投稿元:
レビューを見る
好んで読んでいた作家・今邑彩。なのに数年前に急逝。しかも自宅でひとりで病死していたために、死亡時期もおおよそでしか判明していないのは衝撃的でした。そんな最期を遂げた作家の本だから、なんとなく辛くて怖くて、しばらく読まずにおいてしまった1冊です。
雑誌やアンソロジーに掲載されていながら、今邑彩個人の短編集には未収録だった短編を集めたもの。彼女が書くジャンルといえば、ホラー、ファンタジー、ミステリー、サスペンス。そのどれかひとつには絞れない作品も数多い。本書は9編をジャンル分けして各ジャンルごとに収録というわけではなく、わざとジャンルを混ぜた構成にしたそうです。収録タイトルは、『私に似た人』、『神の目』、『疵』、『人影花』、『ペシミスト』、『もういいかい…』、『鳥の巣』、『返して下さい』、『いつまで』。中にはこんな作品までお書きになる人だったんだと驚くショートショートも。
間違い電話にシャレで応対してとんでもないことになった主婦の話、『私に似た人』。自分の不運が鳥の巣を焼き捨てたことに発すと信じて疑わない女性の話、『鳥の巣』。ある日突然、留守電に狂気じみたメッセージが入っていた男性の話、『返して下さい』などなど。どれもこれもラストの数行にひょえ〜。ホラーが苦手な私でも読める本ですから、怖くてたまらんというものではありません。が、ホラーとミステリーの境目の話が多く、本当にこんなことがあったら、こんな人がいたら怖すぎると思って苦笑い。
短編の名手だった今邑さん。もう読めないと思うと非常に残念です。心からご冥福をお祈りします。
投稿元:
レビューを見る
9つの見事な短編です。普通の日常の情景が、ふとした瞬間から酷く不穏な怖いものに変わります。「疵」「人影花」がとても好み。今邑さんのショートショートは初めて読みましたが、これだけ短くてもやっぱり今邑作品らしいですね。ラストの3つはもはや完全なホラーです。「返してください」はある意味一番怖い…。怖くてもどの話もとても読みやすく、いつまでも印象に残りそうです。とても良かったです。
投稿元:
レビューを見る
「いつかの朝に」で知った今邑彩さん。最近ハズレが多かったので、きちんと読ませてくれそうだなーってことでこれ。
どうやら亡くなった後に未収録の短編を集めて出されたみたい。
それにしても裏切らないなー。どの話もすごくハマる。ゾクゾクしてラストにああ!ってなる。読んでいて楽しい。
個人的には「人影花」と「私に似た人」「鳥の巣」あたりがゾクゾクした。「人影花」なんて、意味がわかると主人公最悪やな、ってなったしな(笑)
読後感の良さはラストの「いつまで」かな。「もういいかい……」もある意味読後感はいいかも。
いやぁ。面白いなぁ……今邑さん、ハマりそう。
投稿元:
レビューを見る
私に似た人★★★★
神の目★★★★
疵★★★★
人影花★★★★
ペシミスト★
もういいかい……★★
鳥の巣★★★★
返して下さい★★★★
いつまで★★★
冒頭の不可思議、中盤のサスペンス、結末のひねり、と。
どの作品も面白く、文章も読み易かったです。
投稿元:
レビューを見る
人影花の最後の数文字に驚いた。
印象に残ったのは
私に似た人
人影花
鳥の巣
いつまで
はじめての作家さんだったけど読みやすさが気に入った。あとがきに書かれてある短編集も読んでみたい。
投稿元:
レビューを見る
シンプルで登場人物が少ないのでサクサク読める。最初の電話の話、どうなるか全く予想できずにドキドキした!! 最後のいつまで、も悲しい話だけど、別れを選ばなかった夫のおかげか読後感は悪くなかった。
投稿元:
レビューを見る
短編集。
表題にある人影花は、短いながらも毒がつまっていて面白かった。
全体としては少し物足りないかも。
投稿元:
レビューを見る
ありそうでなさそうな話。なさそうでありそうな話。
そのリアルさゆえに想像力をかきたてられて、怖くなりました。
投稿元:
レビューを見る
今邑彩さんの描く世界がどれもふんだんに溢れた短編集。ミステリやサスペンスにゾワッとするホラーテイストがあって、ささいな日常が暗転していく。どれも面白かった。「私に似た人」は介護に押しつぶされた孤独な悲哀が切なかったな。