】
私は今まで、「女だから損している」というような感じ方をしたことがないのですが、
出産や育児をもし今後経験するとしたら、もしかしたらそのとき初めて、「女だから」に直面するのかな・・・
と思い、予習(?)のためにこの本を買いました。
出産するのは女性しかできないことなので、「産休」を女性がとるのは仕方ないけど、
育児は男性がやっても女性がやってもいいはずなのに、なんで女性ばっかりが育休をとらされて、キャリアをあきらめなきゃいけないのか?
・・・というような葛藤が、筆者と15人の女性たちもには共通してあるようでした。
企業の側が、女性が働きやすい施策を打ち出せば打ち出すほど、
家庭の中では 「おまえ(女性)が仕事休めば/時短勤務すればいいじゃん」 という話になり、
男女差別を助長してしまう、というジレンマがあるのだと。
・・・ほー。
確かに、女性が働きやすい施策というのは大事だけど、
女性だけが働きやすい施策は、結局女性を苦しめてしまうのかと、 なるほどと思いました。
本当の意味で女性が働きやすい会社になりたかったら、
女性だけが働きやすくなるための施策はだめで、女性も男性も働きやすくなるための施策が必要なのだということに、とても共感しました。
その他、なるほどと思ったこと。
・男性は基本的に総合職しか選べないのに、女性は一般職という選択肢があるのは、女性の「特権」だと思っていましたが、
本書ではそのことを、男の仕事・女の仕事 という男女差別が、 総合職・一般職 という職種差別にすり変わり、より本質が見えにくくなったと書いてあり、
なるほど、そういう見方もあるのかと思いました。
・女性管理職が少ないのを、女性の意欲の問題にするのはだめらしい。
「そもそも、男性は意欲があってもなくても管理職になっていくのに、女性の場合はなぜか意欲が問題にされる。」 というのはなるほどと思いました。
・多くの企業における男女平等は、「女性と男性を同じように」ではなく、「女性を男性と同じように」扱おうとしているところに問題がある、という指摘。
それで 「男なみ」 の考え方や生き方をしている女性だけが上に上がれる仕組みを作っても、
結局 「男性」 と 「男なみ女性」 の意見しか経営に反映されないことになって、真の女性活躍とは言えないんじゃないの、という主張にナルホド。
読んでいるときは議論の粗さが気���なり、あまり良い本じゃないような気がしていましたが
(筆者が修士論文として書いたものを、一般向けに改訂した本だそうです。)、
感想を書いてみて改めて、色々感じるところのある本だったと気付きました。
研究としての精度より、多くの人に読んでもらいたくて書いたという筆者の狙いは、当たっているな! と思いました。