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出産を経験した女性総合職にターゲットを絞り、彼女たちが抱える葛藤を研究した一冊。
総合職として働く道を選択した女性たちは、なぜその道を選択し、
入社、結婚といったライフイベントを経て、仕事や家庭への感じ方や考え方どう変わり、
出産を機にどんな道を再選択し、その選択にはどんな理由があるのか?
といったことを、企業に総合職として就職し、20代で出産を経験した15人の女性へのインタビューを通じて研究した本です。
【感想】
私は今まで、「女だから損している」というような感じ方をしたことがないのですが、
出産や育児をもし今後経験するとしたら、もしかしたらそのとき初めて、「女だから」に直面するのかな・・・
と思い、予習(?)のためにこの本を買いました。
出産するのは女性しかできないことなので、「産休」を女性がとるのは仕方ないけど、
育児は男性がやっても女性がやってもいいはずなのに、なんで女性ばっかりが育休をとらされて、キャリアをあきらめなきゃいけないのか?
・・・というような葛藤が、筆者と15人の女性たちもには共通してあるようでした。
企業の側が、女性が働きやすい施策を打ち出せば打ち出すほど、
家庭の中では 「おまえ(女性)が仕事休めば/時短勤務すればいいじゃん」 という話になり、
男女差別を助長してしまう、というジレンマがあるのだと。
・・・ほー。
確かに、女性が働きやすい施策というのは大事だけど、
女性だけが働きやすい施策は、結局女性を苦しめてしまうのかと、 なるほどと思いました。
本当の意味で女性が働きやすい会社になりたかったら、
女性だけが働きやすくなるための施策はだめで、女性も男性も働きやすくなるための施策が必要なのだということに、とても共感しました。
その他、なるほどと思ったこと。
・男性は基本的に総合職しか選べないのに、女性は一般職という選択肢があるのは、女性の「特権」だと思っていましたが、
本書ではそのことを、男の仕事・女の仕事 という男女差別が、 総合職・一般職 という職種差別にすり変わり、より本質が見えにくくなったと書いてあり、
なるほど、そういう見方もあるのかと思いました。
・女性管理職が少ないのを、女性の意欲の問題にするのはだめらしい。
「そもそも、男性は意欲があってもなくても管理職になっていくのに、女性の場合はなぜか意欲が問題にされる。」 というのはなるほどと思いました。
・多くの企業における男女平等は、「女性と男性を同じように」ではなく、「女性を男性と同じように」扱おうとしているところに問題がある、という指摘。
それで 「男なみ」 の考え方や生き方をしている女性だけが上に上がれる仕組みを作っても、
結局 「男性」 と 「男なみ女性」 の意見しか経営に反映されないことになって、真の女性活躍とは言えないんじゃないの、という主張にナルホド。
読んでいるときは議論の粗さが気���なり、あまり良い本じゃないような気がしていましたが
(筆者が修士論文として書いたものを、一般向けに改訂した本だそうです。)、
感想を書いてみて改めて、色々感じるところのある本だったと気付きました。
研究としての精度より、多くの人に読んでもらいたくて書いたという筆者の狙いは、当たっているな! と思いました。
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制度が整った以降の総合職で、出産した15人の環境やライフヒストリーと選択結果を分析。男並み平等教育のままの意識で就職し、適応戦略を取り損ね、結果退職に至る状況がある。企業に残りやすいのはジェンダー秩序に従う・利用する方。
頑張る、能力の高い女性ほど退職しがち、という構造があるのがわかりました。社会における能力の浪費、その余裕がなくなってきているのが、改善へのプレッシャーでしょうか。
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1番面白かったのは、あとがき、巻末部分だと思う。総合職女性の言語化できないモヤモヤ。1番すべきは、夫が定時で当たり前に帰る事、それに付随する社会的影響。応援したいと思いました。
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共働き世帯が半数を超えた今、
各家庭のぎりぎりの努力で毎日が紡がれている。
夫婦間でも、実は、
お互いの辛いところや悩みを共有できていないかもしれない。
現状をデータから語り、分析した本。
管理職に特に読んでほしい。
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高学歴、高収入の総合職女性が、現場でどういったプレッシャーを与えられ、結果として職場を去る決断やキャリア実現に対するモチベーションを一部下げる(諦める)ようになってしまうのかを、様々な論点に渡り議論している良書。
現在の15人の女性を調査する形式で、彼女たちの育った環境(家庭、教育面)、現在の環境(職場、夫、両親)等に光を当て、幅広く分析している。
私の年齢層よりは若干上の方々が、どういったことに悩み、そうなってしまったのかを知る上で非常に参考となった。
女性に限らず、男性にも、あらゆる年齢層の人にも読んでほしい。そして、思うだけでなく小さなことからでも行動していってほしい。
以下、雑感。
・女性には現在、制度があるがゆえの「産め、働け、育てろ」プレッシャーがある。聞いただけで辛い。
・夫の家事参加が非常に低い。今の社会の現状を変えていくには、女だけが訴えるのではなく、働く女性と同じ目線に立った男性たちにも声をあげてほしい。
・女性は諦めて職場を去ってしまう。それでは今の世の中は変わらないと思う。高学歴、高収入の仕事についている恵まれている層の女性にこそ、社会の変革に立ち向かい、声を上げる義務があるのでは?諦めたり逃げても何も変わらないと思う。絶対辛いことが予想されるけれど、私も逃げずに立ち向かう人でありたい。世の中を少しでも変えるための努力をしたいと思った。
・高学歴な女性ほど、家事育児に協力できない男性と結婚してしまうという現実には非常に納得。男性のみなさんには、働き続けたいと考える女性からすると、育児家事をやらない男性は非常に魅力が下がるという事実を男性にも気づいてほしい。一方で、そういったプレッシャーが男性たちにもかかっていることは過剰であるとも思う。
・結論として、日本人は働きすぎだから、短時間で効率良く成果を出し、男も女も家庭のことを普通にできる未来にしていかなければならないと思う。この意味では、日本はすごく遅れてる。今住んでいるイギリスではあり得ないことだ。
・アカデミックな見方をすると、研究としてよくまとまっていると思う。reserach questionのまとめ方。reserach methodの選択、limitation、考察、過去の研究事例などを踏まえたliterature reviewなどなど。社会科学分野の学生には良い研究手法の手本になる本だと思う。文庫本にしては内容が非常に充実しているし、限定的ではあるものの、深い部分まで洞察していると思う。
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どうしてこんな思いして働いてるんだろう、とかほんとに共感できた。ワーママに読んで欲しい。みんなジレンマをかかえてる。
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会社の本棚にあった本。
女子的に色々考えるお年頃になってきたので(もう遅いけど)、先人方はどんなジレンマを抱えているのかと興味本位で読んでみた。
15人の女性へのインタビューからジレンマの要因を掘り起こし、それを社会への問題提起としてまとめている。
わかりやすいし、当事者の言葉はとても現実的。
なんだけど、結局は社会制度・配偶者の理解・地域社会の連携がやはり大きな要因。自明なことを自明だと表現するのは重要だと思う。
思うけれども、、、、せっかくインタビューという定性的手法を使っているのだから、そこで苦しんだことをどう解決してきたという所に焦点を当てて欲しかったなぁ。。。というのが個人としての感想。
まぁこの本は私が手に取ったところで意味がなくて、そういう”女性が輝くー”とか言っているお偉いさんとか、”ダイバーシティがー”とか言っているお偉いさんとか、職場の管理職とかが読んで初めて意味があると思うので、そういう人にぜひ読んでほしい。
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女性活躍を一概にいっても子育て世代と独身で
全然違うという当たり前だけど男性が考える女性活躍
の甘さが分かった。
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制度が整ってきたのに、どうして総合職正社員の女性が出産後退職するのか。
どのようにして「ぶら下がり」になっていくのか。
筆者が大学院の修士論文に加筆したもの。
学術的で様々な視点から分析されており、説得力のある良書。
ワーママを部下に持つ世代、ワーママ世代、これから結婚出産をするであろう若い世代の男女に是非目を通してもらいたい良書。
論文なので、気軽に読めるというわけではないが、斜め読みでもいいので、色々な人に読んでもらいたいと感じた。
メモ。
仕事の量は調整してもらいながらも、内容(質)は変わっていない例が継続の見通しがある。
預けるだけの収入を得られることに加え、やりがいがあることが、保育園に預けることの罪悪感を減らす。
雑感。
サンプルの方々、筆者の分析が自分と重なることがありすぎて、興味深く読めた。
サンプルが15人と少なく感じたが、筆者が過去の論文等で計量分析では一人ひとりの経路が見えなくなるため、敢えての15人とのこと。
学生時代に女性と認識していないマッチョ系(就活も女性が働きやすい会社とかではなく、やりがいや、男性社会の中で頑張ることを選んだ人)が辞めていく。男性同等に働き、意欲を持っていた人が、自分や会社が求めている働き方ができなくなり、諦めて辞める。(サンプルではマスコミや建築関係)また、マッチョ系の人は男性の育児参加や、子育て理解にも保守的。(バリバリ働いている男性を見ているからか?)
自分が女子校出身等で、女性であることを受け入れて過ごしてきた人は、女性が活躍できそうな会社を選び(やりがいと引き換えか?)、出産後も会社の制度を利用してマミートラックにも多少耐えながら継続している傾向がある。
会社は、育休明けの人の仕事の質を落とさずに、量を調整することで、離職を避けることができる。心理学的に仕事にやりがいが無いと、長時間子どもを預けてまで自分がやる必要のある仕事か?と思ってしまい、辞めることを考える。特に、新卒総合職で就職した女性の伴侶は同じくある程度の給料をもらっているため、共働きでないと生きていけない経済状況ではない。
母親側は、職場に諦めるのではなく、できるだけ交渉することで、仕事を継続することを検討する。次世代のためにも。
女性同士で戦わない。(これは非常に難しい…)
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一緒にプロジェクトをやったことのあるママの社員と雑談している時に「ぜひ!」と勧められた本です。結果的にこの夏の「はたらく」ことについて考える課題図書第四弾になりました。「女性活用はなぜ失敗するのか?」という副題の構造を調査によってかなり明確に顕在化した本だと思います。「なんとなく感じていた…」ことと「なるほどそうなのか…」ということがないまぜになった複雑な読後感です。ハッキリしたけどスッキリしないような…。そのモヤモヤ感が会社と社会が抱えるこの問題の難しいところなのでしょう。国も会社の制度として施策を打っているのだと思いますが、教育と会社の接続のところでジレンマが起こっているがよくわかりました。「一億総活躍社会」を提唱し女性と高齢者の労働力を社会に組み込もうとした首相が退陣することになりました。その路線を継承するといわれている次の首相候補はこの問題をどう考えているのか聞きたいところです。一方、今回のコロナ禍でリーダーシップを発揮しているドイツ、メルケル、台湾、蔡英文、ニュージーランド、アーダーンの女性トップの存在が注目されています。女性首相が生まれればいい、ということではないとも思いますが日本社会が女性活用の先進国になるにはまだまだ道遠し、かもしれません。ただ、著者のいう『「育休世代」のジレンマ』をテーマとしることはロールモデルの顕在化という観点から、その数が少ないにしてもインパクトが大きいと思います。そして、人生は続きます。「育休世代」の子供たちが大きくなった時の彼女たちのキャリア形成についても息長く調査して欲しいと思いました。著者その人が当事者なのできっと。
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ワーキングマザーが子育てをしながら、仕事にどう向き合っていくか、インタビューを基に分析。
「育休世代」という筆者の世代は、やりがい、自己実現重視。
なので、仕事をしっかりやりたいという気持ちで入りながら、大学までにはほぼ感じなかった、様々な”女性的な”扱いを経験する中で、人それぞれの対応をしていく。
仕事に意欲があった人ほど早く見切りをつけて辞める。
色々と条件面を考慮して残っていた方が良いと冷静に判断した人間が残るのと、いわゆる女を捨てて、男勝りに戦っていく人が残るというのは、確かにそうかもと思える部分があった。
1984年生まれの筆者自体が東大卒の総合職、早めの結婚出産ということで、インタビューも同様のサンプリングのバリキャリ、早く結婚、出産のいわゆる勝ち組を対象にしている。
なので、ある意味偏った母集団の話であるというところを意識して読む必要もある。
あとは、インタビュー対象が若い年であるというのも、偏りになっていると思う。年齢ごとに仕事に対する情熱やイメージは移ろっていくものなので、歳をとってくると、先を計算しだして、いつまでも純粋に「やりがい」と言っていない気もする。
世代の考え方なのか、歳なりの考え方なのかを歳を追って定点観測することで導き出して欲しいなと思った。
もともとが論文を新書向けに書き直しているので、少し硬く、読みにくいところもありますが、なるほど、そうだよねというフレーズも盛りだくさんで、働く女性も、むしろ、女性と働いている男性が読むべき本だと思います。
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ジェンダーについて自分がどのように捉えているのか、本文中に登場する15人と比較する中で、第三者的に捉えることができたように思う。
仕事と育児とのバランスに関する自分なりの納得感の得方、落としどころを見つける上で参考になると感じた。
今回扱われているのは0-2歳子育て中の女性たちだが、その後子どもの年齢が上がって行くにつれて別の葛藤が生じるように思われ、そちらについても興味深い。
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自分が男なみに評価されるために頑張ってきたこと、これがそれからは通用しないために悩むことになることを突きつけられた。いずれ降りることになるなら今の頑張りはなんの意味があるのか。結婚で選ぶパートナー、仕事はもっとしたたかに選ばなければならないのか。女性として生きていくことってしんどいなあと思った。
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今の私と同じ歳くらいのときに出版されたようで驚きました。尊敬の眼差しです、、(゚∀゚)
なかなか読む時間が取れず、頭とおしりくらいしか目を通せてないのが残念です(´・ω・`)
どんな方が書いたんやとググったらめちゃくちゃ美人さんでビビりました!(*´ω`*)