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今年の夏ごろに読んだ三橋氏が書いた本です。彼は主に、経済関係、最近ではアベノミクスやTPPに関する内容が多いと思っていましたが、この本は日本の技術について書かれた最初の本のように思います。
今までの彼の著作もそうでしたが、彼が書く内容はしっかりした取材がベースとなっています。様々な技術分野についてしっかりと把握されているなと思いました。
以下は気になったポイントです。
・2015年は、神武天皇の即位から2675年を数える。かつては「紀元節」と呼んだ(p17)
・1894年に勃発した日清戦争において、旗艦の「松島」はフランス造船所、日露戦争の旗艦はイギリス製であったが、1940年には当時世界最大の戦艦大和、さらには空母機動部隊を運用できるようになった(p21)
・2015年3月25日に海上自衛隊は、全長248メートルの巨大護衛艦「いずも」を就航させた。戦艦大和263メートル、空母赤城260メートルと同等(p27)
・伊勢神宮で1500年以上も昔の建築技術が現役なのは、20年毎に式年遷宮を繰り返してきたから(p33)
・GDPとは、国内で生産された付加価値の合計、消費・投資としての支出の合計、国内で稼ぎだされた所得の合計、これを「GDP三面等価の原則」という(p37)
・アメリカは、地域覇権国「候補」のライバルを支援して、時には「敵の敵」とも手を組む。ナチスドイツと組むために、ソ連と同盟、ソ連を叩くために中国と国交回復する(p57)
・アメリカは日本国の制海権を剥ぎ取った、具体的には日本の航空産業(中島飛行機、三菱航空機、川崎航空機など)を解体した(p59)
・物々交換の不便を解消するためでないとしたら、おカネはなぜ生まれたか。お互いの債務と債権を明確化させるため。つまり、おカネの正体とは、紙幣でも硬貨でもなく、債務債権の組み合わせを記録する技術、つまり「信用」である(p66、71)
・貝殻であっても、紙幣(紙切れ)であっても、誰かの債務の記録となったときに、初めてお金の役割を果たす(p75)
・1円玉は13円、10円玉は32円、シニョリッジがマイナス、500円玉は457円のプラス、100円玉は27円のプラス(p80)
・インテルは、2001年から9年間で、465億ドル(5兆円)の自社株買いをした、同じ時期の「国家ナノテクノロジー計画」の4倍(p88)
・知的財産権収支は、2003年に黒字化、14年には、1.7兆円の黒字となった。それに、ノウハウ、技術指導を加えた「技術貿易」で見ると、2013年で3兆円の黒字、アメリカに次いで2位(p103)
・経済の3要素とは、ヒト・モノ・技術の3つだが、それらはかけ算であり、足し算ではない。技術の不足を他でカバーすることはできない(p108)
・技術は買えばよいが、少なくとも生産は自国で実施して、生産性を高めていくのが先進国への道である(p114)
・技術とは、モノとヒトを組み合わせことで、効率的な生産を可能する、「手段」「方法」「コツ」の集合体となる(p118)
・今後のわが国は、総需要という需要に対して、生産年齢という供給能力が付かず、人口構造的には「インフレギャップ」になることが確定している(p158)
・日本の少子化が引き起こされているのは、結婚した夫婦が産む子供の数が減っているのではなく(わずかに増えている)、結婚そのものが激減していること(p163)
・将来の日本の問題に対して、日本国民の労働、投資、技術で埋める。つまり、生産性向上でギャップを埋めるのが唯一の解決策(p163)
・新幹線を設計、建造した技術者の多くが、大東亜戦争期の航空技術者であった(p168)
・2015年3月7日に開通した、首都高速中央環状線の品川ラインが開通したことで、新宿・渋谷方面から羽田空港へのアプローチが短縮された。山手トンネルの全長は18.2キロで日本で最も長い道路トンネル(p172)
・トランスピッドの技術を導入したのが、中国の上海浦東国際空港と市街地を430キロで結ぶ高速鉄道である。この開発はドイツが2011年に支援を打ち切った(p177)
・超電導リニアは、低速時は車輪で走り、一定速度に達したら車輪をしまい込んでリニア走行する、高速になるほど安定する。最高速度は600キロ以上。トランスピッドは停止時も浮上した状態(p180)
・国産戦車である10式戦車は、1世代前の90式と同等の44口径120ミリ滑空砲を装備している最新鋭戦車。96年開発開始、10年に制式化された。1200馬力ディーゼルエンジン、無段変速機、複合装甲は、敵戦車が発射したエネルギーを吸収分散させる、さらにスラローム射撃が可能(p219)
・護衛艦「いずも」には、陸自導入予定のオスプレイ、ステルスF35Eも搭載可能(p224)
2015年10月10日作成
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所在:展示架
請求番号:502.1/Mi63
資料ID:115004768
長年のデフレによって他国に後れを取ってしまった日本。しかし、これからの日本の技術革新は世界の勢力図を塗り替えるほどの強さであった!最新の技術を分かりやすく解説してあります。
選書担当:木村
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高速リーディング。
日本も捨てた者ではないと思った一方、技術軽視(先行投資の軽視)の傾向もあるとの事なので、有権者としてしっかりとした意識を持たねばならないと思わされた。
果たして10年20年後の日本はどのような方角に進んでいるのだろうか・・・。楽しみでもあり、少し恐い感じでもある。