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2014年112冊目。
フィナンシャルタイムズの東京支局長であったイギリス人著者による日本像。
容易に読み入ることのできる良文の中で、日本の歴史解釈や日本人観において偏りが起こらないよう相反する視点をうまく組み入れている。
それも、本人の解釈以上にインタビューにおける生の声によって語っている箇所が多いところも魅力の一つ。
自国のことをもっと真剣に知り、考えたいと強く思わせてくれるきっかけの書となった。
近現代の日本を知るための入門書として強くおすすめしたい。
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FTアジア編集長著、原書はBending Adversity - Japan and the art of survival。エコノミストやタイムズ紙などが大絶賛するだけあって、戦前、戦後の歴史、経済、文化、社会などを表面的な事象にとどまらず、ジャーナリストらしいインタビューを踏まえて非常に明快にまとめられている。
日本人としても、改めて自分の立ち位置について深く考えさせられる素晴らしい一冊。
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日本国内においても、安倍の歴史修正主義的な考えや伝統的な価値観を重んじる解雇主義への警戒感が強まっていた。安倍の提案は改正というよりも、憲法による人権の保障を撤廃しようとするものだ。
アベノミクスは中国の脅威と東日本大震災の申し子だった。日本はバブル崩壊後20年を決して無駄に過ごしていたわけではなかった。歴代政権は経済再活性化のために、従来型の政策からそうでないものまで多くの実験的試みを実施した。
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有名無名を問わず、あらゆる階層の日本人への膨大なインタビューと、詳細な情報に基づき、著者の巧まざる好奇心の赴くままに、日本と日本人を論評した日本文明論。
失われた20年以降、自信を無くした日本人に、ちょっと楽観的かもしれないが、希望を持たせてくれる著述に好感を持ってしまう。
経済的衰退は避けられないかもしれないが、国民一人当たりで計算すると、現在でも中国人より平均して八倍裕福である、と著者は、励ましてくれる。そして、「日本が非欧米圏の中で最も早く近代化に成功し、先進国の生活水準に追いついたという点で卓越したモデルを提供している事実に変わりない。」と述べる。
さらに著者は、あとがきでこう助言してくれる。
「日本が歴史の鏡を通じて、自国が最も『美しい国』であった時代を振り返ろうとするなら、最近、右派の一部の人々があれほど賛美している帝国主義の時代ではなく、1880年代や1950年代に目を向けるべきではなかろうか。」と。
日本のことを、本当に真剣にに考えているリーダーたちに、ぜひ読んでもらいたい本の一冊ではないか。
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とてもおもしろかったです!
フィナンシャルタイムズの日本支局長をやっていたイギリス人が、日本に住み、たくさんの日本人や知日家の人たちに取材をして日本について書いた本です。
日本人がよく言う一般的な日本観や日本人のステレオタイプに囚われずに、丁寧に取材した内容から書かれていました。
日本人が書いた主観たっぷりの日本論の本よりも公平に書かれていていいと思います!
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偏見と先入観に満ちた唾棄すべき評論書。歴史的お馬鹿邦人、イラク今井の登場辺りから俄然エスカレートしてくる。朝日新聞関係者をはじめ、自虐左翼思想論者の無責任コメントが堪能できます。
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正月休暇に一気に読了。
上巻第1章は「津波」ではじまり、この下巻は第16章「津波のあとで」で終わる印象的な構成となっている。個人的には「結局、津波は、日本が強い個人と弱い政府の国であることを際立たせた」「その日本国民の間で、ゆっくりと、だが着実なペースで、「市民社会」が形成されつつある」(ともにp221)がハイライトだった。また、有名無名問わず多くの日本人の声が紹介されているのは日本に関する「型にはまった陳腐な考えを覆したい(p291)」とのことで十分効果的だと思う。
やはりおもしろいので上巻同様五つ星評価。
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通読したが、印象は上巻と余り変わらない。
ステレオタイプな日本人論から離れたというが、ステレオタイプ以外の何物でもないように感じる。
東アジアの隣国との関係において、共産党独裁の中国との関係はともかく、「同じ」民主主義国家である韓国との関係が悪いことが日本の歴史認識における特殊性を示す何かの指標であるかのような記述は、正に著者の浅薄な歴史認識を示す以外の何物でもない。
こうして西洋至上的な史観は上塗りされていく。
所々に現れる優越的な視点は、英国人特有の皮肉の表れと都合よく解釈されるのか?
NYTに代表される自称中立的な欧米ジャーナリズムの常套的論説に触れるには、最適かも知れない。
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下巻では、高度成長期以後の特に若者世代と女性、アジアとの関係、震災後の新たな社会活動、安倍政権について取り上げている。丁寧なインタビューと活き活きとした筆致で、日本は様々な意見や考え方を持つ人々がいる多元的な国であることを描き出している。時々出てくる皮肉な物言いも面白い。
型にはまった画一的なまとめかたをされた日本観や日本人像を鵜呑みにすべきではない、というメッセージが上下巻を通して届いてきた。
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上巻からおもしろかったですが、最後まで緩みなくおもしろかったです。政治・行政・経済のトップクラスや文化人から、阪神大震災や東日本大震災で被災した普通の市民、さらにはそういう特別な経験は特にないごく普通の市民まで、実に幅広い日本人にインタビューをしており、しかも多様な意見をバランス良く採り上げてくれており、非常に勉強になるとともに、好感が持てました。
作者自身の意見もかなりはっきりと述べられており、日本の実情をよく知る外国の知識人にとって、今の日本がどのように見えるのかについて知ることができるのも、日本人として実に参考になります。
訳も非常にこなれていて読みやすいですし、高校生以上の人には一度はぜひ読んでもらいたい本だと思いました。
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筆者は知日であるだけでなく、日本の再起を暖かい目で見ています。それだけに、歴史問題の見方は、(私たちが)冷静に受け止めることが大事です。しかも、日本はアジアで孤立していて、欧米は仲間に入れてくれない、というのも正しい現状認識でしょうから。相手が悪いのだから、我が道をゆくのみ、では一度来た道です。問われているのは、叡智であり、何を学習してきたか、ということです。
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下巻では、高齢化、ロスジェネ、歴史問題、ジェンダー問題と、意見も分かれ且つ非常にデリケートな社会・政治問題へと切り込んでいく。様々な人とのインタビューや論評を元に書いていくが、全体的には中道左派寄りの人々の意見に好意的・近年勃興してきた「ナショナリスト」には手厳しい。著者の日本語版あとがきで書いている通り、「日本の内部から徹底的に調べたり、考察したりしようと努めたが」あくまで本書は「部外者の視点で」「他国の人間の目に日本がどのように映っているか」を表現している。
だからこそ面白かった。
ジェンダー問題については他国視点というより「女性視点」が強調されており、そしてちょっと「偏り過ぎじゃ・・・」と思うが、男性としては「女性からするとこういう社会にみられている」と襟を正すべきか・・・
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171007 中央図書館
ジョン・ダワーの『敗北を抱きしめて』のオマージュだろうけれど。政治以外の分野の視点は、やや弱い。