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アメリカ、ヘルスケア、政治・社会と自分につながりや関心が高い分野なのですが…色々な意味で難しく感じました。これがベストセラーであることも少し不思議な気がします。一つの切り口ではあるのでしょうが、それでは他にどのような可能性がありえるのか?
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どこの国でも、患者はもっと自分たちの健康について知る努力をすべきでしょう。食べ物や生活習慣や病気のことだけでなく、自分たちの社会で医療というものがどんなシステムで動いているのかを。実は教育レベルの高い先進国ほど、こうしたことに無関心なのです。けれど国民にとって無知は弱さだ。気づかないうちにいろいろなものを奪われてしまう。(p.114-5)
アメリカの国民のわずか14パーセントしか医療保険のしくみを理解していないように、実は日本の私たちの多くも、当たり前のように手にしている「国民皆保険制度」について、正確に理解している人はとても少ない。
知らないということは、すきをつくることになる。ウォール街と経済界に支配されるアメリカ政府から日本絵hの、医療市場開放の圧力については知っていたが、混合診療解禁や投資信託など、すごいスピードで規制緩和を進める法改正の多さには驚愕した。(p.183)
無知は弱さになる。ドン医師「今の医療保険制度を、空気のように当たり前にあるものだと思わないことです。制度というものは、一度奪われると取り戻すのは本当に大変ですから。奪われないためには、自分の国の医療制度くらいは最低限知っておくことです。アメリカ医療にもメリットはありますよ。その実態をみると、どんな国の人でも、自分たちの医療制度に感謝することができるんです」(p.201)
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オバマケア導入後のアメリカの医療の状況について書かれています。
意図的なのでしょうが、タイトルにアメリカの医療制度を想起させるような要素が入っていないので、医療関係のヒトに注目されにくいのは残念ですね。(ソノ分一般のヒトには手にとってもらいやすいのかもしれませんね)
能天気にアメリカにも皆保険導入なのかと思っていたら、まるで違うようですね。
末尾(p.203)に
「続編『沈みゆく大国 アメリカ ~逃げ切れ!日本編~』につづく」
と、書かれていますので続編が楽しみですね。
この本に関する書評が書かれているブログを見つけましたのでご紹介しておきます。
https://healthpolicyhealthecon.wordpress.com/2014/12/24/%E6%B2%88%E3%81%BF%E3%82%86%E3%81%8F%E5%A4%A7%E5%9B%BD%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB/
付箋は18枚つきました。
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オバマケアについて大枠は理解できずに細かい部分が学べた感じ。大きな改革があったら得をする人と損をする人が必ずいるはず。その中で損をする人にのみ焦点を当てており、扇情的という感が否めない。ただ新しい視点で見ることの重要性を学んだ。確かに社会保障費を抑制したい日本が、アメリカ式の保険制度に近づくことは十分考えられる。特に混合医療の導入が保険外適用の拡大の第一歩という主張は、考えてもみなかったけれど、ありそう。国民と国にとって最も良いバランスの制度が見つけられることを切に願う。
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おなじみ、堤未果さんのアメリカルポを今回もご母堂からいただきました。
いつものことですが、未果さんのルポは僕が見ているアメリカとはずいぶん違う「現実」を描いてます。例えば、アメリカで最も後進的と言われるルイジアナ州の僕の大学では、未曾有の予算カットに面してますが、この本に書いてあるような「非常勤講師の待遇悪化」はまだありません。僕が入っている大学の「企業保険」も、今の所特に変化はないです。
「こういう世界がある」「こういうケースもある」というのは事実ですが、社会科学で言う所の「代表性」があるのかどうか、というのがポイントだと思います。
これまでの本で彼女が取っている見方が正しいかどうかの結論は10年経たないとわからないんですが、その中でもこの本は「医療と保険」に的を絞っており、これまでの著作以上に悲観的です。
願わくば、すべてとは言いませんが、未果さんの心配が「杞憂」に終わることを祈りましょう。
それにしても、この本みたいな固いテーマで10万部以上ってのはすごいです。続編は日本の話だからもっと売れるだろうな。
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『無知は弱さだ』自分を守るためには現実を知ることです。身近なところで、2014年に近郊の2つの病院の名前が変わりました。大手資本が裏にあることを感じます。第4章に書かれた地図『国家戦略特区の対象地域』東京オリンピックに向けて国際ビジネスが展開されて行きます。
特区で成功を収めれば全国に広がって行きます。これが恐ろしいことに繋がるのでは…
アメリカの道連れにはなりたくない!
続編『沈みゆく大国 アメリカ 〜逃げ切れ!日本編〜』を期待しています。
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これを鵜呑みにしてアメリカの保険制度を批判するのは怖いけど、著者の立場が明確なので、ひとつの視点として読むには面白い。
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アメリカ型の市場主義参入に愕然とした。命は商品ではない。守るべきところはしっかり守る。目先のことだけでなく将来を見据え対応を政府にお願いしたい。我々も勉強すべきだ。無知の知ではいけないのだ。
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アメリカ経済と医療という今一番興味深い分野についての現状が、非常にわかりやすく述べられていた。アメリカが日本の市場を狙っているということも現実味を帯びていてとても恐ろしく思えた。日本国民はもっと知るべきだと思う。テレビ(のワイドショー)や週刊誌などで誰かの偏った(間違った)意見に踊らせるのではなく、自身の頭で思考する必要があるのではないか。
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「保険は予防医療、妊婦医療、小児医療、薬物中毒カウンセリングなど政府が義務化した10項目が入っていないと違法。」
オバマケアの施行で表出した問題を取り上げた本。日本で保険証を持つことができる現状にありがたみを感じる。
皆保険を目指した結果、その質が悪くなった。また、国による治療費支払い率もほかに比べると低い。その結果、オバマケア保険加入者の診療を拒否する病院が現れた。
マイケルムーア監督の『シッコ』は皆保険前の医療問題を取り上げている。本書では、皆保険後の医療問題を取り上げている。前者は保険会社の非人道さから出発し、後者は医薬品会社の強欲さから出発している。
社会保障の充実はやはり財源が必要になる。皆保険は確かに魅力的な響きだが、その財源を考えると魅力的ではないのかもしれない。地獄への道は善意で舗装されている、というが、オバマさんもこのような事態になるとは思ってもなかったのではないであろうか。
全部が全部、ウォール街の人々の不道徳に原因を帰結させるのはどうかと思う。企業の目的が営利であるならば、彼らの勝利になるだろう。
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リーマンショック以降、大恐慌(1929)以来の不況を迎えたアメリカは想像を絶する貧困大国と化している。
ウォール街はすでにアメリカの政治に対して支配力を持ちすぎており、メガバンクは7兆円の救済金(税金)の使途公開も拒否している。
2007年の時点で最大の元凶であった合法ギャンブル(デリバティブ)の80%を抱えていたのは五大銀行(シティグループ・ゴールドマンサックス・バンクオブアメリカ・モルガンスタンレー・JBモルガン・チェース)だが、これらの銀行が世界経済にもたらす惨事の大きさを明らかにしたにもかかわらず。ドッドフランク法はこれらの資本になんのメスも入れなかった。
「金融システムにおける説明責任および透明性を改善することにより合衆国の金融安定を推進するため、濫用的金融サービス実務から消費者を保護するため、ならびにその他の目的のため」と掲げられたドッドフランク法は、今やザル法のひとつになった。
アメリカでは資産20億円以上の上位0.1%が国全体の富の20%を占める格差社会が起こっている。
中流以下の国民の富は17%。7秒に1軒の家が差し押さえら得れ、人口の3人に1人が職に就けず、6人に1人が貧困ライン以下の生活をする中、年間150万人の国民が自己破産者となっていく。
自己破産理由のトップは「医療費」だ。
アメリカには日本のような「国民皆保険制度」がなく、市場原理が支配するため薬も医療費もどんどん値上がり、一度の病気で多額の借金を抱えたり破産するケースが珍しくない。
民間保険は高いため、多くの人は安いが適用範囲が限定された「低保険」を買うか、やく5000万人いる無保険者の一人となり、病気が重症化してからER(救急治療室)に駆け込むはめになる。
世界最先端の医療技術を誇りながら、アメリカでは毎年4万5千人が適切な治療を受けられずに亡くなっているのだ。
2010年オバマ大統領は「医療保険制度改革法」通称オバマケアに署名した。
しかしその内実は、保険料の増加と医療費の自己負担増額だ。
保険が義務化されているため、保険を持たない場合、国税庁に罰金を払うことになる。
例えば年収650万円であれば年収の1%にあたる6万5000円と16万円の計22万5000円の罰金を払うことに。
アメリカには65歳以上の高齢者と障碍者・末期肝疾患のための「メディケア」と低所得層のための「メディケイド」という二つの公的医療保険がある。
しかし、財政難に苦しむ州では、癌治療の支払い申請は却下され、代わりに州保険の適用が可能な安楽死薬をすすめられる。財政難のオレゴン州では、2004年には新規保険加入者の停止をせざるを得なくなり、コスト削減のプレッシャーにさらされ続けている。
低所得者がひと月40万円もの癌治療薬代を払うのは不可能だが、一回5千円の安楽死薬なら、自己負担はゼロで済む。
人生の終わりを自分で選ぶという崇高な目的をかかげて導入された尊厳死法はいつのまにか、ふくれあがる医療費に歯止めをかける免罪符になっていた。
特に癌やHIVのような高額な薬を必要とする患者は自己負担が50%。
HIVのような高額な薬は毎月24万円ほどかかる��め、その50%である12万円が自己負担となる。
また、保険適用範囲を越えた薬の場合自己負担は100%になるため、充分な医療を受ける事ができない。
政府が薬価交渉権をもたないアメリカでは、薬は製薬会社の言い値で売られ、おそろしく値段が高いのだ。
医療保険加入を義務化したオバマケアによって、値上げされた薬の自己負担率がアメリカ人の医療破産率と国家医療費、製薬会社の株価を今後爆発的に押し上げていくと考えられる。
また、オバマケア以降、従業員の保険費負担を課せられた企業は、フルタイム正社員の勤務時間を減らし、大半をパートタイムに降格するパターンも見られる。
オバマケア成立から1年後には450万人が雇用保険を失っている。
国民皆保険を旗印にした医療保険改革が労働者の非正規化を後押しし、今やアメリカはパートタイム国家へとシフトし始めている。
アメリカの医療費を毎年異常に押し上げている最大の原因は、民間医療保険と薬価。オバマケアはこの二つの業界を野放しにしたまま、民間保険購入を義務化し、医師と病院には高齢者医療を減らせという。
全米医師の66%がオバマケア保険のネットワークには入らないと答えている。
訴訟社会アメリカの弁護士は、医療ミスや事故が起きた時、患者を追いかけて営業をかけることがある。
医師や病院を訴え、多額の和解金をせしめるためだ。
一度でも訴えられると法外な金が飛んで行く医師のために花開いたのが、訴訟保険ビジネスだ。
訴訟社会は人々に医療機関のミスではない死を受け入れる事を困難にさせ、医師と患者の人間関係を破壊してしまったと嘆く医師もいる。
実は、我が国日本にもアメリカのような危機が迫っている。
2014年4月に導入された消費税増税。
社会保障を目的とした消費税引き上げであったが、社会保障にあてられたのはわずか1割だけ。
2014年10月、大胆な金融緩和によって導入された「ヘルスケアリート」が東京証券取引所で承認された。
医療・介護への営利参入を掲げる政府の強力な後押しの成果だ。
しかし忘れてはならないことは、リートは福祉ではなくあくまで投資商品ということだ。
以前アメリカでは、刑務所の建物と土地を自治体に貸し付ける不動産信託商品「刑務所リート」が大ブレイクした。
建設費用を融資する大手銀行とウォール街投資家の後押しで全米に刑務所建設ラッシュを引き起こし、かつては違法であった民間刑務所が主流になった。
稼働率を上げるため、犯罪者の厳罰化を強化する法改正が進み、収容率200%を超える刑務所が続出。
さらに歯ブラシやトイレットペーパー、部屋代まで受刑者に請求するなど投資家配当をあげる営利経営の暴走が問題となった。
そして今や厚生年金と国民年金を運用する独立行政法人「GPIF」は、積極的な株式投資をすべきという政府の意向を受け、株式保有率の上限撤廃を発表した。
株式保有を青天井にすることに加え、運用委託先も大きく変更した。
国内金融機関は入らず、ゴールドマンサックス・イーストスプリング・インベスメンツ社など外資系金融機関が占めているのだ。
アベノミクスの中身である、大胆な金融緩和��成長戦略の中身とは何か?を考える上で非常に参考になるアメリカレポートであった。
アメリカのセオリーを我が国日本にあてはめた場合、規制緩和と成長戦略は投資家のための政策であって、今後中間層が没落するような危機すら孕んでいるのではないだろうか?
小泉首相以来、改革や規制緩和にはウンザリであったが、また新たな変革の時を迎え、暗澹たる気持ちになった。
中流層の没落が民主主義の崩壊を招くという危機意識が国民ひとりひとりの頭上に重くのしかかってくる時代なのかもしれない。
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12月から歯医者に7回通い、私が支払った金額は一万と少し。この金額はどこから来ていて、自分はどんな保険制度に加入しているのか? 医師はちゃんとした(本人も、患者も納得するような)報酬を受けていて、人の「命」を看ているのだという感情を持てるようになっている? 「命」なんかなんの価値もないという人達が得するようにはなっていない?
「知らない」ところにどんどんつけこまれているアメリカと、日本。
この本を読めば、「知ること」こそが武器になるとよくわかる。
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アメリカのすさまじい格差社会。莫大な医療負担。オバマケアは一体何だったんだろう。ショッキングです。
日本もアメリカの後を追っている、と警告する著者。
考えたくないけれど、そうなのだと思う。
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去年の年末に平積みになっていた新書。やっと読了。
アメリカの凋落っぷりを広く書いているのかと思ったら、悪名高きオバマケアの問題点を暴くというところに特化した本だったのね。
とりあえずわかったのは、日本の国民皆保険制度は守るべきだということと、国家戦略特区なんて胡散臭いなということ。
続編出てるよねと思ったら、最後に続編に続くって書かれてました。その前提で出版されていたんですね。なのに、1年たってから読んだって旬を逃してしまっていたと思いますが、基礎理解にはやくだったでしょう。
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この本に書かれている内容が事実であれば、アメリカの医療は、市場主義導入によって崩壊寸前...。
で、米国の製薬企業・保険企業の次なるターゲットは、日本らしい。