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29頁:「世々杖刀人の首と爲て,……」
「爲」字にはルビがない。音ではなく訓にはルビを振らない方針なのかも知れない。
沖森卓也本によれば「首として」とよむ。原文があるのだから,ひらがなの方がいいと思う。漢字をそのまま使用するのなら,「と爲て」のままでルビをふらないのは,かえって不親切だと思う。編輯者はよめたのか?
どうか,この後,このような本筋とは関係ないことで,時間を多く取られませんように。ここで武丁の祖に祈っておく。
32頁:読み手に配慮した表記法ではない。
・なるほど,自分の本を万葉集の略体歌になぞらえて作っているのだ。
34頁:賞たぶべき……。難解。
たぶ=賜ぶ・給ぶ。
36頁:
著者はおそらく,どう読むかは読者にゆだねている/どう読ませたいかは放棄している/と思われるので,
以下,音訳ボランティアの方のためにルビを付けてみる。
36頁:感は志(シ/こころざし)に生じ,詠は言(ゲン/こと)に形(あら)はる。是(ここ)を以(もっ/もち)て……その吟(ギン/うた)悲しむ。以(もっ/も
ち)て懷(おも)ひを述べつべく,以(もっ/もち)て憤(フン/いきどほり)を發(ハツ/おこ)すべし。
・「以て懷ひを述べつべく」と読むのなら,後文は「以て憤(いきどほり)を發(おこ)しつべし」と読んでほしい。後文に合わせるのなら,前文は「以て懷ひを述ぶべ
く」と読んでほしい。対表現?というのがあるでしょう。
「人倫を化し。」=⇒「人倫を化し,」
「和歌」と「和哥」の両方が出てくる。おそらく,依拠するテキストがあるのだろうが,甲骨文の本に,そこまで必要でしょうか?
甲骨文を読むはずだったのに……
37頁:⑥隹れ
白川静『甲骨文の世界』22頁は「これ」とひらがな書き。
コレは,白川本を買わせるための陰謀か?
73頁:*(甲骨文)は方国名。
「方国」についての説明文はないと思う。これは,甲骨学・古代中国学の用語で常識であるから,説明不要なのか?まさか『詩經』大雅˙大明:「厥德不回,以受方國」の四方諸侯之國ではあるまい。わたしは,たまたま,この本の前に落合 淳思『殷-中国史最古の王朝』を読んだので,「方」とは殷に敵対する勢力をあらわす語であるという知識ができたが,その敵対勢力を「国」というのには,イメージがついていかない。が,説明がないので,たしかめるすべもない。どうも,わたしはこの本の読者としてはふさわしくないのかも知れない。残念だが。
116頁:「私の履歴書」(3)
=⇒(1)