投稿元:
レビューを見る
伝統工芸の津軽塗の職人の娘を主人公にした、
お仕事小説です…。お仕事小説は数あれど…、
忠実なまでの、王道の設定に、お話でしたね。
地方の伝統工芸にチャレンジする娘さんに、
ものづくりのお仕事小説、といぅ設定は…、
大好物のジャンルなので、面白かったですよ!
でも…、ふと考えてみると…、意外と、
伝統工芸を題材にした作品の記憶がなぃので、
そぅいう意味では、新鮮な感じもしました…。
作者と主人公が、等身大に近ぃからなのか?、
起承転結のあるお話も、読みやすかったけど、
何となく、起伏が少なぃ印象も感じたかも…。
でも…、舞台の青森感はよく感じれたけど…、
作中の津軽弁は、結構、読みづらかったです。
それでも、心地よぃ作風でよかったですよ…。
評価は…、ほんのちびっとだけ、甘めかな…。
投稿元:
レビューを見る
主人公の美也子はバイトをやめたことをきっかけに家業の津軽塗を手伝うことに。クレーマーに近いお客さんがいろいろなものの修理を持ち込んでくるがそのたびに彼女は成長していく。4月には新しい職場にいく人もいると思うが、仕事・仲間とはなにか、生きていくのに必要なこととは何かと考えさせられる。
投稿元:
レビューを見る
最初の方は古臭い伝統工芸に夢中で夫として、家長として不適格な父親、それについにキレる母親、田舎でさぞ生きにくいと思われるオカマの弟、そして何をやってもオドオド自信のない主人公という家族の話になんだか暗くて嫌だなぁと思ったけど、読み進むうちに姉弟(妹?)のお互いの思いやりや、不器用な父親の愛情、近所や周りの人のそれぞれ辛い気持ちも抱えながらの温かさにじんわり胸が温かくなった。
弟が彼と結婚してオランダへ渡ってからは、斜陽産業ともいうべき津軽塗の良さを知ってもらい、再生させるために一心不乱に展覧会の出品作りに打ち込む。
まぁ上手く行きすぎって感じもなくは無いけど、こちらも息を詰めて応援したくなる、読後感のいい本でした。
津軽塗の何かが欲しくなった。
東北へ行ってみたいな。^ - ^
投稿元:
レビューを見る
才能より何よりやるかやらないか。続けるか続けないか。自分のことは自分が一番見えていないこともある。どんな人でも周りにいる人も自分の世界の登場人物で、自分にとってありがたい人、自分ひとりで生きてる気になっちゃいけないね。
投稿元:
レビューを見る
舞台は青森。主人公・美也子、22歳。
スーパーのレジ係をやめ、稼業である津軽塗の手伝いをすることに──。
職人としての腕はいいが、頑固で呑兵衛な父。
そんな父に愛想を尽かして出て行った母。
楽天的なオネエの弟。
この弟(妹?)がとてもいい味で、主人公の美也子よりも気に入ってしまった。
驚いたのは津軽塗の工程。
塗り・乾燥・研ぎを繰り返し、完成まで四十八工程、二か月近くかかるらしい。
唐塗り・七々子塗り、紋紗塗など色々あって、
その写真も載っていて興味深かったです。
正直言うと、漆器ってお手入れを考えるとつい億劫で、滅多に使わないんですよね。
どんな器も、日常に使ってこそ。
しまいっぱなしの漆器、出してあげなくては…。
最後は上手くいきすぎた感はあるけれど
「ジャパン・ディグニティ」ぜひ継承していってほしい。
すごく耳に残っているのが、登場人物たちの方言。
方言って温かい感じがして好きなんですが、
津軽弁はさすがに手ごわい(笑)。
投稿元:
レビューを見る
高森美由紀さんの作品は『藍色チクチク』に続いて2作目なんですが、伝統工芸を題材に小説書いたらこの人おいて他にないんじゃないかって位注目してます。職人気質で妻の愚痴に耳も傾けずひたすら効率の上がらない仕事を淡々とこなす漆職人の父と主人公の美也子はコミュ症で陰キャ、弟は男子高を卒業するやワンピースに身を包みオカマになってしまった。家計のやりくりに悩み、ウダツの上がらない父に愛想尽かして母はとうとう家を飛び出して離婚届を送りつけてきた。
何もなかったように岩木山を見上げラジオ体操をして毎日が始まる。近所に住む吉田の婆ちゃんからは野菜のお裾分けが届いたり、たまにくるお客は修理の依頼だけど物を大切に使う人達のため丹精込めて仕上げている。壊れたら新しいのを買った方が早いし安上がりな感覚が身についていると、大切なことに気づけないそんな時代かもしれないけど・・・
登場する人がみんな個性的で眩しかったです。
世話好きな吉田の婆ちゃんとか、妹?のユウとか意識しなければ女子以上にガーリーなんだけど突き刺さって暖かい。美也子も父の仕事を継ぐことに決めてからは少しづつ充実した毎日を送る、お花を買ったり、料理を覚えたりと。
日常がコミカルに描かれていてほっこりしたりで笑いどころも満載でした。
読了後は何処かの音楽祭を鑑賞したような余韻に、ガーベラの香りが放たれましたっw
花言葉は神秘・冒険心・我慢強さ
津軽漆塗りの黒が漆黒の輝きを放ちスタンディングオベーションしたくなるような良質な心地に触れることができました。この人の作品もっともっと読んでみたく思いました。