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熊野を舞台に繰り広げられる業深き血のサーガ…日本文学に新たな碑を打ち立てた著者初長編にして圧倒的代表作。後日談「覇王の七日」を新規収録。毎日出版文化賞他受賞。解説/柄谷行人・市川真人。
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岬に続いて読んだけど、やっぱ合わんなぁ。中上健次の凄さは頭では理解できるんだが、肝心の身体、小説そのものが入ってこない。
たぶん1番の疑問は家族や血といったものって、そんなに個人を縛り付けるもんなのだろうかという点。そもそも26歳にもなって、うじうじ親父や死んだ兄なんかのことを堂々巡りで考え、しまいには親父への復讐なんだかしらん理由で娼婦をしている腹違いの妹を買うって思考回路が幼稚にしか思えないんだよなぁ。
あと、宿敵の親父ってなんだかんだで悪い人に思えないんよね。火をつけただ、人を騙して金を巻き上げただといったことが書かれてるけど、どこにもそれが真実だとは描かれてないはず。これはわざとな気がするんだけど、真実はなんなのか。三部作の最後を読んだら、少しは見える部分もあるんだろうけど、疲れたから中上は当分いいや。
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日の光、土、夏芙蓉の香りと一体になって働いても浄化できない血の穢れ。再読して中上作品のなかでも随一といってよい透明感を感じた。肉体が、魂が、労働を通して純化されていくんだけど、底の底に沈殿していく。
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勉強不足だったが、中上健次が「紀州サーガ」と呼ばれフォークナーやマルケスを源流とし世界文学の潮流として彼らに比肩する作家であることを初めて知った。文章から滲み出る鬼気は圧倒的だ。
中上氏の言う「路地」とは被差別部落地区を指すが、作中には差別に関する事柄は一切なく、そこに土着する「穢れた高貴な血」への異常な執着の物語だ。秋幸が繰り返し繰り返し意識する実父「龍三」の血だが、根底にあるのは憎悪ではなく承認欲求とアイデンティティ認識のためなのかもしれない。個人的には「千年の愉楽」のほうが好きだが、端的にはなかなか言い表せないサーガを、小説という手法を使って書き上げた凄い作品だ。
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同じ内容が繰り返される内容だったが、最後は引き込まれていった。自分の人生を振り返る良いきっかけとなった。このような名作を読みながら、考える。自分に置き換える。そういった作業が成長のキッカケになりうると思った。長い、小説であったが一度時間を開けてもい一度読んでみようかと思う小説であった。
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大学生の頃から何度か読みかけては止まっていた中上健次の「枯木灘」を30年近くかけてようやく読了。
重くはないのかもだけど、日常と過去がいったりきたりの長い長い話はエンタメ的ではないけど、何かあるんだと思う。
巻末の柄谷行人も市川真人の解説を読んで、さらに頭を悩ますという夏休みならではの一冊。
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秋幸の仕事に対する気持ちと風景など、何度も何度も同じ描写が続き、それがまたこの物語に惹き込まれる要因になっている。
読みやすいけど、ゆっくり味わいながら読むと、より楽しめる。
田舎の親戚には、ユキみたいな人が必ずいる。
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先日、神保町に立ち寄った時に三省堂で見かけ、10代の時に挫折したことを思い出して再読笑
ドストエフスキーの影響を感じさせるとともに、作者自身の経験からくる部落(作内では路地と表現)の小さな町での物凄く複雑な人間関係とそれによって起こる事件や悲劇を大変だけれど美しい土木作業や自然と対比して丁寧に描かれている。
しかし平坦な日常を送るには人間関係が過酷過ぎた…
もし中上健次が存命だったらノーベル賞を取っていたかもしれないなと思わされるくらいの力強くも繊細な文体に魅了された。
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「推し燃ゆ」の宇佐見りんの推しに中上健次が挙げられているのを知って手にした本書。
今ではコンプライアンスやらハラスメントやらで抑制された人間の根源的な衝動や欲望がむき出しにされている。日常的には道義的に許せないことが、この作品では、なぜここまで心揺さぶられるのか?
自分の中にもきっとそんな衝動や欲望が潜んでいて、この作品の持つ文学性によって呼び覚まされ、熱い生命力がみなぎってくるからだろう。
ひどい話ばかり繰り返されるのだが、なぜかこの一家の血のつながりが愛おしく感じるのだ
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連載モノだから繰り返しが多い。
父親の血に苦しめられる息子の話。
淡々とした文章で、死ぬほどややこしい血縁関係が語られる。聖書?
人から後ろ指をさされ、罪をつくる元凶となった父を憎んでいても、やっぱり親子の交わりを諦めきれない秋幸のもどかしさを感じた。
続編の『地の果て 至上の時』も読みたい。
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中上健次の世界観は良いのだが、描かれるループ状の閉塞感、その中で原始的な欲望をぶつけ合い、それがこの世界のリアルだとするようなストーリーは、読み手のコンディションによっては耐えきれない。『岬』を読まずにこちらを先に手に取った不味さもあっただろう、数多の登場人物とそれらが抱える因果についていけなくなる。
元首相の死亡ニュース、体調不良、どこにも向かわない参院選。暑苦しい部屋で、中上健次を読むと、何にも変わらない日常の無限ループに嵌ってしまう気がした。
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熊野古道を歩いたのを気に色々と土地のことを知りたくなり読みましたが、フォークナーの換骨奪胎と思いきや、読後の後味は全然違いました。
誇大妄想に虚言癖、ペドフェリア、近親相姦、など現代でも普通いる人たち。文学ではおなじみのテーマ。そして山と海に挟まれた土地で血縁に囲まれ、路地では常に視線を感じる主人公。外がないので当然煮詰まっていきます。
唯一の外部として白痴の女の子を描いているのかな?だから最後のシーンで外からの視点でこの物語を笑っている、と解釈しました。
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燃え立つような、あるいは匂い立つような文章で複雑な血縁関係の渦中にいる主人公の葛藤が描かれており、夏に読むには持って来いの一冊でした。
三部作の二作目ということで、読んでいる途中から続きが気になり、三作目も用意しての読了。
とにかく面白い。
夏におすすめの一冊。
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重くて濃い。色々な反復に飲み込まれていく気分。フォークナーが引き合いに出されることが多いようだが、少し前に読んだフォークナーの『八月の光』と照らしてみても、確かに読後感が似ている。
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肉体労働の描写、山や梢、風や光の美しさの表現がとどまるところを知らない。(温かい日を受けた葉が光を撒き散らすように等)内容としてはちょっと飽きるというか、またその話〜?みたいな感覚は否定できないのだけど、たまにくる繊細で顎にクリーンヒット!みたいな、思わず手が止まるような感覚の文章が出てくるから最後まで読んだ。