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20年の製作年月を感じさせる重みのある一冊。1つ1つの作品をひも付けながら丁寧に解説していく至高の評論本。
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完成まで何と20年。ゴジラ還暦の年に間に合ったことが感慨深い。さらに新たな発見が多数(宗教のことはよく分からないが)。ご本人の本以上に面白い。
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怪獣小説ではないけれど、読みました。切通理作著『本多猪四郎 無冠の巨匠』。怪獣、特撮映画好きならばこの人の名前を知らない人は居ません。怪奇幻想作家の香山滋によるプロット「G作品」を元に映画作品として脚本を書き、フィルムに写し込んで『ゴジラ』として銀幕に登場させた生みの親の「お父さん」的存在である本多猪四郎監督。その半生と、監督の『ひととなり』が最も顕著に見受けられる作品をピックアップして検証した記事は名著『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち 増補新装版』を世に送り出した切通理作の綿密な取材と鋭い観察眼で構成した映画監督本多猪四郎の評伝。
戦争を生きぬき、戦後の混乱と復興という激しく動く日本の昭和という時代のなかで、科学に対して非常に強い探究心を持ち、科学万能のユートピアを夢見る人物像は当時としては映画監督として異色な存在だったに違いない。しかし、勧善懲悪なドラマの中でも「盗人にも三分の理」を貫くその演出手腕は、戦争という苦境を経てなお映画製作が生きがいとした本多監督の為人の成せる技であり、その眼差しで描かれる故に重圧なストーリーの中にも独特の優しさが漂う作風として今なお愛され続けていると伝える切通の文章は実に巧みに心に届く。
秋の夜長、この本を片手に本多作品を観かえすのもまた一興です。٩(`・ω・´)و"
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本多監督が三度にわたる軍隊生活でどの隊に属しどこに駐在していたかまで調べ上げている周到さに感心する。映画の撮影で大勢のエキストラを動かすのに軍隊体験が役立ったというのもなるほどと思わせる。戦時中の日記をはじめ、かなり詳しい記録を残してくれており、現在それらの研究が進められているから、今後も楽しみ。