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アメリカで音楽療法士として働く佐藤由美子さんの10編の実話。
それぞれの章が独立した話(症例)なのだけども、この10編をとおして、家族や死や恋、そして友人など、人生におけて学ぶことを一つの物語として捉えることもできる。
特に死に対して・・・
音楽療法が、療法でもあり、グリーフケアでもある。
そして、著者自身のグリーフケアになっているのではないだろうか?
・・・そういうことを読了後に感じた。
読者はこの姿を通して、よりよく生きることや自分の人生について、振り返ることができると思う。
音楽療法という特殊な領域ではあるけども、読者に対してはどこまでも優しく丁寧に説明がなされている。
医療やホスピスという領域の人のみならず、広く一般の人たちにも読んでもらいたい本。
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【内容(「BOOK」データベースより)
聴覚は最期まで残る―。アメリカのホスピスで多くの人の心を癒してきた音楽療法士が語る、感動のノンフィクション。思い出の音楽にのせてつむがれる心あたたまる10篇を収録
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【著者略歴「BOOK著者紹介情報」より】
佐藤/由美子
ホスピス緩和ケアを専門とする米国認定音楽療法士。バージニア州立ラッドフォード大学大学院音楽科を卒業後、オハイオ州シンシナティのMusic Therapy Servicesに所属し、ホスピスで10年間音楽療法を実践。2013年に帰国。米国音楽療法学会誌“Music Therapy Perspectives”やオンラインジャーナル“Voices,A World Forum for Music Therapy”にて音楽療法に関するさまざまな論文や記事を発表
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【目次】
Introduction
最期まで残る感覚 ―きよしこの夜
さよならのメッセージ ― What a Wonderful World
言葉にできない想い ― Love Me Tender
なにが私たちを生かすのか ― 輝く日を仰ぐとき
死という鏡 ― 千の風になって
忘れられない恋 ― Unforgettable
悲しみとの向きあい方 ―椰子の実
子どもと大切な人の死 ― The Rainbow Connection
人生最期の旅 ― Over the Rainbow
生きるということ ― 花~すべての人の心に花を~
Outroduction
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アメリカで音楽療法士をしていた著者か出逢った10人の患者さんのお話。
じんわり目頭が熱くなる。
きっとシンプルな伴奏に透明感のある素直な音程の歌を聴かせてたのだろうなと、音楽を聴くように読めました。
そしてお話に寄り添うようなシンプルな挿絵も素敵。
人は死ぬとき、自分がこの世で手に入れたものを持っていくことはできない。死んだ後に残るのは、自分が他人に与えたものだけだ。
このフレーズが特に印象に残った。
私が死を覚悟した時に聞きたい曲は何かな。
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音楽療法士の佐藤由美子さんが、音楽療法を通じて出会った患者さんの10編のエピソードがつまっています。
死を間近にした患者さん。
もう手を動かす力や目を開ける力もなく、話すことだって難しい。でも、聴覚だけは最期まで残る。
私だったら、人生の最期に何を聴きたいだろうか…と考えさせられました。
音楽には、様々な力があると思います。
落ち込んでいる時、悩んでいる時に元気にさせてくれたり、癒されたり、色々考えさせられたり…
まだまだ音楽療法士は、少ないと思います。私も最近知りました。
音楽の力をもっと医療の場に広めていけたらいいと思います。
今生きている自分の人生。改めて振り返ってみたいと思えました。
病院やホスピスで働く人々に限らず
一般の方にも読んでもらいたい本でした。
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ホスピスで働く音楽療法士の著者による実話。
様々な患者の最期にまつわるストーリをつづっている。
音楽は時に、アルツハイマーや認知症などの人にも
かつての自分を思い起こす力がある。
忘れていた娘の名前を呼んだり、脳梗塞の人が一言ではあるが言葉を発したり。
その患者が音楽療法に適するか否かの見極めもするそう。
言われてみれば当たり前かもしれないが、すべての患者が対象とは限らないことを知った。
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自分には音楽の才能は無いが、歌の持つ不思議な力は分かる。人生のラストステージに、音楽による癒しと人同士のつかの間の交流を書き上げた良書
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2016/7/5読了。
ホスピスでの音楽療法など、私には辛くてきっと無理だろうという先入観を持って読み始めたものの、佐藤さんのすごく濃密な体験に涙が出そうに…
表面的な悲しいとか、辛いという感情を乗り越えて、もっと奥にある人の人生の奥深さに触れる読み応えのある一冊。
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尊いお仕事だなぁと思う。強く、優しくなければできない。今度生まれ変わったら、音楽療法士になりたいと思った。
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・家族が「もう心の準備はできてるよ。逝ってもいいよ」と伝えると、人は意外とすぐ逝くものだ。
・聴覚は最後まで残る感覚だ。だから、家族の方には患者さんがどんな状態でも話しかけてあげて欲しい。本人は必ずやあなたの言葉を待っている。
・人は死ぬ時この世で手に入れたものは持っていけない。死んだ後に残るのは、自分が他人に与えたものだ。
祖母のお葬式の翌日、この本を手に取った奇跡。
祖母からたくさんのものをもらった。それを会場にいるみんなに共有できた。
・「成功することに惑わされてはいけないよ。幸せになって」
・グリーフとは、大切な人を失った時に起こる身体上、精神上の変化を表す。
ーそうか、これは祖母を失ったグリーフなんだ。。
・愛することができる子どもなら悲しむことだってできる。子どもたちが安心して死やグリーフについて質問できる環境を。亡くなった人達は私の愛する人達。私は喜んでその大人の役目を果たそう。
・この本の前は「羊は安らかに草を食み」宇佐美まこと著を読んでいた。その中の、まあさんと本書の時子さんがあまりに重なった。
そして、時子さんに歌った歌…「浜辺の歌」は私の祖母の歌だ。そして「故郷」は祖父の歌だ。涙が溢れた。
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某所読書会課題図書: 音楽療法士として活動するユミが担当した方々が、どのような形で死を迎えたかを記載した短編が10.音楽の力が死に直面した人の心を揺さぶることを実感できる.どのエピソードも素晴らしかったが、高校生のライアンと中学生のジョンを残して旅立つことになったハナにライアンの卒業式を企画する話が良かった.コーディネーターからのリクエストで、自分の葬儀で流してほしい音楽を選ぶことになっていたので、ベートーヴェンの交響曲第三番≪英雄≫の第二楽章 葬送行進曲を指定した.