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これだけ「各種依存症」になりやすいのは、一にも二にも世の中が便利になったからに他なりません。
ネットを開けば、簡単にゲーム、ポルノ等の広告を見ることができます。街を歩けば、コンビニが目と鼻の先にあり、
そこには、魅力的なお菓子、アルコール類が、所狭しと置かれています。
便利な環境は、不便な環境よりも、生活はし易い。しかし、依存症の罠にかかりやすい環境だと思います。
この著作は、依存症になってしまう人間心理や、社会環境、そして、企業の思惑等、具体例が豊富に紹介されています。
もはや、現代人にとって、「依存症」になることを、避けられない状況のようです。
ここ10年間で、私たちの生活はがらっと変わったような感じがします。ネットの登場から、今では携帯で24時間、どこからでも
アクセスすることができるようになりました。買いたいものは、瞬時に買うことができ、見たいこと、知りたいことも、一瞬にして
わかるようになりました。
「気分を向上させたいときはいつでも、自分に報酬、すなわち「ごほうび」を与える習慣がますます強まったことだ」と、
本文に書かれています。「我慢」という言葉自体が、もう意味をなさなくなっているかもしれません。
お腹がすいたら、コンビニ行けば大抵満たされます、性欲が湧いたら、オンラインポルノにアクセスすれば
簡単に慰められます、退屈だったら、オンラインゲームをし、買物をしたかったら、ネット通販で事足ります。
私は今31歳ですが、10年前と比べても、格段に便利になった(買う、見る、知るという観点から)と思います。
ただ、その弊害が下手すると、自分を「廃人」にさせる、リスキーな社会になったと思います。
セルフコントロールとは、使い古された言葉ですが、今の時代、健全かつ健康に生活を送るためには、
昔以上に、自分の欲望に向き合わないといけないと感じます。「普通な人」と「廃人」には、少し前には、
明確な線引きがあったように感じます。「廃人」になる過程というものが、はっきりあったような気がしますが、
現代は、ほぼ私たちみんなに廃人になる可能性があります。
私事で恐縮ですが、私の兄がたった3ヶ月でオンラインゲームに150万程つぎ込んでいました。
もう少し、発覚が遅かったら、いったいいくら使っていたのか、、、、。
普段の真面目な兄を見ているので、その事実が発覚したときは、本人を責めましたが、
今では、今の社会環境を問題にした方がすっきりします。
この著作は、欧米の事情ですが、日本に置き換えても問題ないと思います。
それだけ今の世界に、依存症が病的に急拡大しているということです。
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元、重度アルコール依存症のイギリス人筆者が、様々な依存症に関わる人たちの症例を交えて紹介している本。
タイトルに惹かれて購入した。
もう少しセンセーショナルな内容を期待していたが、全体的に読みづらく、分厚い割に凡長で、もっと端的にまとめられないのかと思った。英訳があまりよくない気もする…。
謝辞に「しまりのない主張」云々書いてあったが、本当にそのとおりで、途中から読むのが苦痛になり、眠れない夜の睡眠導入に役立ったくらいだ。。
イギリスの地理や宗教的な背景(キリスト教)、政治や社会保障に関する知識の前提がない日本人には親しみにくい文である。
要約すると、
・ITテクノロジーの発展で、人間はより短期で即効性のある快楽を求めるようになった。
・それにより人をモノのように扱えるようになった。SNSの友達を簡単に追加・削除できるのもその一例だ。
・スイーツも、ゲームも、スマホも、アルコールも、麻薬と同じように依存性があるが、それが巨大な経済市場になっているため社会的な印象が悪くなることはなく、潜在的重度依存者を急激に増やしている。
・砂糖はコカインと同様の中毒性がある。合法的な誘惑の多い環境で麻薬よりも簡単に手に入る。
・依存症は遺伝でなく誰にでもなる可能性がある。
1980年代に比べ、あらゆる誘惑の洪水に対して、より理性的に欲望を自制する意識が求められている。
・依存症はMRIや脳波などでは判別できないし、色んな要素が複合的に絡んでいるため原因を特定できない
・依存要因は、世界中の人々の日常習慣に巧妙に組み込まれている
・ゲーム開発者は、できるだけユーザーの心を長く惹きつけ、長期的に課金するような心理を綿密に研究して設計している。
・依存症を治すリハビリ施設も需要の多いビジネス。依存症患者が増えて高い利益を上げている。
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自分自身のアルコール依存症を何とかしようと思って、依存症に関する本を何冊か読んでいる。この本はアルコール、薬物(非合法、合法、処方薬とも)はもちろん、フラペチーノからアングリー・バード、ポルノに至るまで様々な「依存症」についての危機感を煽る本。一部は脳科学の成果を取り込んだ記述になっているし、iPhone をはじめとする様々なデバイスやアプリケーションが人々を依存させる仕組に科学的に取り組んでいるのも事実だ(それは業界では UI/UX デザインと呼ばれていて、株主利益を最大化するために求められる当たり前の行為だ)が、ポルノあたりの記述はかなりあやしい。本書の記述(及び自分自身の経験)だけから判断すると、多くの人はポルノに依存しているのではなく、切手やコインと同じ収集癖に依存しているだけだ。糖分の危険性に対する警鐘も一読の価値はあるが、その依存性がコカインやアンフェタミンと同じだという研究結果は直観にそぐわないところがある。全体としての評価は、まあ普通。面白くはあるが、役には立たない。
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"アルコール、薬物、糖分、ネットゲーム、オンラインポルノなどわれわれが夢中になりすぎて、社会生活を送れなくなるほどに依存してしまうものをつぶさに紹介している。
テクノロジーの進化とともに生まれた弊害の一つともいえる。
化学の進化がより純度の高い薬物や、脳内に幸福感をもたらすものを薬として販売していたり、
インターネットの進化がいつでもどこでもオンラインでゲームができる環境を作っている。
簡単に手に入る環境があれば、たやすく依存症へとなってしまう恐ろしさが日常に潜んでいることを認識しておかなければいけない。"
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フィックス(一時的に気分をよくしてくれると同時に、私たちを伝統的な人間関係から微妙に遠ざけるもの)は私たちを幼児化する
依存症の最たる特徴は、徐々に「人」を「物」に置き換える
依存症は習慣
ドーパミンは「好き(嗜好liking)」という衝動よりも「欲しい(希求wanting)」という衝動のほうに深く関わっている
依存的行動とは本質的に自発的な行為
テクノロジーと依存症は、複雑に絡み合いながら共生している
互いに影響しあい、まねしあう人間の傾向は、決して過小評価してはならない
アデロールという薬は最低
若者たちは、ポルノが生み出した期待感と現実の折り合いをつけるのに苦労している
海外では危険ドラッグを「リーガル・ハイ」という
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3種の欲望=カップケーキ、iphone、鎮痛剤=バイコディン(ヒドロコドン)。
すぐに気分を良くしてくれるもの=フィックス、に手を出す。
バイコディンはセレブ用薬物=麻薬性鎮痛剤。ゾハイドロも同じ目的のもの。
依存症は病気ではなく習慣。手に入れやすいほど依存症になりやすい。ベトナム戦争のときのヘロイン常習者は、帰還するとやめた。
ドーパミンのレベルが高いと何かに依存しやすい。
床屋にいれば、遅かれ早かれ散髪することになる=アルコール依存症の人が、オレンジジュースを飲むためにパブに行くのは危険。
清でアヘンの密貿易が可能だったのは、清の官僚や軍閥が自らアヘン中毒になっていたから。同じ理由でベトナムもヘロイン貿易を保護していた。
どれも入手可能性が高かった。
砂糖も薬物と同じ。コカインやアンフェタミンのように作用する。
抗肥満薬ゼニカル
食べ物からのキューに無意識に反応しないように注意する必要がある。
イタリアとスペインでは、飲むスピードはゆっくりでワインは食事の添え物だった。
アデノール(ADHDの薬)=アンフェタミンは集中力を高める。
モダニフィル=睡眠不足時にも記憶力を増強する。睡眠の必要性を減らす。
離婚訴訟ではFacebookのデータが証拠として提出される。
ポルノとドラッグは似ている。手に入れるときが一番ハイになる。
依存の治療もビジネスになる。
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【概要】
依存は病気ではなく、習慣。
そしてそれは、
いかに消費させるか
消費させ続けるか
を推進してきた現代社会が仕組んだもの。
買わずにはいられない、食べずにはいられない、飲まずにはプレイせずには…
人々を「病みつき」状態にするにはどうしたらいいか?
人間の脳の仕組みを利用し、
生存本能を刺激し、
「欲しい」
と思わせ、必要以上に摂取させ続けられている。
依存とは、
人間の進化と社会の進化のミスマッチ。
ビジネスはテクノロジーを利用し、
ますますそのミスマッチを広げていっている。
【感想】
依存ビジネスの仕組み、面白かった。
物理的、心理的、社会的、経済的に入手しやすいものがFIX(依存対象)になりやすいと読み、なるほどと思った。
ただ、これを読んでそれこそお酒がやめられるとか、スタバのフラペチーノに興味がなくなり通わなくなれるとか、そういう本ではないので、
具体的な行動まで落とし込みたいひとには消化不良かも。
大きな枠で、人間の矛盾や依存行動の傾向が知りたいひとにはいいのかな?
という感想です!
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どこもかしこも「ついつい手が出る」ものだらけ!
世の中、人間を欲を惹きつけ、中毒にさせるものだらけだよぉ〜というのがこの本のお話。
イギリス在住の作者さんの話なので、日本とはまた違った環境で、一部そこまでは無いんじゃない?という部分はありますが。
この本で取り上げられているのは、薬物、アルコール、ギャンブル、買い物、スイーツ、SNS、ポルノ、などなど。
こういったもの達は、人を惹きつけて、そして中毒にさせる。
中毒になると人災を狂わせるほど危険なものではあることは普通の大人ならわかると思います。
ですが、巧みに仕組まれた罠に騙されてしまう。
例えばアルコールに関して
飲み過ぎは体に悪い。内臓にダメージを与え寿命を縮める。
酔っ払い過ぎると、とんでもないトラブルに巻き込まれ、社会的な立場すら危うくする。
と言うことは世の中で散々叫ばれているのに、一方では。
居酒屋の店頭には「アルコール類飲み放題!」
テレビやスーパーでは「お中元にはビールをどうぞ!」
CMでは「スッキリした喉越しの缶チューハイが料理に合う!」
など飲酒機会を誘う売り文句がテレビなどのマスコミや居酒屋の店頭で、嫌でも目に入ってきます。
危ないから気をつけてよ!と言いつつ、危ない道へも同時に誘い込む。そこに商売が絡んでくると危ないこともなんのそのという事。
そして、中毒になってしまったら、今度はそこから立ち直るための施設やらプログラムが用意されている。こういったものも今や商売となる。
社会的な「マッチポンプ」のようなもの。
では、どうすれば良いか。
この本で提示されているのは
「欲しいという衝動を操作しようとするテクノロジーのトリックを見抜く事」が挙げられてます。
例えば、飲み放題に行くと、どんな結末が待っているのか。ウェブに出ていた怪しい売り文句の広告をクリックするとどんなことが起きるのか。
そういった知識を身につけておくことで、中毒への入り口を避けることが出来るのではないでしょうか。
個人的に、こういった悪い習慣に繋がりそうなものは徹底的に目に入らないようにするのが、最も有効な防衛策じゃないかと思ってます。
アルコール売り場には行かない。
スマホに、ゲームやSNSのアプリはインストールしない。
ただ、、今一番怖いと思っているのは、健康に関するニセ情報。気にかけているからこそ、騙されそうだな〜と戦々恐々としてます。
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この本を読んでいて、自分が好きな作品の関連商品まで欲しくなるのも依存症的なものなのかな?と引っかかった。
例えば私はソードアートオンラインが電撃文庫で最新話5巻の時ぐらいから読んでいて、好きだった。
まだアニメ化される前は2019年の11月現在のような広まり方はしていなかった作品だった。
1巻から5巻までを買って読んでいたからこそ、6巻を買おう、外伝が出たら外伝も読みたいって、自然に最新作に手が伸びる。
雪だるまみたいに、ある程度コロコロ転がせる大きさになるとあっという間に大きくなる。
そういうもんなのかな。
ミハイ・チクセントミハイ博士がいうフロー状態って、そういう積み重ねと少し難しいチャレンジの時に起こるって言ってたけど、そういうことなのかな。
全く別の話。
この本を読んでいて、本を読んでいると分からない本ほど内容に飲まれる感じがする。
全く別の場所に来てしまった感じ、方向や地理感覚を失いつつも未知にワクワクしてる感じが楽しい。
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『ボクらはもうモノを買わずに依存を買う』
この手の本はかなり増えた。洋書らしく若干の読みにくさはある。まどろっこしく感じる文脈も少なくはない。だけどそれでも、わりと楽しく読み進められた。
様々な事例から、あれやこれやとそのモノや行動の依存性を解説している。読めばわかるが、もはやボクらは自由ではない。ほぼすべての行動が、ドーパミンやエンドルフィンなどの脳内伝達物質にコントロールされている。自分で選んでいるつもりでいるがそうではない。何も意識しなければ、人生を奪われているのと同じようにすら感じられた。
これからの未来、よりこんな世界が広がると予測すればもう自我もクソもあったもんじゃない。だから、今のうちから学んでおく必要があると思う。
ただ、正直に言えば依存症の危うさについてはこの本以外におすすめの本も多いので、そちらを読んでもらいたい。
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著者なりの解決方法や問題意識の提示は何もなく、ただひたすらに淡々とさまざまな種類の依存性を紹介している、ちょっとネット記事ちっくな本でした。
読後感は、「で、だから何?」。。。
フラペチーノ依存性って。いいじゃんそんなの別に、とも思いました。この著者に「私は読書や絵を描くのが好き」と伝えたら、「キミは読書依存性と絵を描くことで妄想する依存性になってるぞ!」と言われるんだろうな~。
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依存症について深く考えさせられる素晴らしい本。依存症、と言う言葉からイメージする薬物やアルコールなどの依存症だけではなく、砂糖などの物質への依存や人間関係の依存など様々な依存関係について解説している。
普通私たちは自分の楽しみのためにそして暮らしを楽にするためにものを利用している。しかし依存症に陥った人は、こうしたものへの接し方を徐々に人間との関わりにも当てはめていく。つまり人も単なるものであるとみなし、自分のために利用しようとし始めるのだ。
「欲しい」と言う衝動と「好き」と言う衝動は、人においても動物においても脳内の別々の回路が司る異なる衝動であると言う結論に足した。これは、私たちはなぜどのように依存的な行動をとるのか、と言うことを考える際に頭の片隅に置いておくべき重要な発見である。また欲しいと好きの衝動の強さは星の方が大きい。脳は欲望のメカニズムよりも、喜びのメカニズムにケチケチするようだ。
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生存率が低い環境であれば「短期的な報酬」に飛びつくことは生き延びる確率を上げることになる。肥満しやすいのも道理である。もしも明日から氷河期が訪れれば、痩せた人間から死んでゆくことは確実だ。
https://sessendo.blogspot.com/2022/01/blog-post_15.html
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iPhoneやジャンクフード、危険ドラッグ、お酒やゲームなど、私たちがいかに依存症になりやすいのかについて脳科学要素を交えて解説された一冊。著者が実際にアルコール依存症になったことがあるということで、実体験を交えて解説されるのでリアリティがある。依存系の製品・サービスは、脳の快楽物質をいかに分泌させるかが計算されて作られているので、一度ハマるとなかなか抜け出すのは難しいようだ。ソシャゲとかアイドルとかなにかにハマっている人にオススメ、ハマるメカニズムが分かると余計な消費をせずに済むかも。
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依存症が起こってしまう原因は物理的、心理的、精神的、社会的な入手のしやすさがポイント。好き、という感情より「欲しい」という欲求の方が強烈に作用する。物理的にその対象を遠ざけることが大きな回避となる。 ex ベトナム戦争時の米兵のヘロイン大流行