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世界の中でも特異な場所が全部で38、6章に渡って紹介されているが、カテゴリーとして最も惹起力があるのはダントツで第六章、"飛び地と未承認国家と浮遊島"だ。
特に"シーランド"は、この書中、最大のクライマックスであると勝手に断言してしまおう。
真の秘境、と呼べるエリアがどんどん減っていき、日常、我々の身辺のゾーンにおいても、"遊べる"場所が大人にとっても子供にとっても少なくなっている今の時代に、この本がブン投げているテーマそれ自体は非常に魅力的なものだが、いかんせん、扱っている各スポットを説明している文章構成があまり上手くないと思ってしまった。
おお、面白いとこほじくり出したな、と思ったら、急に論点を転換して話はあらぬ方向に…、と感じた箇所が多数。
書き手と読み手のリズムが合っていない。
端的に言えば、エンターテインメント性よりも網羅的に解説することを優先した、どちらかというと論文に近い文章のような。
"はじめに"と"おわりに"は読み応えがあった。
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<目次>
はじめに
第1章 失われた場所
第2章 地図にない場所
第3章 誰もいない場所
第4章 廃墟と化した場所
第5章 手出しできない場所
第6章 飛び地と未承認国家と浮遊島
おわりに
<内容>
書評サイト「hONZ」に載っていた本。本屋で何回か手に取ったものの、当初は観光的な視点、行きたくても行けないとか、監獄島とかをイメージし、写真が全くないこと、本の通販サイトの評価も気になり、購入まではいかなかった。しかし、逗子市立図書館にあることを知り、借りて読むことに。
結果は「買えばよかった!」だった。特に第1章の「失われた場所」は、読みながらいろいろなことを考えさせられた。例えば「オールドメッカ」。イスラム教の聖地であるここでは今、古い建物がどんどん破壊されているそうだ。それは「特定の建物などを賛美すると将来的には多神教になってしまう虞がある」からだそうだ。そして著者は、かつての社会主義国家の記録を紐解く。ソ連などでは、ロシア時代の施設が破壊され、さらにソ連が倒れると「スターニン像」などが破壊された。ただ、人間は「場所」に記憶を求め、その「場所」を愛着を持つ。こうした行動は、将来に何かの結末が訪れる気がする(具体的には言わないが…)。そして、訳者が言うように、東京の街(いや日本の街)が、古い建物を、「場所」をすぐに消し去る。その思考は私の思い付きだと、「滅亡」へとつながる気がするのだが。イスラムと違って、「日本」は間違いなく「滅亡」への道を歩み始めた気がする。
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テーマは面白い。選ばれた場所場所も興味がわき、さらに知りたくなった。実際、何度もグーグルで検索を繰り返した。
…んだけど、どうにも集中して読めない。続けられない。なんだろう、言葉が堅いのかなぁ。
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この前、『オン・ザ・マップ』という本を読んだのだけど、今度は『オフ・ザ・マップ』。もちろん、全然違う本。
あるといわれて地図にも載っていたのに、実はなかった、として消滅した島。核兵器製造のためだけにつくられ秘匿されてきた街。汚染という記憶を風化させるために、地図から消された街。今も文明との接触を拒みつづける島。どこの国も領有権を主張しない土地。当局に都度破壊され、なかったことにされつづける村。ゴミの島。浮遊する人工島。
人の土地愛というのは強い。取り替えがきかないものだから尚更だろう。オフ・ザ・マップになった土地の多くは、政治的な判断や、その先にある戦争で失われている。作り出してきたのも人間だが、消し去っていくのも人間だ。そりゃそうだ、地図なんて人間だけのものだし。
それにしても、世界にはなんと不思議な場所がたくさんあることだろうか。まるでロールプレイングゲームの舞台のようだ。
比べて我が国は平和である。訳者があとがきに「静岡の清水市がなくなったことにショックを受ける人もいるだろう、清水の次郎長といってもわからない人が出るのでは」というようなことを書いている。僕はその清水市で生まれた。場所はそのままなのに、名前が変わるだけでも確かにショックではある。
けれど、人の生活はそうそう変わらない。隣国との領土問題も、沖縄問題も、地図が書き換わる、というリアリティをどうにも持てない。
オフ・ザ・マップに至るまでの、僕の感覚からすれば凄絶であろう出来事も、本書では結構さらりと書いていて、一つの場所は大体数ページぐらい。文字にすれば短いが、やはり地図から消えるということには、本当にいろいろなことがあったことであろう。
なかなかエキサイティングな本だ。同時に平和ボケを強烈に自覚させてくれる。まだ平和ボケしていない人には、ボケ防止になるかもしれない。
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隔絶された場所がたくさん紹介されている一冊。
隔絶といってもいろいろある。地図から消えた町、紛争地域、汚染地域、ゴーストタウン、飛び地、未承認国家などなど。
写真があるともっとよいのだけど。