紙の本
サフォンには及ばず
2016/03/28 14:18
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投稿者:よしおくん - この投稿者のレビュー一覧を見る
話題の本だったし、帯でリー・チャイルドが絶賛していたので読んだけど、個人的にはイマイチだった。とにかく情報を隠しすぎて、百数十ページを我慢しなければならない。やっと少し面白くなったかと思ったが、隠されていた真実はそれほど驚くようなことでもなかった。私には、気持ちの悪い親子、夫婦関係を見せられただけという印象も持った。解説で「本」にまつわる小説ということでサフォンの「忘れられた本の墓場」シリーズを引き合いに出していたが、はっきりいってサフォンの小説には遠く及ばない。
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みんな、話の都合で立ち位置ブレまくりな気もするけど、まあ納得できる展開。
好みからゆうと、小綺麗にまとまりすぎかな。
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本を開いた途端、ばらばらにちぎれた破片が舞っている。
引っ越し先で開いた本に20年前の自分が描かれていることにキャサリンが激しく動揺するシーンでこの物語は幕を開ける。誰も知らないはずのできごとが出版されて厳然と目の前にある事実に吐き気を覚えるキャサリン。
一方で、異常な独白を続ける元教師。死んだ妻ナンシーとは? この元教師はキャサリンの物語にどう関与してくるのか?
そうしたばらばらの破片は、ページを進めるとともに、パズルのように空白の場所にあてはまってゆく。時間的にも空間的にも飛散していた文章のピースが、現在のヒロインの家庭に集まってゆく。
二十年前の秘密が少しずつ周囲に漏れ出してゆく。しかし本ではそれは暗示にとどまる。読んだとしても、それがキャサリンを描いたノンフィクションだとは家族であれ気づかない。
しかしそこに元教師の復讐の老いた足音が迫ってくる。彼とキャサリンの過去の関係とはいったい? 元教師がキャサリンに求める者がなんであるのか? 失われた家族と、幸せの渦中にある家族。この差を埋めるために元教師は何をやろうとしているのか?
最小限の登場人物で交わし合う愛・怨嗟・疑惑・誤解・不信・決意などの感情が、緊迫した人間ドラマを構成する。
物語がどこに着地してゆくのか最後までわからない究極のサスペンスであり、一気読み必然のスピード感である。
新鋭作家ルネ・ナイトは、まさに英国版湊かなえと言えよう。
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著者のデビュー作。
本国では刊行前からかなりの話題になっていたようだ。
非常に映像的で、構成が上手い。映像畑出身の作家に割と共通している特徴を本作の著者も持っている。
サスペンスに昨今流行のイヤミステイストを加えたミステリは、他にも色々と作例があるが、『イヤミス』と言うほどイヤな気分にはならず、ラストは希望が持てる(そもそも、純粋に「イヤな気分になる」という意味では、もっと条件に合致した先行作が沢山ある)。少々の気になる部分はあるが、デビュー作ということも考え合わせると、次回作も読んでみようと思わせる。
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テレビのドキュメンタリー制作者のキャサリン。彼女は順風満帆の生活を送っていた。手がけた番組が賞を獲得、夫は優しく、出来がいいとはいえない息子も就職して独立している。だが、引っ越し先で手にした見覚えのない本を開いた瞬間、彼女の人生は暗転した。主人公は自分自身だ。しかもその本は、20年間隠してきた秘密を暴こうとしている!
刊行前に世界25か国で出版決定。今年最大の新人による、一気読み必至の驚異のデビュー作。
解説=三橋暁
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あらすじに惹かれて期待して読んでみたがつまらなかった。前半はふたりの視点を入れ替えながら進むが、途中から家族の視点が加わり何となくややこしい。台詞は少なく、段落が大きな塊になっているから、単純に読みにくい。
序盤はモタモタしているのである程度の忍耐が必要かも。20年前の秘密を引っ張るのかと思いきや、明らかになった後半からようやくストーリーが動き出す。当事者と関係者たちの不穏な心理を描写してあるが、理解不能な言動が多く、誰にも共感できない。真相の矛先に沿ってころころと立ち居地の変わる人物たち──非難してたかと思ったら急に擁護し始めるので徐々に興醒め。気持ちの悪い夫婦、気持ちの悪い親子、といった印象しか残らない。
ドキュメンタリー制作出身の作者だと知って、なにげに納得。つまりはドキュメンタリーです。ある出来事に翻弄される夫婦と親子。そこにミステリなストーリーは存在しません。
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最初ひきつけられて、うまい展開だなー、と思いましたが、後半失速した感じ。キャサリンは悪者でよかったのでは。ちょい安い二時間ドラマみたいです。
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なぜ?と思った部分を書いてみたいと思う。
一番の疑問は、何でスティーヴンは、キャサリンが被害者だという言葉をあっさりと信じてしまったのか?
老人とは思えないほど、スティーヴンはとっても頭がいい。
キャサリンを追い詰める手並みは鮮やかである。
無理なく、周りの誰もが疑問を抱くことなく、弱々しくかわいそうな老人という印象を植え付けることに成功している。
本やSNSの活用など、計算し尽くされた行動に舌を巻く。
とてもパソコン初心者だとは思えないほどである。
(あ、そこも疑問点に挙げてもいいかも)
あの行動力、執念、それがあっさり。。。なのである。
もしかしたら、息子ジョナサンの犯罪を聞いて、なるほどと思う部分があったのか?
それまでの行動からすると、唐突な感じがした。
そのジョナサンも疑問だった。
なぜニコラスを助けたのか? また死んでしまったのか?
ニコラスを助けた意味は、真相になってさらにわからなくなってしまった。
もしかしたら、ニコラスが何かアクションをしてジョナサンが死んでしまったのかと思っていた。
(どんでん返しで、さらにそうなるかと思っていた)
どちらにしても、真相がわかるまでのキャサリンに好感が持てなくて
いきなり母性を出されて戸惑ってしまった。
ただ、スティーブンの仕掛けたものは
どこでも誰でもキャサリンのような立場になりそうで怖かった。
静かな悪意、ここは読みごたえがあった。
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過去に起きた事件を現在の地点から情報を小出しにしながら、真相を明らかにしてゆくという手法は、トマス・H・クックっぽい。このやり方は正直読んでいて苛々もさせられるのだが、反面興味を惹きつけずに置かない巧いやり方。キャサリンは息子を愛するがゆえに選んだ道が全て裏目に出てしまったけど、同じ理由で空想の世界に逃げ込んだナンシーよりも、現実と闘う強さを持っていると思った。
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物語は面白いと思う。また、人物の心理も深くえぐるような感覚。
ただ、結末を知って、通読したことを振り返ると、いろいろな疑問が残る。
書いたことと矛盾するかもしれないが、登場人物の心理がコロっと簡単に変わってしまう(ように感じられた)のは、物語の進行に合わせるためか。
主要人物の視点が交互になり、また時間も行き来するというのは、よくある物語の進行かも知れないが、これは、『夏の沈黙』において成功していると思う。
前半部分のおおまかな「過去」のことと、後半から結末のどんでん返しまで、楽しめた。
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「読み始めた本の登場人物は私!」という話の出だしはとても興味をそそり、何がどういうふうに転がるのか楽しみでした。
内容はともかく、話の進め方が面白くて、畳み込むように一つの情景を作り上げていく、視点の違いや想像、妄想を幾重にも重ねて、全景を作り上げていって最後を迎える。この方策は面白く読みました。
ただ、もっと大どんでん返しがあるのかと?思ってしまって、いつ?どこ?なに?と思い続けた最後尾だったので、それがスルーされて「私って本当に嫌な人間なのか?」と自戒しました。
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つまらないわけじゃないけれど、雑誌で読んだ絶賛評ほどのものではないような…。他の方の感想にも同様のが結構ある。やっぱりねえ。
後の方まで引っ張る「真相」に意外性はないし、複数の登場人物の行動に説得力がない。家族、特に母親というものについて考えさせられはするけれど、それが主眼ならミステリ仕立てはいらないんじゃないかな。
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★★☆☆☆
翻訳からやり直せ!
【内容】
20年前の秘密を暴く本が、本人やその家族、職場に送りつけられ、生活が壊されていく。
【感想】
なんだこのクソ翻訳は。一人称と三人称がゴッチャゴチャ
↓
"もうここにいても仕方がない。終わった。彼は知った。私は彼をその場にのこし、集中治療室に行く。"
あまりに記述が不安定なので、叙述トリックかと勘ぐったのですが、単に翻訳不足だったようです。
あれ?巻末を読むと、一人称と三人称をわざと使い分けてるって書いてあるぞ。。。。うーむ私の読解力不足かも。。。
内容自体は悪く無いと思うんだけどもったいないな。
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うーんんん…なんだろう、このもやっと感…”書評に騙された感”だろうか^^; 構成は悪くないと思うんだけど…英語特有の言い回しが読みづらいというのもあるし、キャサリンの告白をあっさりと信じたスティーヴンにも違和感を覚えるし。やっぱ翻訳ものは苦手だなぁ、と再認識した一冊。
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何かで紹介されたのを見かけて読んでみました。読ませる力(筆力?)がある。内容が好きかと言われれば違うけれど以下が印象的でした。
・自分が見聞きしたものの真実性は脆い、視点や立場が変わるとわからないもの
・母なる存在の強さと厄介さ