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親に束縛され、なかなか逃れることのできない田中真紀子が、東京で、男友達の家に間借りすることによって、その家族の自由奔放さを体感しながら自分の生き方を模索していく。束縛だったり、父母のヒステリーな感じだったり、仕事の苦労だったり、異常なまでの尊敬だったり、決して軽い話ではないのだけれど、今回の作品も読んでいて心地よかった。そして、家から見える町の風景だったり、町の描写がいたるところにあって、その場で生活しているんだという感覚がリアルに伝わってきた。
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1/25にサイン会でサイン貰ってきた本。面白いってご本人言われてたけど、最初寂しくて仕方なかった。何でだろうと思った。最後まで読みきったら、何となく分かってきたような気がする。主人公の田中真紀子は歪んだ世界を見続けてきて、うまく表に出せない。そーなんや、とかなるほど、とかどっちでもいいときに使うもんなと思う。人との関わりって難しい。この本に出てくる人は同じ場所にいても見ている先がみんな微妙にずれていて、そーゆーのが寂しい原因なのかもしれないと思った。またいつか、会えるかな。こんな風に考えられた作品を、柴崎さんの作品を読みたい。
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個性的な家に合致して、そこに住む人々もまとまりがない。部屋を借りるだけなら、これほどバラバラのほうが気を遣わなくてよさそうではあるけど。
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こんな人がいてもいいと思う。
こんな家族がいてもいいと思う。
それを世間はつぶさないで欲しい。自分の常識で。
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二八歳の田中真紀子は、友人のイチローから誘われ、彼の家に間借りすることになった。その家は建て増しを重ねた奇妙な家で、コンクリート三階建ての本館、黄色い木造の二階建て、鉄骨ガレージの三棟が無理やり接合されていた。真紀子はガレージの上にある赤い小屋に住むことに。イチロー父は全裸で現れるし、女優の母、無職の姉、モテ系女子の妹も一癖ある人ばかり。そんなある日、イチローは、自分はおなじ一日が二回繰り返されることがあると真紀子に打ち明けるのだった。芥川賞作家が放つ、新感覚パノラマワールド!
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初めのうちは、いつものように淡々と特別に起伏があるわけでもない日常が描かれているのだが、ふとしたきっかけで間借りすることになった木村家の、一風変わった家族が住むつぎはぎの奇妙な家での暮らしが始まると、その家族それぞれの事情や存在感に巻き込まれながら真紀子の日々も微妙に変わっていく。しかも木村家の人たちはそれぞれに、いささか普通ではない力を持っていて、そのことに真紀子も初めの内こそ驚きはするけれど、さほど大きな反応をすることもなく、そのまま真紀子自身は淡々と日々を過ごしていく平坦な物語かと思って安心しきっていたら、彼女の身にもどういうわけか同じようなことが起こるのである。でもそれがおそらく真紀子にさまざまなことを気づかせてくれるきっかけにはなったのだろう。平坦ながらもきのうとは違う新しい世界に生まれたような印象もある。パノラマワールドというよりもパラレルワールドのような印象の一冊である。
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半分くらいまでは読むのがしんどくてやめようかとおもうけど、最後まで読むとなにかわかった気になる、読んでよかったなって思う。さいきんの柴崎さんはいつもそう。
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木村亭に間借りすることになった主人公。女優を母に、一風変わった家族が揃う中それぞれの不思議な力や生い立ちが明らかになっていく。
450ページの長編は普段あまり読まないんだけど後半のパノララ具合に引き込まれて一気に読んでしまった。
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なんだか不思議な話だった。
真紀子は友達のイチローの実家に間借りすることになる。
イチローの家族は父と女優の母、そして父親が違う姉と妹。
複雑な家庭に父親の将春が増改築を繰り返した奇抜な家。
木村家で過ごすようになった真紀子は、徐々に家族と打ち解けていく。
それぞれがちょっと変わっていてさらに変な能力を持っている。
イチローの同じ日を繰り返す能力。繰り返すだけで、別の行動は取れないというあの力。
真紀子が疑似体験のようなものができたのはなんでだろう。
しかも、あんなにも嫌な1日。精神的なダメージが大きかったからなのか。
同じ日を繰り返すことは映画の撮影に似ている。
映画はより良いシーンを作るためにテイクを重ねるけど、イチローの力は、別の行動は取れないからなんだか不毛。
後悔しないように行動しないといけないってことかな。
真紀子は、繰り返しのあと、すこし成長したなと感じられた。
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この父親のイメージは、「まれ」の田中民さん(さんずいの民、変換されないや)です。私的には。
とにかくちょっと変わった家族と同居する話。少し羨ましいかも。
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すべてはあの最後のほうのあの章を書くための伏線だったのかな。いつまで? とページをめくるのがちょっと怖かった。干渉されるのが嫌なのはすごくわかる。ちょっとだけ気にしてもらえるのがいい
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昔から数学の空間図形みたいな問題は苦手で、つぎはぎのように接合された部屋だの階段だの、部屋の位置関係が頭に浮かばなくて混乱しております。迷子になりそうですね。
「同じ一日が繰り返される」ことがメインの話じゃなかったのね。あらすじで面白そうだったのに。同じ日が繰り返されても、思い出したくもない一日もあるだろうにねぇ・・・。
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『わたしには一日は一回ずつしかないけれど、イチローには一日がもう一回あるときがあって、二回目の一日を体験しているときに二回目だということはイチローにはわかっていて、わたしが撮った写真にイチローが写っていない理由がそれがイチローにとって二度目の一日だったからだとしたら、写真を撮ったわたしも二度目のわたしだったということで、だけどわたした一回目を覚えていないから、いまここにいるわたしは一回目のわたしとは別のわたしなのか、一回目のことは忘れて二回目のことしか覚えていないわたしなのか、というようなことを考えたのだった』
柴崎友香の小説をずっと読み続けてきたけれど、この小説はこれまでの小説とは随分違うとも思うし、やっぱり柴崎友香の小説だなとも思う。
何やら非日常的な出来事に満ちているのは、一見するとこれまでの作品とは大きく異なっているようにも思えるけれど、それは見方や捉え方次第であると柴崎友香がずっと主張してきたことの延長であるとも思う。何気ない日常と片付けがちな時間の中に、ぎゅっと詰まっているものがあり、いくつもの思いがある。それがこの作家の常々描いてきたことだった。それを何も起こらない小説と片付けてしまう見方もあるけれど、大袈裟なエピソードの方が嘘臭い。
それでも、例えばワープは初期の作品でも時々ごく普通のことのように挿入されていた出来事だった。それを特筆すべきことと捉えるか、あるいは自分が意識していない間にある地点から別の地点へ異動することはワープみたいなものだと考えるか。要する相対的な所要時間に差はあれど、誰でも日常的にワープしているとも言える訳で、それはきっと時間というものに縛られた現代的な感覚なのだろうなと整理することもできる。何も飛行機や新幹線のような現代的な移動手段が問題なのではない。例えば片道30分の通学路を歩いていも、その到達点の遠さを忘れる為に色々なことを考えながら歩けば、あっと言う間に家にワープする。もちろん、客観的には連続した時空間を移動しているだけだけれど、自分の意識する世界の中でそれはワープしたのと同じこと。そういう趣旨のことを作家も語っていた記憶もある。多分、そこに通低するのは、世界は常に自分の意識の中で再構築されるもの、という思いであるとも思う。そう作家が意識していないとしても。
一方で、これまで余り取り上げて来なかったものは、自分の意識の中だけでは解決しないもの、自己と非自己との関係性、というものだ。これまでもオムニバス的に同時進行する世界が交錯するような、いわば複数の自意識が織り成す関係については強い拘りがあったとは思う。けれど、川上弘美がこの頃繰り返し取り上げる母と娘のような関係性についてここまで正面から取り上げたことはなかったと思う。その解っているけれど向き合いたくない主題が、居候する各々がパラレルな時間軸で同居する家族の傍らでじっくりと重力を増してゆく。最後にはシュヴァルツシルト半径の内側に落ち込んで二度と戻れないかと思う程に自意識の意味が失われる世界に落ちてゆく。絶ち切ろうともがいてもそもそも物理的ではない繋がりは、どこまでも伸びて来て、自意識を絡めとる。これは柴崎友香の��くものとしては珍しいものだと思う。在りたい自分と他人の認識する自分。その差に誰しもが悩み、苦しむ。きっとその最たる関係が母子なのだろう。作家は幾つかの母と子の関係を描きながら、主人公の母子関係に戻ってくる。その下敷きになっているものが、柴崎友香自身の母子関係であるのか否かに関心が無いこともないけれど、どこまでも自意識が再構築する世界から作家が一歩踏み出したのだとしたら、その事の方が重要だろう。
きっとここから変わっていくのだろうという予感が強く沸き上がる。
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同じ1日が繰り返すことがある感情を持っている人の話。親元を逃げるようにして東京に出て来て、ヘンテコな家のヘンテコな家族と一緒に暮らすことになる。でも、実はヘンテコなんかではなく、とても人間味あふれるとても良い家族との生活が待っていた。東京でこんな生活が出来たら結構楽しいと思う。物語の中に作者の実際の話?と思えるような箇所もあり中々良い物語だった。
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あの、一体何が言いたかったの?
読後の感想はこれだけ。
最後がとっちらかりすぎて、私には理解できませんでした。
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つぎはぎだらけの木村家に間借りすることになった真紀子。
その木村家の人々はちょっと風変わり。
特殊な能力?を持った3兄弟(女男女)に、すぐ脱ぐ?奥さまだけを愛するお父さん、女子高生のような接し方をしてくる女優のお母さん。
主人公の牧子も、両親との暮らしがトラウマとなり、自分の気持ちを伝えることを憚る性格。
木村家の人たちと関わり、新しい出会いもあり、真紀子は両親と向き合い、少しだけ前に進むようになる。
初読みの作家さん。
出会えて良かった。
すっごく好きでした。
不思議な感じなのだけど、普通っぽくて、この何でもない感じが良かった。
ちょっと前の、大好きだったドラマ『すいか』に似ていた?
何となくですが。