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ショパンのプレリュードの第十五番。
作中にも数多くの音楽作品の名前が登場する中、瑞穂と少女がお互いの手を補い合った連弾こそがこの本のテーマであると感じた。
それを聴きながらあとがきも読み終えて、レビューとしてはあとがきにある、
「暗く深く狭く寒い穴の中で、強がりでなく微笑んでいられる人の話」「二度と抜け出せない穴に落ちた人の物語」、この物語を表現しているあとがきの文章がこそがこの物語の全てであると思える。
すべてを失い、闇の底まで落ちていった2人が、それでもお互いを見つけ、最後まで微笑み合った物語。
落ちた穴の中には
「美しい」が2つ、そこにあった。
「いたいのいたいの、とんでゆけ」最高でした。
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とてもとても救いのないストーリーなんですが、主人公2人が淡々と自らの境遇を受け入れているので、悲壮感のないむしろ清々しいとすら思える小説に仕上がっています。
これはちょっと映画で見たいなぁ。
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【自分で殺した女の子に恋をするなんて、どうかしている】
「私、死んじゃいました。どうしてくれるんですか?」
何もかもに見捨てられて一人きりになった二十二歳の秋、僕は殺人犯になってしまった――はずだった。
僕に殺された少女は、死の瞬間を“先送り”することによって十日間の猶予を得た。彼女はその貴重な十日間を、自分の人生を台無しにした連中への復讐に捧げる決意をする。
「当然あなたにも手伝ってもらいますよ、人殺しさん」
復讐を重ねていく中で、僕たちは知らず知らずのうちに、二人の出会いの裏に隠された真実に近付いていく。それは哀しくも温かい日々の記憶。そしてあの日の「さよなら」。
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主人公の男が飲酒運転によって通りすがりの女の子をひき殺してしまう――はずだった。しかしその少女は自己の死を「先送り」することにより数十日の猶予を得る。彼女はその時間を自分の人生を台無しにした者への復讐に充てることを決意し、主人公の男もその復讐に協力することになる。
オチというか、話の筋がバレバレだと思う。
始まり2ページ目で脱字があるし、描写がよく分からない感じのところもあるし、充実した小説とはいえない。
ただ、女の子が瑞穂くんに恋をする過程と二人が出会う経緯はなかなか良いと思う。
唯一のよりどころである瑞穂くんをデート中、しかも自分が選んだジェットコースターで死なせてしまう。それをなかったことにして、出会いもなかったことにするというとても哀しい物語。
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世界には色々な落とし穴がある。「落とし穴の中で幸せそうにしている人」の物語を好むようになった。作者の後書きから引用・抜粋したが、今回も影のある主人公が小さな幸せを見つける話になっている。とても美しい。
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星二つか三つで悩む。
救われない話を悲劇で終わらせない方法だと、本作のラストのようなシーンになってしまうのも分かるが、ちょっと続き過ぎなのではなかろうか。
作風といってしまえばそれまでなのだが…
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筆者の「三日間の幸福」が良かったので購入。物事を「先送り」する能力をもつヒロインをひき殺した主人公が、ヒロインの復讐を手伝う話。ヒロインの人生があまりにも凄惨で救いがない。父、姉、姉の友人に同級生とむごい虐待を受け、身体は傷だらけ。そこに救いはない。たった一つの希望である文通相手の主人公との交流がすべての希望。それ以外は本当に、言葉にできないくらい酷い。ここまで悲惨な虐待を描く必要があったのかと思ってしまうくらい。たった一つの愛に救われるなんて許せない。物語の登場人物だからこそ、幸せにならなくちゃいけない。
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文庫書き下ろしとのことで給料日前でカツカツなのに予約までして買った。げんふうけいファンの鑑。
今までそんな暴力描写あったかしら?ってぐらいたくさん血が出てきてブルブルしながら読んだが、青年×JK好きにはたまらない展開だった。最高に無駄なことをしている有意義な時間の流れが愛しくて、ページを読み進める手が止まった。(二時間ぐらいで読破したけどほんとに寂しかった)
ラストに向かうにつれて目頭が熱くなり鼻の奥がつんとする。あの台詞の意味はもしかして、と読み終わった後も考察しすぎて通勤中に泣いた。読み返して意味を悟ると、また一気読みでラストで胸が苦しい。一つ一つの台詞が終わってから突き刺さる小説だった。
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最高だった。
その一言に限ると思う。
三秋さんの本はこれで読むのは二冊目。
残酷な言葉をも美しく書き記してしまうこの人は、どんな人なんだろう。あまり三秋さんを知らない私はそう思う。
好き過ぎる本の感想はあえて----というより、うまく言葉に出来ずに、いつも歯痒い。
それでも、この本は、今までであってきた本の中でも、ずっと手元に置いておきたくなる。何度も何度も読み返したくなる。そんな本だと思う。
三秋さんの本はほかにも出ているそうなので、近いうちに読みたい。
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シャーデンフロイデ
ストックホルム
ライナスの毛布
いたいのいたいの、飛んでゆけ
キーワードだとか、ストーリーは面白かったんだけど、
倫理観が合わなかった。
気持ちはわかるんだけどね。
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『いたいの、いたいの、とんでゆけ』三秋縋、読了。何もかもに見捨てられて、唯一の文通相手にも嘘をつき続けた主人公の瑞穂は、二十二歳の秋、殺人犯になってしまったーーはずだった。彼に殺された少女は死の瞬間を《先送り》することによって十日間の猶予を得た。
彼女はその十日間を自分の人生を台無しにした連中への復讐に捧げる決意をする。復讐を重ねていく上で、知らず知らずのうちに互いの出会いの裏に隠された真実に近づいていく。暴力シーンは残虐かつリアルな描写で見ていてこっちも痛い。暴力に対して身近だった為に読むのに苦労した。
世界は愚かしく残酷で冷たい穴ぼこがいくつも存在しているが、それでも繋いだ手だけは離さないように、そしてそれだけあれば自分は生きていける、誰かの存在が幾重にも自分を強くしてくれている/支えてくれていることを実感。どうしようもない現実にも、たったひとつの希望が、救いがある。
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筋はすぐに分かってしまう(少なくとも「どちらか」だろうという予想はつく)けど、終わり方がきれいでいいと思った。
色々と、いくらなんでもやり過ぎだ、と思う部分もあるものの、惨劇はリセットされるし、一途な想いは貫かれるし、最後までずっといちゃいちゃしているから、まあいいんではなかろうか。
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※激しい暴力及び流血描写の含まれる作品です。
【印象】
「苦悩を解決しないこと。それこそが救いの本質なのだ」。
【類別】
小説。
超常ファンタジーの要素。
【構成等】
一部、別の人物の視点から語られます。
【表現】
地の文は一人称視点であり、文体は平易。
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引きこもっていそうな女の子は、もこっちよりもオギーをイメージして読んでしまいます。はい、どうでもいいですね。
このあいだ「三日間の幸福」読んで、この人の本はこれで二冊目。全然幸せじゃないのにこの二人の組み合わせはいいなぁと思う作風だ。
小学生の卒業前に転校したときから続いた霧子との文通は五年前、瑞穂は返信せずに一方的に終わらせた。
二十二歳になって今更会いたいと手紙を送って指定場所で待っていても来てくれるはずもない。
自棄になりウィスキーをひっかけて車に乗り込みアクセルを吹かしたその先で人を轢いてしまった。はずだった。
「私、死んじゃいました。どうしてくれるんですか?」
そう言って学生カバンで殴ってきた女の子は傷一つしていなかった。
彼女は、自分の身に起こる災難を”先送り”にできるという。そして、自分の死を十日後に先送りにしてしまった。
もう死んでしまったことですし、あなたには私の復讐に付き合ってもらいます。
自分の人生を台無しにした連中を殺しに行きますという彼女に付き合って、一人ずつ洋バサミで刺し殺していくのを手伝うことになった。
この著者はタイムリミットを使うのがうまい。そして、最後はどうなったかというのを明確に描かないから後に残る。
読みやすいし、この作風は好きだなぁ。この人の本を二作読んで、この作家は来たなぁと久々に思える作品だった。
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同作者の別作品がとても好きなのですが...虐待やいじめの描写がつらくて途中読むのをためらいました。
全体的に薄暗い雰囲気の作品です。