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悩み相談。人生相談。淡々と、さばさばと答えていくのが気持ちよい。
しかし、本編よりも興味深かったのは、巻末の作者のこれまでの人生。伊藤比呂美は、名前くらいしか知らなかったけど、すさまじい人生を歩んできたのだなと驚いた。しょうもないことにいちいち落ち込んでいる自分がばからしくなるような、激動の人生。これが、いちばん励まされた。
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●男の気難しさ:
ずっと男でやってきた人間が、ふと「自分が無力であることに、自分が社会や家族に何の意味も影響力も持っていないことに、気づいてしまった」というような気難しさ。
●不倫:-死ぬときは別々-ロマンス心、満たされぬ日々の喜び-
・(この恋愛は成就しない)
・家庭を壊したくない、事を荒立てたくない40代の不倫男女に、いったいどんな将来があるのか。何もありません。どんなに愛し合っていても、老い衰えたら会えなくなる。セックスできなくなったら関係は消滅する。もちろん死ぬときは別々。生き死にに責任のあるのは配偶者ですから。でも、生活抜きの関係から得られるロマンス心、満たされぬ日々の喜び。これは大きい。ほんとはすごく大切なのに、たいていの四十代の人々が生活に追われて、日々から失っていくもの。
●婚外恋愛:
相手にたいしたことを期待しない。・・・いつか二人で何々をしようなんて甘い夢は見ない。老いて体が不自由になったら、その時は潔く家族の元に戻る覚悟を。・・・・一体何のための関係を持ちづづけるのか、という話になる。
・・・ダラけた日常にカツを入れる、いい手段。夫しかいない妻よりもずっと生き生きと、夫とも仲良く生き生きと暮らしていける。
●恋愛:
正論:「あたしはあたし」「あなたはあなた」
実際:それができずに、熱にうかされて「あたしはあなた」になる。
恋愛は、相手を自分の思いのままに動かせるという自分の力を感じたいだけ。「自分が好き」という感情の周りを、「あたしは強いから相手に影響を及ぼしている」喜びがぐるぐるとまわっているだけ。
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女性「性」のことから、人生で直面する出来事に対する考え方まで、著者の経験に基づき語られている。
印象的だったのは、男性との付き合い方や(理不尽なこと(特に女性だというだけで出くわす)に対しての対処方法などなど
経験からの考えだからか、とても読み応えがあってよかった。
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「良いおっぱい悪いおっぱい」「おなか ほっぺ おしり」などのエッセイで有名な伊藤 比呂美さんの「女」に纏わる色々を描いたエッセイ集です。
女性なら誰しもが悩む女同士、夫、親、子供との関係や日常生活での悩み 結婚、離婚、病気、死、お墓など様々な悩みに歯切れよく答えて行く様は見事です。
本の最後には「或女の一生」と題して著者の人生年表も付いています。
人生経験豊富な著者ならではの切り口で書かれた一冊なので説得力があります。
気持ちよく爽快に読める作品です。
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女に生まれて、女に生きるとは。
とてつもないエネルギーを感じたエッセイ。悩み相談が下敷きになっているようだが、あまりに赤裸々にオープンに女として生きることをセックスとジェンダーの両方の視点から書いてあるので戸惑うほど。もちろん生物学的性からも社会的性からも悩みは尽きず、どちらの視点での考えも書かれるべきなのだが、普段どれだけ生物学的性を隠されて・隠して読み書きしているのかを指摘された。
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人生経験豊富な、女として果敢に生きるための師匠を得たような本。どうしても、こういう話題は母親と話しても対立しちゃうのよね。読み易い。母や恋人との関係、女として生きることに悩む、若い女性へ送りたい本。手に取った後気づいたが、NHKの「理想的本箱」にて紹介された本だった。
結婚相手や両親など近しい関係ほど、「あたし」と「あなた」を分けることが大事だと感じた。
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最後の母親の呪いを解いたことばが胸に刺さりました。
家族だから許せない事があって、
家族だから許せる事があるのだと思います。
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とても面白い本である。人生相談に回答する形式で書かれている。また本人の経歴についても懇切丁寧に書いてある。うつ、拒食症、結婚、出産、離婚、親の介護、娘との葛藤など様々な経験を書いているので、幅広く参考になる。卒論としては使えないが、読んで面白い。
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伊藤比呂美さんが、枝元なほみさんと親友だったとはー。お二人の共著も読みたくなりました。子育てだけではなく、老いた親との付き合いかたなどに触れられていたのも良かった。
巻末の年表も楽しい。影響を受けた先生の話など面白く読めました。
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常識、当たり前、正解なんて存在しないんだなと思えた。場所や時代でそんなものは変わっていくのだから、とらわれる必要もないんだな。
ただ、著者があまりにも他人に振り回されず自分の意識に忠実すぎて、著者の3人の娘があまりに気の毒だと思ってしまった。
この人が親で、しかも親のことや自分のことが本になり世に晒され、死ぬまで残り、時には胎児はうんこなどと表現され…思春期から高い障害物を与えられて、壮絶だっただろうなあ。
著者の生き方考え方に対して師と仰ごうというような気にはなれないが、私が肯定しようとしまいとこの人はこの人である。
世の中には色んな人がいるんだな。色んな考え方をそれぞれ持っているんだな。とあらためて受け止めた。
あなたはあなた、わたしはわたし。
これがすべてなのかも。
「引きこもった娘のベッドに毎晩行ってただただ話を聴いた」という話はなるほど〜と思った。
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バッサリと日本刀で青竹を切るような、そんなアドバイスが素晴らしい。
悩める人が、この本に出会えると良いな
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「女の一生」伊藤比呂美著、岩波新書、2014.09.26
230p ¥778 C0295 (2022.12.03読了)(2022.12.02借入)
小学生から老人まで女性のあらゆる悩みにこたえる本です。著者の壮絶なる人生経験に基づいて答えていますので、かなり参考になる本と思います。男性が読んでも、女性がどのようなことに悩み苦しんでいるのか、わかるので……。手助けに役立つと。
【目次】
まえがき
おさない女
自分に向き合う若い女
たたかう女① 性と女
たたかう女② 社会と女
たたかう女③ 生殖と女
たたかう女④ 家族と女
自分に向き合う若くない女
老いる女
或女の一生
あとがき
●妊婦が休むのはあたりまえ(110頁)
どうどうと妊娠できる社会を作る。子どもをそだてながら働ける社会を作る。子どもを産むにはだれかが妊娠しなきゃならない。たまたまそれは女で、女も社会で働かなくちゃならない。とすると、それが当然、それが人類の夢だと、わたしは思うんです。
●社会は、子どものうるささに慣れよ(111頁)
未来は、わたしたちが子どものうるささに慣れていくことで、子連れの女は、迷惑がられているのを承知で、社会に出て行きつづけることで、作られていくはずと思います。
●母は謝りません(119頁)
攻撃されると、人はみな、ぐっとからだを堅くして、自分を守り、否定、反発、自己弁護、心は何も開きません
●誤植(133頁、7行目)
しなくない方はしなくて済む⇒いたくない方はしなくて済む
●年を取る(182頁)
年を取るというのはそういうもの、やる気がなくなり、沈み込んで、衰えてゆくのかもしれません。もしかしたら、一見普通に見えてただけで、父の脳はちぢんでいって、何もできなくなってたのかもしれないんです。
☆関連図書(既読)
「今日 Today」伊藤比呂美訳・下田昌克絵、福音館書店、2013.02.15
「先生!どうやって死んだらいいですか?」山折哲雄・伊藤比呂美著、文藝春秋、2014.02.15
「犬心」伊藤比呂美著、文春文庫、2016.02.10
「女の一生(上)」山本有三著、新潮文庫、1951.03.10
「女の一生(下)」山本有三著、新潮文庫、1951.03.26
「女の一生」モーパッサン著・広津和郎訳、角川文庫、1953.07.05
(アマゾンより)
「月経とは?」「摂食障害について教えてください」「セックスが苦痛です」「むなしくてたまりません」「子どもがひきこもっています」「別れたい」「恋をしました」「一人で死ぬのが怖い」……。年を経ても尽きない女の悩み。いくつもの修羅を引き受け、ひたすら生き抜いてきた著者が、親身に本音で語りかける人生の極意とは。
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Eテレの「理想的本箱」で、「将来が見えない時に読む本」で紹介されていた。「あたしはあたし」「あなたはあなた」
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一貫して「わたしはわたし」というスタンスで悩み相談に答えている。恋愛や母娘の関係がうまくいかないのは、その線引きが揺らぐからなのだろう。さまざまな柵の中で女性の一生はかくも生きづらいものなのか。
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そうだよね、ねるほどね、とうなづきながら読み進めた一冊。女性ということを意識して避けてしまうような話題も、言葉を選ばず率直に語ってくれている点が良い。誰にも相談できず人生に悶々としてしまった時に読むと、スカッとすること間違いなし。