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結末は分かっているのに、光秀が気の毒で最後が近づくにつれ読むのが辛くなった。御公家さんて、何でこんなに嫌らしいかな。
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ストレートで思い切ったタイトル。
内容も、これ以上ないほどに面白く読みやすい。
本能寺で時の天下人・織田信長が部下の明智光秀に討たれたことは、歴史に疎いサブロー(誰!?)でも知っている大事件だが、真相は、とくに、光秀が信長を討ち果たす決心をした理由については謎のままだ。
光秀が信長に猛烈なパワハラを受けていたらしいことは、目撃証言などもあるようだが、それだけでどうかな?という思いは多くの人が感じると思うし、毛利攻めに関してないがしろにされたから、とか、秀吉が仕組んだ説などと、どんどん新説も出てくる。
この本はシンプルな組み立てだが、1章ごとに中枢人物の心理が深く書きこまれていて、読み進むごとに、「もうこれしかあり得ない」と思えてくる。
結末は分かっているのに、手に汗握ってしまうのだ。
そして、信長の末路についても、資料にある以上のことを創作していないにもかかわらず、「これが真実」と納得してしまう。
信長の遺体は発見されなかったし、首も上げられていない事から、今でも、実は逃げのびた説があるが、「織田信長」という武将が、その後の歴史についぞ登場することが無かったのも事実だ。
そして、「本能寺の変」は、「戦国時代の終わり」の始まりでもある。
明智光秀が天下平定に大きく貢献したことは間違いないと思う。
信長は確かに、それまでの、「領地を手に入れて年貢を取ることだけがまつりごと」だと思っている、いまだ鎌倉気質の武士たちとは違い、グローバルな視点で日の本の未来を考えていた、むしろ時代にそぐわないほどの先進的人物だった。
物事にこだわらなさすぎたために、「朝廷?あん?別にそんなののなくても日本は治まるでしょ?」と考えて、こういう事態になったのだ。
いろいろあって(笑)、戦国は徳川の手で終わりを告げた。
信長が構想した様な世の中にはならなかったが、とりあえず260年は平和が続いた。
信長が夢見たような自由貿易がおこなわれ、朝廷が日本のまつりごとに口をはさむことが(法的に)出来なくなったのは、更に更に後の事…
と思うと、やはり信長は先進的すぎたのだろう。
あの時代には存在できないほどに。
ゆえに「信長死すべし」とあいなったのだ。
非常に納得できた作品だった。
それとともに、これほど明智の無念が胸に染みたこともない。
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お話の中心となる人物が一章ごとに変わるんで、本能寺の変っていうひとつの出来事をいろんな角度から見られるのは面白かったかな。
ただ、まぁ キモとなっているのが朕だの麿だのだからかな~ 勢い良く読破って感じでは頁が捲れない。
で、まったり速度で読んでると、お武家さんがたのスピードに置いてかれちゃいそうになる。
「置いてかれた」と言えば、最後の最後。
明智さんとシンクロできる豊かな感性を持ち合わせていれば、余韻が楽しめるかもしれんけど私には無理やったです。
ぃやぁ 現代に生きている私でさえそんな感じなんだも、当時の殿上の方々には尚更、信長さんの急進っぷりったら脅威やったやろなぁ。
それにしても本能寺の変に於ける明智さんは巻き込まれ?やら利用され?やら説が多いのね。
もし私が明智さんやったら、せめて首謀者だと思われてたいなぁ。
気の毒な共犯者より、天下の大逆人でありたいなぁ。
お世話になった人を手にかけんだも、せめて誇りをもってそうしてないと堪らんなぁ。
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本屋で「利休にたずねよ」を超えた!とPOPを見て、「利休にたずねよ」が好きな私としては、イヤイヤあれを超えるのはそう難しいだろうと訝しく思いながらも、読んでみる。
一ページ目から面白い予感。帝、信長、その周りの人物と目線を切り替えながら、信長死すべしに向けて話は進む。
他では明智光秀は良い扱いされていないが、なるほどなと、この流れに納得する。紀元前から続いてきた帝の流れを守ったものとしてみると、私の中でも英雄になった。
人物が切り替わりすぎて、付いて行きずらい感はあり、「利休にたずねよ」は超えてないだろと思うが、歴史的好奇心がくすぐられ楽しい一冊。
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織田信長を倒したいという人々と、野望に邁進する信長の葛藤が描かれた物語。歴史的に知られている本能寺の変に向けて人々がどう動くのか、その表舞台と裏側の対比にドキドキしながら読み進めた。明智光秀については別の小説も読みたくなる。
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朝廷黒幕説で本能寺の変前後を描く時代小説。それぞれの立場での心理戦を詳らかにし、ワクワク・ドキドキさせてくれる。本能寺の変関連は歴史的資料もほぼなく、いくらでも妄想・推論で語れてしまうので、色々な解釈があって面白い。故著者のストーリーも楽しませてもらえました。
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朝廷黒幕説を取って本能寺の変に至るまでを描く。歴史小説ではあるものの、サスペンス小説のような面白さがある。
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テンポが良くて非常に読みやすい。
命のやりとりを日常的に行なっていた戦国時代に生きる人々尊敬の念を抱くばかり。
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本能寺の変をいわゆる朝廷黒幕説を根拠に描いている。
武田が滅んだ後から物語が始まる。
天皇、近衛そして光秀など歴史上有名な描写を切り取りつつ変までの数ヶ月を時系列に群像劇のように展開している。心理描写が巧み。
今の世の中は情報過多でSNSであっという間に情報が拡散する。それに比べ戦国時代は全て人の手により物事が動く。情報の持つ意味とかよくよく考えさせる。
ただ、この小説信長も当然出てくるが明らかな油断としか言いようのない、あるいは全然違うことを思考しての落とし穴に気付いていない間抜けさがありそこが残念だ。
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#読了 正親町帝が「信長死すべし」と思い至ってから、信長含めた複数人の視点で本能寺まで描く作品。歴史小説ってどうしても結末がわかってしまうし、この作品も大まかな流れは変わらないのに先が気になるのはなんでなんだろう?陰謀がバレないかハラハラしながら読んでしまった。
昔から光秀が好きというのもあって、信長を扱った小説ではいつも光秀がかわいそうになって仕方ない。今回もご多聞にもれず、光秀かわいそうです。
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本能寺の変を正親町天皇黒幕説から描く。天皇が黒幕と言っても天皇には力がなく、他人に命令することしかできない。天皇の命令を受ける公家にも力がなく、やはり他人にやらせるしかない。このため、黒幕が全てを操る物語ではなく、群像劇になっている。
黒幕説は明智光秀が操られた存在になってしまい、光秀自身の思いを軽視することになる。それにしても天皇や公家は汚い。失敗しても自分が傷つかないようにしている。保身第一の無能公務員と同じである。
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最近読んだ同著者の『火天の城』や『花鳥の夢』に被る部分があり、とても面白く読めた。
最終的に行き着く所は、誰もが知る”本能寺の変“なのだが、そこに行き着くまでの流れを章ごとに視点を巡らせながら進めていくスタイルで話がテンポ良く展開し、読者を飽きさせない。
織田信長という人物の人となりやその勢い、また彼が見据えていた日本の展望や周囲の人間関係がページを捲るごとに徐々にくっきりと浮かび上がってくる。
『利休にたずねよ』をきっかけに山本兼一氏の作品を読み始めたが、十数冊読んでハズレがない。