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1年間女装で過ごした男性のお話し、内容はタイトルそのまんま。
彼はドイツ人で名はクリスチャン・ザイデル、俳優、ジャーナリスト、TVプロデューサーなど華々しい経歴の持ち主である。たまたま冬に防寒用として女性用のストッキングを着用し、その快適さに驚いた事が彼を女装の世界へと導くきっかけとなった。
美容室やネイルサロン、男友達とのデートや女子会への参加、そして婦人科の健診まで受けてしまうというこだわりぶりである。ザイデル氏は女性として振る舞い、男性の役割を捨てることにより心が開放されたと言っているが、彼のいままでのキャリアや、ヨーロッパの風土も影響しているのかもしれない。
女装という外面的な変化よりも、女性の目線から見た外の世界、他人から女性として見られる事、女性化した自分を見つめる自分自身、そしてそれらすべてを俯瞰する男性としての自分という、心理的な描写がとても興味深かった。
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女性はよいというのが
著者も自認するように
すこし極端だが
ちょっと女装してもいいかな
と思えてくる程度には
女装の魅力が伝わる
女装するだけで
女性と仲間意識?が生まれ
女子会に呼ばれてしまう
いかに服装、化粧、格好で
人を判断しているかということか
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この本は、高野秀行さんがツイッターに感想を書いていたので知った。自分ではまず目がいかない本がよく紹介されていて、それが好みではなくてもインパクト大であるものが多い。これもそんな一冊。
ゲイというわけではなく(妻もいる)、女装趣味でもない、世間的には成功者である男性が、一年間女性の格好をしてすごし、その間の自らの内面や周囲の反応などを綴っている。読む前は多少ユーモラスなフェミニズムからのアプローチかなと思ったが、そうではなくて、あくまで個人的な探究心、シビアな内面への問いかけから始まったものなのだった。
著者は、寒い日にデパートで女性用ストッキングを買ったことをきっかけに、自分の中の「女性性」ととことん向き合っていく。これがまあおそろしく徹底している。妻とは(一時的にだが)深刻な危機を迎え、友人のほとんどは去って行く。偏見かもしれないが、このあたりの突き進み方がいかにもドイツ人だなあという気がする。曖昧なごまかしを許さない感じで。
自分の行動や周囲についてもとことん考察する。くどいくらいに、もう考えに考える。さすが哲学の国の人だ。このあたりを面白がれるかどうかが評価の分かれ目かもしれない。私はちょっと胸焼けしました。それと、ドイツでも女性ってこんなセクハラや暴力にさらされているのかというのがちょっとした衝撃。187センチという長身で、細身とはいえ骨太の筆者が、常に性的な視線で見られ、声をかけられ、挙げ句の果てあわやというピンチに陥るのだ。うーん、オソロシイ。
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女装してみたかったからしてみた。女装で得られた男性性からの自由を、女装しなくても維持できると思えたからやめた。そんな話。性同一性障害者の記録ではない。
常に「自分は能力がある」「すぐれている」と表現し続ける必要がある男性のつらさ、見知らぬ人からも性的存在として見られ続ける女性のつらさ、そんなことが説得力をもって語られるから、女性が読んでも男性が読んでも、どこか思い当たることがあるんじゃないかな。
女子会で知り合った女友達と男装で出会ったら、女同士の親密性は失われ、「クリスチアーノ(女装していた時の名前)の方が好き」と言われてしまったあたり、女装しないと無くなってしまう女性性もある証でしょう。
しかし、実験したことを後悔していないなら、こんな半端な写真をジャケ絵にしないで、クリスチアーノとしてスカートとハイヒールで闊歩する写真を使えばよかったのに。
あと一つ、納得が行かないことがある。クリスチアーノがレイプされそうになったことを「セクハラ」にあったと表現するのは、事実の歪曲で、実験の公正を欠く。
ドイツでは見知らぬ相手からの性的な暴力を「セクハラ」と呼ぶのか? そんなはずないだろうと思う。
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著者はドイツ人、元映像プロデューサーとしてかなりの成功を収めた後、自動車事故で九死に一生を得てから東洋哲学にはまったという人物。1959年生まれというからもう50代。そんな人が足もとの冷えにストッキングってよさそうだなと思ったことをきっかけに、女装してみたらいろんなことが見えてきたという本。
男らしさを手放すことによる解放感や自由。一方で、女装することで、人から見られることを意識したり、気弱になったりする。ただ女装するだけではなく、「女子会」に出てみたり、婦人科検診まで受けてみたり、いろいろチャレンジしているところがおもしろい。ホルモンの分泌まで変わったということには驚いた。通りで襲われたときの描写は生々しくて、こんな大男が女装するだけで襲われる危険があるのかと思うと、実際女性は大変だなぁとへんなところで感心したり。
読み物としてまとまっているとは言いがたいし、一個人の例であって一般化できるものではないが、実体験ならではのおもしろさがある。
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借りたもの。
すごい本。
“男”の性を打ち破るために違う姓を装う事から始まる、著者の「実験」の記録。
それが対としての性である“女”であるため、女装する。
女性讃歌では決して無いだろう。
男性である著者がそれまで知る由が無かった女性の魅力を、男性の言葉で記している。
そこにはジェンダーが男女双方に不利益を齎している現状を明確にする。
女装を通して著者は“男性の中にある女性性”に気がつく。それは“太極図”にあるものではないだろうか。
婦人科検診(!)をちゃんと受けて、彼は男女の生物学的な差が僅かでしかないことに衝撃を受けていた。(※)
女性も男性も、胎児の時は同じ箇所・パーツから性器は発達する。(男性ももっと自分の性と女性の性について、考える機会が必要だ。性行為やポルノじゃなくて)
奥さんから罵られてから理解を得られたり、男友達が離れていったり(友情って何だ!?)、セクハラにあったりと大変な経験もレポしてある。
そこにあるジェンダーの偏見を彼が語ることで「女 vs 男」と見なされかねないこの問題が、対立にならず(葛藤だろうか?)伝わるような気がする。
男性がストッキングはいても問題ないと思う。
薄布と侮るべからず。下手なモモヒキよりも保温性があるし、山岳救助隊もパンスト履いているそうだ。
(実際、男性向けストッキング?タイツあるみたい)
※ "the miracle of life" 8:13~
https://youtu.be/GZk4hT7ncv0
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初めてのストッキング、おっぱい、化粧、ハイヒール、デート…現代社会における新鮮な経験、新たな視点、人間関係の変化。心の中の足かせが外れる。
ちょっとした興味と好奇心レベルで、だれもが気軽に試せるようになれば、世界の風通しが良くなりますね。
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ジェンダー研究だけじゃなく、女心が知りたい男性に読んでほしいかも。
「男を人間として、女友達と同じように扱う」
……考えさせられます。
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「男らしさ」「女らしさ」「あるべき姿」というような抑圧は誰にでもあるのでは…。
なぜ女装して生活することをやってみたのか、そのきっかけから気づき、嫌な経験、良い経験などなどが綴られている。
自分に対しても他者に対しても、「こうだからこうであるべき」というような意識を持ってしまうことに対して自覚的になりたいと思う。そこから、なぜそう考えてしまうのか掘り下げられるように思うから。
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冬になると足元から冷えて必ず風邪を引く著者(既婚)が、男の足元防寒具の少なさにごうを煮やして踏み入れたパンストの世界。
そこを皮切りに女性の世界の自由さ/不自由さを体感するために女装に踏み切る。都度登場するジャマ声とやさしい声が面白い。
興味深いのが割とイケてる女装ができた著者が当初受ける男性からの視線や行動への嫌悪について、前半では単なる男性への嫌悪感だったのだが、後半でそれは女性視点になったから気づいた男性嫌悪ではなく『女性なら当然嫌悪するだろう』という自身の女性への思い込みから来ているのではないか?と著者自身が気づくところ。
女子会を通して男女問わず自分の役割を演じているのにすぎない可能性を感じ、本当の自分自身はどう感じているのかというインナースペースに入っていくところが人と自分に対して誠実だなあと感じた。
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めちゃめちゃ面白かった。まず翻訳が秀逸ですね。ぼくとかおれとか私とか、使い分けうまい。
自分が女だから、男性が女装するとこうなるっていうのが新鮮で面白い。
そもそも付けおっぱいはわかるとして、アタッチメント式の乳首があるなんて誰が思うか!
ただ逆に、これが女性が男装して男として生きてくとなると、難しいんだろうなって思うのだけど、どうなんだろうな。
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2018/2/10
快適な下着を探して女性用ストッキングを履いてみたところから始まる、成功者の実験。
だんだん哲学的になってゆき、考えさせられたなあ。わたしは女で嫌なことばかりだと思っていたけど、もっと女を楽しまなきゃ勿体無いね。
ハイヒール履きたい。
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タイトルに惹かれました。
内容もタイトルそのものです。
著者の方は、女装趣味とか、LGBTでもないのですが、少し寒い日に、ストッキングを買ってはいてみたところから、自分の中の女性に気がつく。
実験と書いていますが、かなり自分の中の女性が積極的に行動しています。
かなり勇気ある行動だったと思います。
違う側面から物事を考える重要性に気付かされます。
一読おすすめします。
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最初は女性の生活を美化しすぎだと思ったけれど、読み終わってみるとまあ、面白い本だったと言わざるを得ない。
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6:ツイッターで「面白い本がある」と流れてきたもの。女装癖でもなく、女性になりたいわけでもない異性愛者の男性が、男性のファッションのダサさと冬の寒さに絶望してストッキングをはくことから始めた女装の記録。
著者本人も考え方がオープンになり、旧来の「男性のイメージ」から解放されて自由になったと述べる一方、男性が女性を見る視線やセクハラ、性犯罪を体験し、女装を続けるほどに友人が失われてゆくさまが綴られています。
「女性になりたいわけではない」「僕は男性だ。女性にはなれない」と言うわりに「第三の性になった」とか意見が揺らぐし、かつ女装時の喋り言葉が「わたしは〜なの/よ」と女性言葉に訳されているのがひっかかりました。
ということはつまり、「何を着ていても僕が僕であることに違いはない」「イメージにこだわるな」っていうメッセージではないの……か……?