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「私の絵をグルジアに飾る必要はない。なぜならピロスマニがいるからだ」ピカソの激賞を受けたピロスマニは生涯に1000点以上の作品を描いたと言われている。現存確認は217点。素朴な筆致は複製を作りやすいこともあって贋作が多い。豊かな土地と変化に富んだ山河をもつグルジアは、長い年月ずっと周辺の国々から侵略され続け戦火に曝され続けた。隙を見せればいつでも攻め込まれる危険は、グルジアの人々に生命を賭けて自分たちの文化、宗教、風習を守る気風を育てた。そんな中で生きたピロスマニの描く人物画は、優しさに加え、母の胎内を思わせる夢見るような温もりを感じさせる。焚き火をともに囲むような人物への限りない親しみが伝わってくる。描かれた人物の瞳は純朴で黒く深い。瞳はどれも曇りなく真っ直ぐで人懐っこい。彼の人柄が表れている。
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読書録「放浪の聖画家ピロスマニ」5
著者 はらだたけひで
出版 集英社
p51より引用
“ピロスマニはたったひとつの行為、絵を描
くために生きたのだ。絵を描くためになら、
どんなに辛い仕事も断ることはなかった。
「卑しい仕事を避けて、どうして崇高な仕事
に近付くことができるのか」と語っていたと
いう。”
目次から抜粋引用
“比類なきグルジア
街がギャラリー
ピロスマニとイコン
多様な信仰の世界
永遠なるグルジア”
絵本作家である著者による、数多くの作品
を書いたと言われる「ニコ・ピロスマニ」の
作品と生涯を紹介する一冊。
彼の母国グルジアについてから個々の絵の
解説まで、著者のピロスマニへの思いの丈が
伝わってきます。
上記の引用は、ピロスマニの生い立ちにつ
いて書かれた章での一節。
面倒事を面倒くさいからといって避けてばか
りいては、いつまでも変わらないのかも知れ
ませんね。
かのピカソが、「私の絵をグルジアに飾る
必要はない。なぜならピロスマニがいるから
だ」と言ったとのこと。天才は天才を評価し
ていたのですね。
どの作品を見ても、じんわりとにじみ出る
味わいがあるものばかりです。
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ジョージア(旧グルジア)の画家ニコ・ピロスマニの生涯と作品の紹介、解説。加藤登紀子が歌ってヒットした「百万本のバラ」で歌われている画家はピロスマニであることを本書によって初めて知った。また、画家が女優に恋をしてたくさんのバラを贈ったという歌詞の内容も実際のエピソードに基づいた内容とのこと。
ピロスマニの絵の特徴は黒いキャンバスに描かれた素朴な絵であること。個人的には鹿、馬、豚、熊等の動物を描いた絵が好き。
ピロスマニについての映画も制作されていて、岩波ホールで何度目かの再上映をやっていたようだが、観れなくて残念。
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日本では「100万本のバラ」でしられる、グルジアの国民的作家、ピロスマニについて、彼の生涯と作品を照らし合わせながら解説している。
自らの内にある「理想郷としての故郷」グルジアを描きながら、赤貧のうちになくなっていった画家の生涯を作品とともに追想できる。
敬虔なキリスト教の国でありながら、彼の描く世界は独特な異教の匂いに満ちている。一見素朴で単純なタッチながら、横溢する生命力がオールカラーの絵から立ち上ってくる。
彼の作品の中では、私は特に動物たちに惹かれる。
そのなかでも動物たちは古来シャーマンたちが友とした「パワーアニマル」を彷彿とさせる。
しっかし、グルジアの国名が「ジョージア」になったと知ったらピロスマニはなんと思うのだろうか。
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大好きな絵描きさんが
大絶賛していた絵描きさんが
グルジアのニコ・ピロスマニです
「実際に目にしてみると
なんともない そこらへんにある
黒い布に そのまま バーッと
色を置いているだけなのだけれど
それが 得も言われぬ魅力になっている
それが とにかく凄い!」
とお話ししてくれました。
黒の色が
おどろくほど美しく
おどろくほど魅力的な
絵描きさんです
何度読み返しても
そのたびに
新しい発見と
新しい安堵感を
もたらしてくれる
一冊です