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美術の世界だからって何でもありなわけではなく、ちゃんとした美術教育を受けてないとかの理由で正当に評価されてない人たちをすくい上げた本。裸の大将こと山下清についての記述も所収。かなり面白い。とくに、もう取り壊されてしまったが、「二笑亭」という奇怪な建物を作った人の話が一番面白かった。簡単に言えばメッチャ不快な楳津邸のようなもの。
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レビュー1000コ目。
アウトサイダーアートのイメージを正しくしてもらった感じ。まさに入門書だった。
ヘンリー・ダーガーと山下清ぐらいだった知ってるのが。面白かったし勉強になった。
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日本奇人伝・椹木野衣ver。
田中一村、山下清はそうだが、出口王仁三郎や、三松正夫まで、レンジの広い人選が素敵な本です。引用にあるように、コリン・ウィルソンのアウトサイダーを下敷きにしてます。21世紀の日本人の美術評論家がリブートした文章です。
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壮絶な内容に身震いがするほどだった。本書に登場する芸術家たちは皆、言葉を失うほど悲惨な体験をした人々ばかりで、もし芸術の神がいるとしたらなんと残酷なのだろうかと思う。彼らの作り上げた「作品」は永久凍土に根を張る木のようにしぶとく、粘り強く、己が環境をバネにするなんて生易しい言葉では済まされないほど毒々しく咲いた血の涙である。ヘンリーダーガーに興味を持ち本書を読んだが、出口なおや田中一村、山下清の生き様に衝撃を受けた。アートって何だろう?三たび自分の心に問いかけるばかりだ。
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仕事で、キュレーターの小出由紀子氏に会えそうな機会があったのだけれど、叶わず、本書で憂さ晴らし。
アール・ブリュットと、アウトサイダーアートの呼び分けなど、イマイチよく分かってなかった事も書いてありスッキリ。
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ヒリヒリと「生」ににじり寄ろうとする切迫感というか
「そうせざるを得なかった」切なすぎる事情も込みで、
彼らのアートは胸が締め付けられる。
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美術評論家 椹木野衣によるアウトサイダーアートの解説書。ヘンリー・ダーガーを知ったことからアウトサイダーアートに興味を持ち、他にもどんな作家がいるのか気になり手にしました。本書ではフェルディナン・シュヴァル、サイモン・ロディア、ヘンリー・ダーガー、渡辺金蔵、三松 正夫、出口なお、王仁三郎、ルイーズ・ブルジョワ、ジャン=ピエール・レイノー、田中一村、山下清など、西洋だけでなく、日本にも光を当てており、詳細な解説があるため非常に参考になりました。新書という形態のため作品の写真などがあまりなかったのが残念です。
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ひとの生から決してなくせない負の宿命からこそ生まれ、たった一人でそこに拮抗するために存在する、どこまでも個でしかない芸術の根源的な姿。
"自然"の存在がアウトサイダーたちの感性の底をなすことも興味深い。
コレクティブやコミュニティ意識の広がる現代だからこそ再発見があった。
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そもそもアウトサイダー・アートとは何か。
様々な物を目にした時、はっとさせられたりとても奇妙に感じたり、作者がどんなことを考えて生み出したのか気になることがある。
六本木ヒルズの蜘蛛の彫刻「ママン」(ルイーズ・ブルジョワ)を見た時、思わず後退りしてしまったが、この本を読んで今度行った時はもう少しじっくり下からお腹の部分を見てみよう!と思った。
また田中一村について、この本を通じて知ったのでもう少し深めてみたい。
以外抜粋
アウトサイダー・アートが人間の苦しみ(病苦、孤独、離別、被災、困窮、追放、受刑、隔離)からやってくる。アウトサイダー・アートとは、ひとの生から絶対なくすことができない負の宿命と、たったひとりで拮抗するためにこそ存在する。芸術のもっとも根源的な姿なのではあるまいか。
哲学者のハイデガーがいうように、人間とは芸術の棲み家である。ひとが芸術を作るのではない。芸術の棲み家にされた者が、身を依り代に芸術を作り出させられるのだ。
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ヘンリー・ダーガーに興味を持って、読み始めました。
アートの世界というのが、必ずしも自由なものではなく、アーティストと名乗るための、いわゆる「王道」があることを知りました。
それと同時に、「王道」から外れたアートがあるということも知り、アートの世界の奥深さを感じることが出来ました。
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読了するまでおそろしく時間をかけてしまったがために、全体的な感想を述べるのが難しくなってしまった、、。
他のアール・ブリュット/アウトサイダー・アート入門書では取り上げられないようなアーティストを取り上げることで筆者独自の「アウトサイダー」が定義されながら論が展開されている、という印象であった。
終章が特によかったと思う。
298頁を読みながら、(のちに椹木さんご自身も述べられていたが)観る側がインサイダー面をしていちゃあ話にならないんだな、と反省をした。
「作品」との向き合い方に行き詰まったら何度でも読み返したくなるであろう一冊。