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ベルリンの壁の時代を生きたすみれちゃんと、ひばりが、オカメインコの卵をあたためるところから始まるお話。
短編だけれど、全部リボンのことだと思うとそうも読める。全体的に流れるそっと寄り添うような優しさに癒されました。
文庫本で通勤中に途切れ途切れではなく、単行本でゆっくりコーヒーとか飲みながら丁寧に頁をめくりたかったなぁ。
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【(非常に個人的な)オススメの読み方】
・食堂かたつむりから入りましょう。
・(ここで小川糸さんにはまった人は)何冊か小川糸さんワールドにはまりましょう。つるかめ助産院、あつあつを召し上がれ等。
・ここでステップアップ。小川糸さんのエッセイにチャレンジしましょう。はじめは違和感あるかもしれませんが読み進めていくうちにはまっていけたらこっちのもんです。そこには小川糸さんの本への愛が詰まっています。
・そんな愛の詰まった本が読みたくなった頃「リボン」を手に取りましょう。
きれいなきれいな作品。読者の状態で受け取り方(面白さ、響くもの等)がおっきく変わるのではないかと感じる本であり、色々思うところはあるけれどこの本をここまで味わい尽くせた自分を、ここまでの短い人生の数々の選択と辛さを良かったと前向きに思わせてくれたこの本に感謝。
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主人公と祖母のすみれちゃんと、一羽のオカメインコ「リボン」の物語から始まり、リボンと様々な人生を歩む人々との出会いを描く。
終盤のすみれちゃんの過去の話は、ちょっと急すぎてついていけなかったけれど、全体的には温かくて良い小説だったと思いました。
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オカメインコのリボンが繋ぐ物語。おばあちゃんと一緒に孵化させ育て、思い出を共有したリボン。奇跡はあって、どこかで救われることがあると思わせてくれる本。
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一話目 ひばりちゃん(小学5年生)とすみれちゃん(おばあちゃん)のものがたり。すみれさんの丁寧な言葉使いにほっとしました。ときどき、齢を重ねた人しか表現できない言葉があって、ひばりちゃんが見ている世界とのギャップがいとおしく感じました。魂について”魂は心に守られ、心は体に守られています”の記述にとてもいい表現だなと思いました。
二話目 鳥の保護施設に預けられた鳥バナナと飼育員トリちゃんのものがたり。バナナの心開く様子がいいなぁと思いました。こんな職業につけたらいいなとも。
三話目 あるバーでママとお客の物語。ビールのみのメニュー。飲んでみたたい。最後のオカメインコの存在がひき立てられ想像をかきったてられます。
4羽目 スエヒロ(インコ)と美歩子先生のものがたり。ゆったりした時間の流れが好きになりました。
5羽目 4羽目に引き続いて、担当になった津野田さんのものがたり。先生の名前がいいな。と思った。引き際がきれいだ。古い言葉に新鮮さを感じた。来し方行く末、おもたせ。
6羽目 スエヒロの行く末が描かれている。大人、子供、事情はいろいろだけどね。ただひとつの存在にちがいないと思いました。
7羽目 黄色い鳥は魔法。この先どんな困難でも思い起こすごとに勇気を得るだろう。津波と兄弟と女の子のものがたり。
8羽目 ものがたりの途中で感想を書く。この孫祖母の関係はいいなと思う。反面私にとって祖母は禁忌だ。この二人が羨ましい。本の中に、人を恨んだり、怒ったりすることは、結局、毒となって自分自身にかえってくるらしい。とある。悲しみはどう帰ってくるのだろうか。教えてほしい。読むのがつらくなった。ドイツに行く記述がある。私もドイツにいったことがあるので、親近感を覚えた。祖母の件が頭をよぎり後半はあまり読み込めなかった。
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再びすみれちゃんとひばりさんの物語になった最後の章がとても良かった。老いていくすみれちゃんは寂しかったけれど、根っ子の部分が穏やかで、ありのままの切なさと優しさが詰まっている気がした。その後のひばりさんには満たされた読後感を貰った。おばあちゃんの昔語りと孫の関係に梨木香歩さんの「エンジェル エンジェル エンジェル」や、そこからの連想で「りかさん」を思い浮かべたり、家族ではないけれど湯本香樹実さんの「ポプラの秋」とかも連想したりした。
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オカメインコのリボンがいろんな人々の人生にちょっとした奇跡や幸せをもたらしていく物語。最初と最後の章がメインで、最初の章では命が生まれるということ、そして最後の章ではドイツのベルリンの壁などリアルなテーマも描かれていて、温かいだけじゃない深みのある作品でした。そのほかの章はかなり短いものもあって、え、終わり?となってしまうものもあったけれど、鳥の飼育員さん?のお話が好きでした。私もオカメインコを飼っているので、読んでいてとても楽しかった。現実、日本の中で野生で生きるのも20年も生きるのも無理かな…と思ってしまう部分もあるけどそこは夢物語として(笑)文章も読みやすくて優しくて、小川さんの他の作品も読んでみたくなりました。
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すみれちゃんとひばりさんの手で大きくなったオカメインコが,いろんな人の物語を見守る。
特に美歩子センセーとふうちゃんのお話が好きだった。
死を宣告されたなか,どれだけ普段どおりに小さな日常を,周りの人を大事に生きていけるか。
こうありたいなあと思う。
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オカメインコのリボンちゃん。
冒頭はリボンちゃんをお出迎えから成長していく様が描かれていて、特にかわいい仕草や表情などは飼ったことがある人でないと表現ができないのではないか。
多分著者の小川糸さんは飼ったことがあるのだろう。
鳥を題材にしたストーリーは本作くらいではないだろうか? ウチでもオカメインコを飼っているので、読後はとても愛おしくなった。
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ひばりは風変わりで大好きなおばあちゃんすみれちゃんと一緒に卵を温め一羽のオカメインコを誕生させる。リボンと名付け一緒に過ごした時間は宝物のよう。美しくて幸福な蜜のような時間。
連作短編集のように物語は進む。リボンがつなぐ物語。リボンは出会った人たちに小さな幸せや奇跡をもたらしていきます。そして最後の章ですみれちゃんとひばりの話に戻る。すみれちゃんが衰えていくのが切なく、でも暖かい。すみれちゃんとひばりの絆。ベルリンでのすみれちゃんの過去の話は急にテイストが変わってちょっとびっくりしたけど、ここにすみれちゃんの根源があるんだろうな。
すみれちゃんとひばりの話をはじめ、他のいくつものお話も心の暖かく救われる気持ちになれるものでした。メインの話ではなく短い話だったけど、2話目のお腹の中の赤ちゃんを失ってしまう女性のお話が個人的に心に響きました。
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私の家でも、父が生き物好きだったので、文鳥?十姉妹?飼っていて、卵から雛が生まれる様を見たことがあったのを思い出した。
巣から落ちた雛を世話したこともあったような(父がしていたのだが)・・・ので、情景がありありと想像できた。
人って、いきなり老人にはならないわけで、何十年生きている間には、いろんな経験をしているのだが、子供のころってそういうのを想像するのが難しい。
離れて暮らしていた祖母が、私が高校生くらいの時、十日くらい家に来ていたことがあった。どう接したらいいか分からなくて、そっけなくしたなあ~
なんていうことを、いろいろ思い出させてくれた小説だった。
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おかめインコの話からまさかベルリンの壁に繋がるとは。籠のなかの鳥と壁のなかに閉鎖された人々を比喩的に表現したかったのかな。
自由であることのありがたさを思い出させてくれた作品。
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すみれちゃんとひばりさん。
祖母と孫の関係でありながら2人は親友。
触れれば壊れそうなはかない卵を
2人で大事に大事に育て、
オカメインコのリボンは生まれた。
その後、リボンは
たくさんの人たちの元に辿りついて
【会話】をしながら
優しさと、ささやかだけど深く幸せな時間を
みんなに残してゆく。
映画やエッセイは目にしていたけど
本としては初めての、小川糸。
ずーっと気にはなっていた。
どんな話を、どんな風にしめるんだろ
どんな気持ちを、どんな風に言葉にするんだろ
って。
心が平穏に向かうさまを【おなら】で
表現している箇所があるんだけど、
おなら て。笑
もう、最高だった。
登場人物の心や、そこにある状況とか
あらゆることの表現が、すばらしかった。
オカメインコのむくむくの羽毛が
リアルに感じられるから
動物好きにはたまらないし、
すみれちゃんの優しさや、
それに応えるひばりさんの様子や
まだまだ危うい卵の白さ、
初めて恋をしたときの心のうち、
挙げればキリがない。
表現がいちいち可愛い。
途中、震災を思い出す話もあったり
後半部分では、
すみれちゃんの気持ちがわかりすぎて
ハッとする表現が多かったけど
キュンとしながらの読書、
細胞がぷるぷる喜ぶような読書だった。
動物好きなら、よりわかると思うんだけど
あたしたち人間は言葉を使わずに
動物たちと会話をしている、できている。
でも、それって
もしかしたら人間と人間のコミュニケーションも、
同じなのかもしれない。
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生きとし生けるものにはすべて寿命があります。身近な動物では、犬や猫はおよそ14年くらいが寿命のようです。では、犬や猫以外で私たちがよく目にする動物というと何が思い浮かぶでしょうか。恐らく鳥ではないかと思います。大空を自由に羽ばたく鳥。ある意味、自由の象徴にも見える彼ら。そんな彼らの寿命は思った以上に長く、長寿の象徴とも言える鶴で40年、白鳥に至っては70年も生きるそうです。では、ペットとしての鳥はどうでしょうか。この作品にも登場するオカメインコだと20年くらい生きる場合も珍しくないとのこと。思った以上に長寿な世界。そして犬や猫に次いで我々の身近な存在である彼らは、その一生の中で我々が思う以上に、いろんな人々の生き様をいろんな角度から見てきているのかもしれません。大空を自由に飛び回れる彼らだから、目にする世界も幅広いはず。自由に羽ばたいた先に見えるもの。一方で、そんな彼らを見上げる人間の様々な人生。この作品は世の中に生きる普通の人たちのいろんな人生に順番に焦点を当てていく物語です。
『大の愛鳥家である』というすみれちゃんと『私』は『私たちは無二の親友だ』という仲。でも『同級生の子たちは、年が離れているのに親友だなんておかしいと口をとがらす』という『私』は『すみれちゃんを「おばあさん」だと感じたことはない』と実はおばあちゃんと孫の関係である二人。『中里ひばり、という名前を私にプレゼントしてくれたのも、すみれちゃん』という『私』はある日、すみれちゃんの部屋に呼ばれます。『絶対に、秘密でございますよ』と『すみれちゃんは再び部屋のふすまをぴったり閉め、私をじっと』見ます。そして『帽子のつばに手を伸ばします。帽子を取ると、頭の上にこんもりと束ねられたお団子頭が出現した』のを見たひばりに『ご覧になって』とお団子の中を見るよう促します。そこには『薄桃色をしたパタパタがのっかっていた』。そしてパタパタを持ち上げたその下に『何度まばたきしてみても、どこからどう見ても、卵だ』という展開。『親鳥さんが、ほうらんを止めてしまったみたいなのです』というすみれちゃん。『こうして、私とすみれちゃんとの、卵を温める日々が始まった』。そして『私の心からは、片時も卵のことが離れなくなった。寝ても覚めても、卵のことばかり考えてしまう』という日々。かつてシャンソン歌手だったというすみれちゃん。かつて自身が歌ったレコードをかけ『胎教をね、してあげようと思ったのです』。でも『すみれちゃんの今の声で歌ってあげなよ』と言うひばりに再び歌を口にするすみれちゃん。そして、ある日『鳴き声のようなものが響いてくる。ツェッ、ツェッ、という、舌打ちをするみたいな音だ』とついに『割れ目はどんどん大きく広がって、その間から、中で動く雛の様子がかすかにみえる。「がんばれ。がんばれ。」私は、必死にエールを送り続けた』。そして…。
この作品は一編の長編ではありますが、生まれたオカメインコが、中里家を早々に逃げ出した後、8人(8家庭)の元を順々に巡って物語は進んでいきます。それらは関係のある人同士である場合と、全く無関係な場合がありますが、いずれであっても8人(8家庭)それぞれの人生がそこには��りました。そして、作品は、インコ視点といった特異な描き方はしておらず、移った先の人物視点に順に切り替わり、インコは演出道具のひとつとして、あくまでそれら登場人物の人生の苦悩が描かれていきます。そういった構成もあって、オカメインコを共通素材として紡いだ連作短編集のような印象も受けました。また、様々な立場、境遇にある人の人生が短くもしっかりと描かれていることで、どの場面を読んでもそれぞれにとても奥深いものを感じさせてくれます。そして、インコがまた違う人の元に移っていくことで、全く違う物語を読んでいる印象さえ受けます。小川さんは『一羽の鳥がいろんな人を結びつけていくお話が書きたかった』と語られているまさしくそのままに、インコがいろんな形でそれぞれの人物の人生に影響を与えていきました。そしてこのことを象徴する面白い表現が出てきました。玉ねぎの絵に関する説明の中の一節なのですが、『その絵には凛とした強さと上品さが、通奏低音のように流れていた』という箇所。『通奏低音』。バロック音楽で作品を通して奏でられるチェンバロによる伴奏部のことです。通奏低音は決してその音楽の主役にはなりえません。でも、その伴奏が共通して奏でられているからこそ生まれる作品の統一した雰囲気感が生まれます。また、その伴奏があってこそ生まれる響きもあります。作品を通して登場するインコはまさしくこの役割を演じているようにも感じました。
しかし、この作品はさらに大きなインパクトを読者に与える展開を後半に隠し持っています。後半四分の一にわたるお話。この「リボン」という書名、表紙、そして私がここまで書いてきたことなどでは全く予想だにできないストーリーがそこにはありました。正直な感想として、前半の展開からは、『ありえない』内容、『ありえない』舞台、そして『ありえない』沈鬱なストーリーが突如として現れます。こんな別次元にカッ飛ぶような展開の作品は今まで見たことがありません。さらに、私、この舞台となった場所(ネタバレになるのではっきり書けませんが、ドイツのベルナウ通り関する悲しい歴史的事象、とだけ書いておきます)に、赴いた事があるので、その時感じた思いも混ぜ合わさって、まさに胸にドスン!と響いてきました。そして、ここで、小川さん凄いや!と思ったのは、その異物感のある後半四分の一の展開の結末へ向けて、前半のインコ誕生までの微笑ましい部分に実は山のように散りばめられていた伏線があり、それを最後の最後で怒涛のように回収して、美しく作品を締めてくれたところです。そして、後半四分の一に描かれる異常なレベルの重い内容を、読者は十字架のように背負わされるのかと一時不安にもなりましたが、そこに描かれたのは、美しく、爽やかで、そして前向きな結末。まさに豪雨の後に雲間から差してきた眩ゆい光を感じた読後感でした。
読む前からは全く読後感が予想できなかったこの作品。単にインコの絵だ、としか思わなかった表紙の黄色いオカメインコのイラストが、読後、全く違う見え方をするこの作品。小川さんの作品では、例えば「ツバキ文具店」では、お店を訪れ代書の依頼をしていく人々を代書という点で繋いで一本の作品が生まれていますが、この作品は、それがオカメインコであると考える���、両者を比較する上でわかりやすいと思います。そして、この作品は「ツバキ」に比べて作品が背負っているものがあまりに大きくて重いものであるという点が異なります。可愛いインコのイラストの先にこんなに奥深い世界が広がっているとはまさか思いませんでした。
『切なくてあったかいものが広がってきた』読後感、小川さんの素晴らしい傑作だと思いました。ありがとうございました。
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リボン!まさか鳥の話とは!
兼ねてから人間だけで暮らすのではなく、いろんな動物と暮らしたいというのはあるけど
ひとつだけまだ踏み込んでない、苦手な「認識不足」のが鳥その鳥の話でした。
短編かと思いきや
最初の章と、最後の章はつながる
間は「鳥」という括りで繋がってるー
小川糸、作品で好き嫌いが分かれる
共通して独特の空気感。可愛らしい
小川糸の世界とまた反する
まさかのベルリンの壁問題、事実でもあり
それらにまつわる悲しい問題。
始めの章は延々と続く
すみれと、ひばりさん
そしてオカメインコのリボン。「さすがに、飽きた」
各章の名前が全くないので
心が痛い章もあり、死産は辛くて読めない
また、
鳥のホスピスのはなし?ほんと?
その鳥たちを飼い主さんを見つける
お見合い会?
不思議でした。
ここまで鳥たちを愛せたらどんなに豊かでしょうね。
まあ猫派「飼ってるのは犬?」だから。
大きな大きな世界があるのでしょうが、自分には読解力不足、力たらず。
もう純粋さが自分自身に失われてるのかも。
たまにはこんなフワァーンとした気分も必要かも。
初めて託卵、転卵や
さし餌という言葉になじんだ。とにかく
読書すればするほど知らないことばかりー
読むほどに無学を意識する。