投稿元:
レビューを見る
世界は限りなく揺るぎなく人間の都合と関係なく平等なんだと改めて思う。どうすればよかったのか、決して出ないこたえを、考えざるを得ない
投稿元:
レビューを見る
何度も何度も繰り返されるのは、
死んだ人は、決して生き還らない
ということ。
この事実が何度も繰り返され、当たり前の
ことではあるのに、本当にそれが重みを
持って胸に迫ってくる。それが怖いくらい
だった。
北斗の実母に関しては本当にもやもやした。
愛していたのなら、なぜ虐待に加担したのか
という怒りと、いや、この人だって、あるいは
夫だって、暴力によって歪められた人間なのだ、という擁護の思いで、心が引き裂かれた。
ちょっと違和感を感じたのは、北斗の容姿に
ついて。イケメンであるという殊更な描写は
必要だったのでしょうか。そこだけちと、疑問。
投稿元:
レビューを見る
虐待を受けながら育つ子供の、心と体を防御する反応が哀しい。閉じた心、その殻を柔らかくして開くのは簡単じゃない。端爪北斗は裁判の中でも自分を見つめ続けていた。少しでも自分を信じられるようになって欲しい。そして信じられる大人もいることを信じてほしい。
辛い物語です。でも、目をそらしてはいけない物語でした。
投稿元:
レビューを見る
600P近い長編でしたが一気読み.自身の幼少期と重なり胸が痛くなった.もし僕が全く同じ境遇であったならと考えずにはいられない.救いのない物語ではあるけれど,読み手に問いかける良い作品だと思う.
以下あらすじ(背表紙より)
両親から激しい虐待を受けて育った少年、北斗。誰にも愛されず、愛することも知らない彼は、高校生の時、父親の死をきっかけに里親の綾子に引き取られ、人生で初めて安らぎを得る。しかし、ほどなく綾子が癌に侵され、医療詐欺にあい失意のうちに亡くなってしまう。心の支えを失った北斗は、暴走を始め―。孤独の果てに殺人を犯した若者の魂の叫びを描く傑作長編。第8回中央公論文芸賞受賞作。
投稿元:
レビューを見る
石田衣良の作品は自分には若すぎると思うようになって、文庫本ですら買うのを躊躇うようになっていたけど、「全力疾走」というポップを見て購入。
行き着く暇もないほどの全力疾走感。
読んでいるだけで息切れしそうになった。
読むのも辛くなるような虐待、綾子お母さんとの束の間の幸せな時間、そして・・・。
残虐な事件を起こした加害者の人生に同情する余地がある場合、被害者は泣き寝入りするしかないのか。
そもそも死刑の是非は。
色々考えさせられた10日間。
---
両親から激しい虐待を受けて育った少年、北斗。誰にも愛されず、愛することも知らない彼は、高校生の時、父親の死をきっかけに里親の綾子に引き取られ、人生で初めて安らぎを得る。しかし、ほどなく綾子が癌に侵され、医療詐欺にあい失意のうちに亡くなってしまう。心の支えを失った北斗は、暴走を始め--。孤独の果てに殺人を犯した若者の魂の叫びを描く傑作長編。第8回中央公論文学賞受賞作。
投稿元:
レビューを見る
うーん、好き嫌いで言うと、好きじゃない。
児童虐待ものが好きじゃないし、勧められたんじゃなかったら、読まなかった。
前半は何度も吐気がして投げ出しそうになった。
後半になって法廷ものとして読みはじめたら、結構面白かったかな。
万が一、人を殺してしまったら、裁判受けて刑務所に入る、というような、あっさりしたものではないのだ、と今更ながら知る。
もう自分なんて、どうでもいいと思っても、そんな簡単にはいかない。
まさに魂を裸にされるうんざりするような裁判の過程が待っている。
例え、めんどくさくなって、ヤケを起こして人を殺したとしても、決して事態は簡単になるわけじゃなくて、さらにもっともっと面倒くさいことになるんだ、ということをじわじわ理解させるのにぴったり。
被虐待児童じゃなかった人にとって、児童虐待ものを読む理由ってなんだろう。
被虐待児童への理解?
恐いもの見たさみたいなちょっとゲスな感情がゼロだとは言えない気がする。
でも被虐待児童だった人にとっては、意味のある読書になるかもしれない。
あと・・・くだらないけど気になったのは。
拘置所?での入浴時間。
時間が15分で短い、みたいな記述があったけど、
私、いつもそのぐらいなので、え、何、余裕じゃん、と思ってしまって、気が抜けた(笑)
私は髪の毛ロングだけど、短髪の人なら頭洗って体洗うのに15分もかからないよ。
せっかくの緊張感が台無しになるからやめてほしい。
投稿元:
レビューを見る
どんな事情があろうとも、過去にどんな背景があろうとも、身に覚えの無い人を殺す事は許されない。殺された人の身内に取っては、犯人が死刑になっても悲しみは続く。死刑ではなく一生社会に貢献する為の活動を強制されなければならないのではないか。もちろん、人間としての最低限の生活は保証されなければならない。
投稿元:
レビューを見る
常々、石田衣良の文章は水のようだと思っていた。「池袋ウエストゲートパーク」を読めば、知らない筈の池袋の街がまなうらに浮かぶ。「娼年」を読めば、春を売ることの誇りと喜びに満たされたかのような気持ちになる。それほどまでに彼の作品はわたしの中へ沁み渡るのだ。
そのせいか、本作を読むことはたいへんつらいものでもあった。両親による北斗への虐待がまざまざと思い浮かび、自らの腕に酷く赤い痣が浮かび上がってくるような錯覚に襲われた。ああ、北斗、お願いだから、生きて、北斗。帯やあらすじで北斗が後に殺人を犯すことを知っていたわたしは必死に願った。生きて、どうか生きて。どうか人を殺めずに済むだけのしあわせを見つけてくれ、と。
投稿元:
レビューを見る
友人に勧められ読んだ。死刑がテーマの本はかなり読んでるが、想像していた通りの内容で、正直がっかりした。私自身は、残酷な人間だと言われるかもしれないが、犯罪者の過去がどれほど悲惨だったとしても、それはそれ。人を殺した罪は重い。
投稿元:
レビューを見る
決まっていることを受け入れる。
それも勇気。
わからないことは、わからないままがいい。
知らないでいることも幸せのかたち。
投稿元:
レビューを見る
春夏秋冬の季節に例えられる物語。
主人公【端爪北斗】が両親から虐待を受ける幼年期から、父の死と母との決別迄が【冬】
里親【綾子】との出会いから綾子が倒れる迄が北斗の人生にとっての【春】
そして綾子の闘病から医療詐欺への復讐に北斗が身を焦がす【夏】
そして逮捕されてから裁判の判決までの間、被害者の関係者や北斗の周りの者達、そして北斗がうつろう【秋】
圧倒的なボリュームで読み応えは十分!
しかし、展開の残酷さや北斗の惨めさに辟易とさせられます。
しかし、自分の心に染み込んでくる良い小説だと思った。
投稿元:
レビューを見る
凄惨すぎる児童虐待も、それによって要らない人間・生まれてはいけない子供と自分自身を追い込んでゆく主人公も哀しくて辛かった。
副題からも主人公が殺人者になるのは予告されていて、里親との出会いと短すぎる幸せと別れは若干陳腐かな・・と感じなくはなかったけれど、終盤の裁判のシーンには圧倒されたので、穿ち過ぎかもだけれども物語の大半はそこへ至る為の伏線なのかなとも思ってしまった。
投稿元:
レビューを見る
20150817
考えさせられた。決して一言では片付けられない。そんな作品。
まず、世の中の理不尽な物事の多さにやるせなさを感じた。偶然の重なりとは恐ろしもの。どこかで何か一つでも違っていれば、、、。 と、残酷な事件の他の結末も考えてしまう。
被害者の立場からすれば、殺人は当然許されるものではないのかもしれない。しかし、端爪北斗の辛い過去や束の間の幸せを共に小説の世界で触れてしまうと、殺人者である彼の幸福を願わずにはいられない。
小説の映像化はあまり好きではないけど、これなら少しみてみたいかも笑
すこし間を空け、何度も読みたい作品。
投稿元:
レビューを見る
虐待を受けて育った子が、愛する人のために殺人を決意し、裁判で裁かれる話
明らかに重い話しで、自分ですすんで読みたいとは思わないジャンルだけど、「石田衣良だから」という理由で読んだ
重い話の割に、読後感は悪くない
だから石田衣良は安心して最後まで読めるのかな?
石田衣良にしては分厚い本
ストーリーは虐待、愛、闘病、復讐、裁判という流れで、どこも引けない重要なシーンばかり
虐待パートでは、「こんなにも残酷になれる親がいるのか」と恐れおののき
愛パートでは「北斗くん、君はもっと幸せになってもいいんんだよ」「このままの生活が続いてくれ」という思いと「この後にはこの生活が一転するような事が起こってしまうんだろうな」という祈望と不安を抱き
闘病パートでは「自分の家族がこんなふうになってしまったらどうするか?」と考え、「そんなもの、明らかにインチキだろ、騙されるなんて…」と呆れ
復讐パートでは「お母さんはそんな事望んでないよ」と何でこんな事になってしまったのかと戸惑い
裁判ではこれまでのすべてが交じり合い複雑な感情になった
昔、個人的には殺人犯に関しては、人一人殺してしまった以上、償うには命でしか、むしろそれですら償えないと思っていた
ただ、色々な小説を読むと、加害者にも事情があるのだなという思いと、それでは被害者はどうなる?という両方の感情も理解してみてはとなった
この小説にしても、北斗の人生を傍らから観ていた立場としては同情を禁じ得ない
北斗本人はむしろそんな感情はいらないのだけれども、どうしてもそう思ってしまう
ただ、だからといって情状酌量されてよいのかは別問題
被害者2人は殺されなければならない事情ではない
そんな命を奪っておきながらのうのうと生き延びる事は社会正義として許されていいのかという事
以前の自分だったら迷わず飯岡さんの遺族を支持する
ただ、関本さんの遺族のように、「もう人が死ぬのは嫌」という感情もわからないでもなくなっていきた
昨日妻に「もし自分を殺した人がいたとしたら、その人に私刑になって欲しいと思う?」と聞いたら「自分の家族のためにもその人には死んでもらわないといけない」と言われた
確かに、自分も以前はそう思ってた
ただ、「娘に聞いたらどう答えるだろう?」と思いを巡らせると
もしかしたら私刑については反対の意見を言うかもという可能性に思い至った
家族を殺された遺族の立場になったら
僕はどうするだろう?
犯人が虐待を受けたことがあったら同情するか?
やっと見つけた愛する人の命の最後が汚されたものだったとしたら同情するか?
ただ、今回に関しては同情はするが、騙される方が悪い部分もあるし、復讐に関しても自分勝手な言い分だ
もしかしたら遺族として死刑を望むかもしれない
自分が被害者、または遺族としては色々考えさせられた
ただ、自分が犯罪者になるイメージはあまりない
そこら辺が、もっと深く考えられない理由かもしれない
人は誰しも自分がそんな犯罪を犯すとは思わないだろうし
投稿元:
レビューを見る
前半の虐待シーンは痛すぎて読むのが辛くなる。
中盤の愛を知って殺人に走るシーンは……そこまで愚かなのかと悲しくなる。
なぜ復讐? 綾子さんが死んだのは波洞水のせいじゃないだろ。本文にも出てくるが、復讐にすがってしまったのか。切ない。
後半の裁判は……そうきたか。お母さんに抱き締められたかった想いだけで殺された人はやはり無念。
本当なら泣けてくるシーンも、やはり殺された側が無念過ぎて泣けない。
いろいろ考えさせられる内容ではあった。良く出来たお話だって思う。ただ主人公に共感できなかったことで、この物語を“良かった”とは言えずにいる。