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## 読書要綱
- 2022年ごろ購入
- 数式は追わずさらりと一周
- もう一度精読したい
## 全体
「制御」に関する理論の本です。20世紀に発達した工学の分野のようですが、この本で語られるものを見る限りこれは、とても数学的な対象なのではないかと。この本では古典制御と呼ばれる分野を主に扱います。私は純粋数学専攻でこの分野は経験がないですが、新しく数学的な対象に出会いとても楽しく読めました。
### 制御って
制御とは何だろう。そこで出てくる重要な要素はなんだろう。そんなことを一つ一つ解説していってくれます。また、この本ではおもにブロック線図を使い、数式をあまり出さないようにしています。
### 数学として
制御を表現するの方法に数式でやるのとブロック線図を使う方法があるようです。先述の通りこの本ではブロック線図主体です。本の中でブロック線図は微分・積分・遅れで表現できるものと等価だと明かされます。このため、どちらを用いて記述しても良いことが判明する訳ですが、「ブロック線図を使った計算」というのは数学の中に新しい計算方法を持ち込んでくれるもののように思えます。
### フィードバック・遅れ・安定
本を読む限り、これらが制御という領域の中でとても関心が持たれている現象のようです。これらを扱うための理論がこの本の主題なのかなと。結局のところ、これらを表現する数式に帰着されています。発端となる関心事はボートの自動運転のような非常に現実的なものですが、抽象化され特有の要素(フィードバック・遅れ)とし取り出され、これらのものは数式で表現されてしまいます。そして、これらが織りなす数学的現象を見てみるのが本書の内容のように感じます。最終的に、その数式の意味するところを現実に戻して初めて技術としての果実が得られるのですが…。
20世紀の科学技術では計算、通信、制御は大きく発展した分野なのかと思います。昔ながらの数学も面白いものですが20世紀の新しい数学、その一つを見てみませんか。