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2015年に読んでいたのに、すっかり忘れて2020年に再読してしまった。当時星4つだったが、今は知識もあの頃よりつき、なるほどと思う部分が多かったので、星5つ。歴史は繰り返すということを、史実や思想を元に書いたもの。世界がどう向かっていくかを予測する上で、知っておいて損はない知識だと思った。
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我々日本人が一括りに捉えがちなキリスト教社会・キリスト教文化を、ヨーロッパの地域・民族・歴史の経緯により色分けして説明した箇所が秀逸。
この内容は新書ではなく学術書にすれば良いのに。本来深く相当重量感あるはずの内容が、あまりにもダイジェスト版に纏まり過ぎて残念。著者の宗教学・宗教史についての深い知識や考察と、外交官時代の政治の第一線で鍛え磨かれた知見が惜しい感じ。
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歴史をアナロジカルに捉える
民族意識を読み解く
■イギリス
島国だからもともとある程度まとまっている
■フランス
100年戦争でイギリスを追い出し領土的なまとまりを形成
■イベリア半島
レコンキスタでポルトガル・スペインが形成
■ドイツ(プロイセン)
神聖ローマ帝国が瓦解し台頭
宗教革命→三十年戦争→ウエストファリア条約(各領邦が主権を獲得)
※ウエストファリア条約
「主権国家によって構成されるヨーロッパ」という世界秩序をつくりあげる(=中世と近代の結接点)
■ナショナリズムの発揚
フランス革命 国民主権の確立
国民=国家→国民国家
国民国家の思想がナポレオン戦争でヨーロッパへ輸出→民族意識、国民意識の覚醒を訴えるナショナリズムが発揚
■宗教紛争を読み解く極意
ネイションがつくられる条件
イメージ、シンボルがある
産業化、教育制度(言語の標準化)が整っている→文化的な同一性
歴史的な根拠がある→過去にネイションを形成する出来事があった
■まとめ
・帝国主義が二度の世界大戦で崩壊
・カウンターパートのソ連共産主義も崩壊
・新・帝国主義の現在
・国民国家としてのまとまりが機能しなくなってきており、より小さな単位(民族・宗教宗派)へ細分化
・細分化した単位での独立推進・外部への進行激化
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世界史というものは今の時代には基本的な教養の一つだと思う。
海外ビジネスを進めるに当たり、当然のことながら相手先の文化、文明、慣習等々に気を配りながら進める必要がある以上、その国の成り立ちを前提として考慮しておく必要があるからである。
また、それだけに限らずこれからのこの国の行く末を考えるときにも一国鎖国主義では無い以上、世界の理について知っておいてもしくは無い。
本書は『歴史は繰り返す』ということから、過去の歴史を通して現代の国際情勢をアナロジカルに読み解くためのレッスンである。
まず作者は現代に直接的に繋がる事象をアナロジカルに整理するために、イギリスの歴史家エリック・ホブズボームの時代区分を提示する。
1789年のフランス革命から1914年までの「長い19世紀」と1914年の第一次世界大戦勃発から1991年までのソ連崩壊までの「短い20世紀」。
長い19世紀は科学・産業の進歩を促進した啓蒙の時代、進歩の時代であり、その行き着く先は帝国列強同士の初めての総力戦である第一次世界大戦を引き起こす。
その後も戦争の時代は続き、短い20世紀も歴史的には帝国主義の潮流の中でソ連崩壊により決着をみたのであろうか?
作者はまだ戦争の時代は終わっていないと断言する。
旧・帝国主義の時代は過ぎ去っても、2001年のアメリカ同時多発テロ以降の現代の国際情勢はイラク戦争、シリア内戦、ウクライナ危機、イスラム国の脅威という戦争に直結する問題から、EU金融危機やスコットランド独立問題、尖閣諸島を巡る日中問題とまだまだ国際問題はそこかしこに累積し、新・帝国主義的な潮流が生まれてきている。
そんな中で、『歴史は繰り返す』ことを事前に察知し、過去の歴史から現代の教訓を汲み取り行動するための知識として、歴史をアナロジカルにとらえることが重要なのであるという。
本書は新書なので情報量にも限りがあるため、大きく以下の3つのテーマでアナロジカルな歴史の見方を解説している。
資本主義と帝国主義
ナショナリズム
キリスト教とイスラム
個人的には第三章の『宗教問題を読み解く極意』が面白い。
今一番のトピックとしてのイスラム国の位置づけということもそうだが、それに対峙して解説されているバチカンの世界戦略に強い興味を引かれた。
イスラム国がイスラム帝国という目的に向けて暴力を前提とするのに対して、カトリック総本山であるバチカンは『対話』という武器でおなじような世界戦略に基づいて行動をしている。
宗教という装置の理解を進めるためには、啓蒙の時代以来の合理的な精神だけでは解決できない。非合理であり神学的な『見えない世界』へのセンスにもとづいた解釈が必要である。
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2015年24冊目。
佐藤優氏著で、テーマは「歴史と現在をアナロジーで見る」。
下記の3つのポイントで、現在起きていることと歴史の流れを重ね合わせる。
■資本主義と帝国主義
■民族とナショナリズム
■キリスト教とイスラム教
「アナロジカルで見る」を忘れずに更に世界史を勉強していきたい。
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ここ最近の佐藤優さんの本の出版スピードがすごいですね。
池上さんの共著や手島さんの共著も気になりつつも、「世界史の・・」とタイトルにあったので、まずはこの本を読んでみました。
イスラム国やウクライナ情勢、スコットランドの独立運動など、現在の世界情勢への理解を助けるために知っておきたい世界史の話を宗教(特にキリスト教とイスラム)、ナショナリズム、資本主義と帝国主義の3つのテーマで書かれています。
佐藤氏は現在を「アナロジー的視点」で見ることが大事と言います。アナロジーとは「類比」。
で、この本は世界史を通して「アナロジー的視点」で今を見る訓練をする本だとのこと。今が歴史で言うどの状況に似ているのかを冷静に見極め、何をすべきかを考えるためのきっかけになる本です。
巻末には佐藤さんなりの答えがバッチリ書かれていたので、最後をパラパラめくらないで最初からじっくり読むことをお勧めします。
また、3つのテーマについてさらに深く勉強できるように文献紹介も載っています。これでさらに読みたい本が増えてしまうのよねwww
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先の「イスラム国」の続きみたいな気がしないでもなかったが、 ”三国志”などでも感じていたが「歴史は一つではなかった」。
その国を理解するには”歴史”と”宗教”を知る必要があると思う。
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資本主義と帝国主義、ナショナリズム、キリスト教とイスラム等我々が知っておくべきことを豊富な知識と、高い見地から解説してくれている。読んでおくべき本。
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『世界史の極意』というタイトルですが、内容は世界史を概観するものではなく、今現在世界で起きているさまざまな問題を、歴史的な背景から解説する本。
いかんせん世界史の知識が絶望的に乏しいので単語レベルで知らないところも多く、読むのに少し時間がかかりましたが、解説や論の展開がとても分かりやすく、歴史オンチの私にも読みやすかったです。
ナショナリズムとは何かについてかなり丁寧な説明がされていて、とても勉強になりました。ナショナリズムの暴走を阻止するためには、「一つの事実に複数の見方があるということを理解する」こと、「『他人の身になって考える』こと」が大切だというのは、ひどくシンプルな着地点に見えますが、それが一番難しいのだろうなと思います。
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現在の世界で何が起こっているのか、「資本主義と帝国主義」「民族とナショナリズム」「キリスト教とイスラム」の3つの視点を使って、過去の類似のケースと類比的に結びつけることによってそれを解き明かそうとの試みです。今までの歴史の何故について、いまいちど勉強し直せるほか、他の視点から見た歴史の存在もあり、それも知ることの必要性も学ぶことができます。
今の世界を知るために、何を勉強したら良いのか、その起点を知ることができます。
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世界史の捉え方のエッセンスの紹介、といったところ。歴史をアナロジカルに捉えることについて解説されている。
世界史をもう一度勉強したいと思ったけど、どう焦点を当てればいいのかわからなかったので、とても参考になった。
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現代を過去との比較で分析する、という視点の本。宗教的な視点で歴史を考える本は今までもあったけど、帝国主義、ナショナリズムの視点からの論述は今まで意識したことがなかったので、こんな考え方もできるのかととても勉強になった。
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再読。
グローバル化の果てに覇権国家の行き詰まりが起き、各国のナショナリズムが強化され帝国主義の時代がくる。著者はこの本でそう指摘している。現在のウクライナ戦争に突き進んだロシア、覇権をめぐる中国の動き、アメリカの自国第一主義はまさにそれではないか。
世界史を表面だけなぞるのではなく、その背後にある民族、宗教、経済の動きを理解し、アナロジーとして現代を読み解く。深く広い知識がなければできないことだが、この方が仰っていることが、ようやく少しだけ理解できた気がする。
(2015/03/11)
これまで読んだ著者の本の中では最も読みやすく、勉強になりました。
なぜ著者は何でもかんでも神学の話に持っていこうとするのだろう?という素朴な疑問も持っていました。本書では、合理主義の時代が終わり、かつ新たな帝国主義の時代を迎える中で、人々がよりどころとするものの一つが宗教の世界であるという指摘が、これまでの作品よりもわかりやすく説明されています。ようやく著者の思想の一端をつかむことができた感じ。
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宗教紛争の章は、著者ならではの解説で、読み応えがあった。
世界史の教科書は既に用意してあるが、なかなかページを開くまでには至っていない。
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佐藤優が欧州の歴史を振り返って、そのアナロジーから現代の世界情勢を解釈する、といった体の本。
佐藤優は多作である。時にもう少し練って書き上げればよいのにと思うものもある。
本書はそういった類の本である。少なくとも自分にとっては。
ここで扱われているナショナリズムと帝国主義という観点はますます重要になっているので、悪いテーマでもなく、また内容も薄いわけではないのだが。