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窮奇、そして鎌鼬と稲光山にまつわるダークファンタジー四篇。全て異なる味わいの物語が、風と獣で繋がっている
気づいたら一気読みしていた。度々描かれる幻視の描写に唸る
収録作品:『異神千夜』『風天孔参り』『森の神、夢に還る』『金色の獣、彼方に向かう』
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不思議な力を持つ存在をテーマにした4本の作品集。
ホラー感は期待の半分くらいでしたが、さらっと読めて楽しめました
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時代を超え跳梁する獣とそれに惑う人々の姿を描いた作品を4編収録した短編集
昨年読んだ『竜が最後に帰る場所』で恒川さんの作風が少し変わってきたような印象を受けたのですが、解説によるとそれは意図的だそうですね。
異界を作品の舞台としてきて恒川さんですが、今作も舞台は現実の世界。そこに一匹の不思議な鼬がはいることでそうした現実世界が恒川ワールドに変貌します。
一話目の「異神千也」は元寇の時代が舞台。現実、それも過去の時代が舞台というだけで恒川さんの作風が変わったなあ、という印象を受けるのですが、
作品を読み終えた時に残る冷やかさは他の恒川作品と共通するものがあると思いますし、
人や時代の残酷さを前面に押し出さず物語の根底に敷いて、静粛と少し張りつめたような空気感を貫き通しているのも恒川さんらしいと思います。
そうした「異神千夜」から時代を超えて語られる物語はどれも共通した空気感があるように思います。不思議で美しく妖しい獣と現実の残酷さを描いた物語たちは、芸術的とさえ言えるように読んでいて思いました。
解説によると一話目で伝説が生まれ、本を読み終えるときその伝説はどこかへ消えて行ってしまったような物語にしたかったそうです。
でもその伝説は今もどこかに息づき、例えばどこかの山の奥に、もしかすると自分の家と家の狭い隙間に、今も息づいているのではないか、
そんな風に読み終えて思いました。
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さらさらと読み流せる。軽いといえば軽いのだけど、けっして読み応えがないわけではなく。脳裡に次々と情景が浮かぶ喚起力のある文体で余韻が好い塩梅だった。
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金色の正体となるイタチに纏わる4つの連作短編物語。
ちょっと怖い土地に伝わる昔話のテイストで、
もののけやあやかしはこんな風に日本に伝わったのかな…と想像を巡らせて読むのも楽しかったです。
妖怪が憑くのは人間の心の闇につけ込むというのは定石。
神の禁忌に触れる様な静かな畏怖が堪らなく面白い。
「風天孔参り」が1番作者らしい作品で好きでした。
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本を手に取って、
いきなり引き込まれる感じが心地いい。
下手すると何ページ読んでも引き込まれないこともある中、(同時期に読み始めた「村上海賊の娘」がこのパターン。そして途中で挫折!すごく期待してただけに残念。。)
恒川さんのお話はほとんどはずれなく
「次へ次へ」という気持ちにさせてくれる。
わたしにとってのポテチ作家さん。
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2015年5冊目。
2015年読み初めの『スタープレイヤー』に続く恒川光太郎。
今回は(連作?)短編集。
窮奇/鎌鼬、風/竜巻、憑依、神通力、金色の鼬……etc、といったところが、キーワード。
「異神千夜」
鎌倉時代、元寇を舞台に繰り広げられる窮奇/鎌鼬のエピソード。普段、時代、歴史小説の類は読まない自分だが、いきなり引き込まれました。設定のためか、これまでの作風とは一番異なっているように感じた。
「風天孔参り」
風天孔という、竜巻のような現象を追う一団の物語。そして、岩渡は……。『秋の牢獄』や、『竜が最後に帰る場所』の「夜行の冬」に近い感覚。
「森の神、夢に還る」
書簡体で綴られた、憑依譚。少々、ミステリー仕立て。
「金色の獣、彼方に向かう」
金色の鼬を介した神通力の話。
後半二編は『夜市』『雷の季節の終わりに』に通じる恒川光太郎流、少し人間的にドロっとした部分が含まれる、ダーク・ファンタジー感あり。
先に読んだ『スタープレイヤー』とのベクトルの違いには驚かされるが、ドチラも、ハードルを軽く飛び越える面白さ。解説にあるように「恒川作品に駄作なし」。
現在、積読の『金色機械』も楽しみだ。
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この作者で初めて読む時代小説風の異神千夜。
いままでの幻想を全面に押し出した作品とはひと味違う。
怪奇、幻想そして活劇(アクションではなく活劇、ここ重要。)ががっつり組み合い読ませてくれる。
他3編も幻想に包まれた現実の痛さ、苦しさ、切なさが胸に迫ってくるが読後はあっさりというか爽やかさ残る。
恒川作品にハズレ無し!記録更新中。
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何度でも言いますが、好きです恒川さん作品……! 鼬の存在を陰に日向に彷徨わせる、ホラーテイストが強めのファンタジー短編四作。いずれもおどろおどろしい凄惨なシーンが生々しく描かれているのに、吐き気を催させられるようなこともなく読めるのは、物語全体に漂う神秘的な雰囲気の所為でしょうか。
恒川さんの作品は、作品によって全く違う世界を飛び回ることが出来るのが良いですよね。冒頭の自然描写を頭に思い浮かべて、その物語の舞台を想像するところから始めるのが毎度の楽しみです。
「森の神、夢に還る」の二人称語りが印象的で、語り手の優しさが滲むようですごく好きでした。
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金色の獣に関わる、時代も人物も異なる怪奇幻想譚が四編。人間のどろどろした部分や凄惨な出来事が描かれるのに、丁寧な筆致には落ち着きと優しさまで感じる。
一編目が元寇を題材にした時代ものだったことで、金色の獣にまつわる壮大な大河小説要素のある連作を期待してしまったので、そこはちょっと物足りなさはあった。
とはいっても一編一編は文句なしに面白い。
「異神千夜」
鎌倉時代、元寇の裏で起こった怪奇譚。戦乱に巻き込まれた商人の辿る数奇な運命。重厚な歴史ホラーということで、作風の広がりを感じた。四編で最も印象的な作品。
「風天孔参り」
樹海の側でレストランを営む主人公は、一人の若い女性の訪れをきっかけに、樹海で起こる超常的な自然現象『風天孔』と、そこに飛び込もうとする集団の存在を知る。設定が面白い。もの悲しさと清涼感のある物語。
「森の神、夢に還る」
森に棲む謎の存在『わたし』はたまたま目に止まった若い女性ナツコに憑依して森を出て、都会でナツコの人生を眺め楽しむ。ナツコの出会うトラブル、そして凄惨な『わたし』の過去。暗い物語なんだけど、優しさに包まれたよい話でもあり、それぞれの物語、二人の友情に涙。
「金色の獣、彼方に向かう」
町自体が怪奇譚の宝庫という舞台で、少年が、少女と出会い、そして賢い金色の鼬のような生き物と出会うことで始まる不思議な体験。爽やかファンタジーな雰囲気が、だんだんと暗い色を帯び始める。墓を掘る老人が魅力的な存在で、もっと彼の物語を読みたいと思いました。
全体通してもっともっと怖くおぞましくできるところをあえて抑えている印象。闇を見つめて怖いと感じるかどうかは読む人に任せようということなのか。この飛び出しすぎないバランス感はすごいけど、もう少し抑制せず飛び出したところを見てみたいという気もする。
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「男ってね、一生懸命、恰好つけているけど、徹底的に挑発すると、最後は爆発しちゃうのよ。本質的に馬鹿なのね。」
著者の描き出す、少し不気味で不思議でなつかしいような幻想の世界が大好き。なんだけど
↑こんなフレーズまであるなんて。どびっくり。
博多が舞台の御話は歴史と織り交ぜてあり(どこまで真実かわかんないんだけど)
今後こういった歴史小説の分野も読んでみたいと思った!
とにかく今回もはずれなし。
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鼬 イタチ にまつわる
不思議なお話し
短編4話
恒川さんらしいストーリー❗️
不思議なだけじゃなくて
伝えたい事がしっかり存在するところが
私は好きです
読み出すと止まらないのが
この人の作品だ。。。
この人の本は、全部読みたいです。
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4篇の連作短編集。「異神千夜」が一番面白かった。蒙古襲来がモチーフというと、「アンゴルモア」が浮かぶが、それともまた違って、不思議で怖い話だった。金の獣つながりの短編集かと思ったが、どちらかというと樹海も深くつながっているような気がする。「風天孔参り」に出てくる風天孔に私も入ってみたい気がした。
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金色機械、スタープレイヤーと恒川ワールドが薄れてきてご無沙汰でしたが、久しぶりに堪能させてもらいました。やはりこの人の作風はこうでないとなぁ。
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毎度の恒川ワールド。
掲載順と発表順は違うようだけど、
時空を超えてゆるくつながる世界。
でも今回はそれがかなりピンポイントで、
言葉だけが短編をまたいでいるようにも感じた。