投稿元:
レビューを見る
かつて「童貞」が、男子の美徳とされた時代があった!? 気鋭の社会学者が、近代における童貞へのイメージ遍歴をラディカルに読みとき、現代ニッポンの性を浮かびあがらせる。
投稿元:
レビューを見る
童貞言説を丹念にまとめた一冊。最後が「童貞と首を絞めるのは男性自身」という「男子ってバカよね」的なオチを迎えたのは少し残念だったが、読んだ甲斐はあった。
投稿元:
レビューを見る
雑誌を中心としたメディアが童貞について、様々な言説を生みだしてきたことが分かった。
別に僕にとって、そのような言説はかなりどうでもいいものだった。
投稿元:
レビューを見る
<目次>
はじめに 童貞とは誰か?
第1章 「新妻にささげる贈り物」としての童貞
第2章 童貞のススメ~男の性の問題化と医療化
第3章 貞操の男女平等の暗面~「花柳病男子拒婚同盟」への反応
第4章 女の童貞、男の童貞~「童貞」という言葉の変遷
第5章 「恥ずかしいもの」としての童貞~戦後の雑誌言説
第6章 シロウト童貞というカテゴリー~「恋愛自由市場」の一側面
第7章 「やらはた」の誕生~童貞喪失年齢の規範化
第8章 マザコン・包茎・インポ~童貞の病理化
第9章 「童貞は見てわかる」~童貞の可視化
第10章 童貞の復権?
<内容>
男性のセクシャリティ社会史を専門とする女性。もともとは2003年に文春新書になったものの文庫化。さらに種本は氏の博士論文。丹念な史料の読み取りにより、「童貞」の観念や見立ての変遷を追っている。女性の「処女」とは少し違うのだ。そしてその評価も20世紀の中でも変わってきていることがわかる。労作だ。
投稿元:
レビューを見る
「日本における"童貞"と見做される人たちの特徴」についてではなく、「日本社会が"童貞"をどのように捉えてきたか」についての一冊。
投稿元:
レビューを見る
異性との性交を空想したことのある童貞は、おそらく純粋な童貞と見なされないだろうが、肉体的には童貞として通用するのか。オナニーをしたものの童貞性は無価値なのか。これが、前者は否、後者は是、なんていう人もいるわけで、わけがわからない。
さらに、童貞という言葉が女性にも使われていた時代がある。童貞という言葉が辞書に載るようになって100年程度しかたっていない。童貞が未経験男子に限定されていくのは1970年代。なんだ、そうすると僕は真の童貞ファースト世代か。
いや、童貞は人を指すのか状態を指すのか、も時代によって違う。美徳か恥かもまたしかり。童貞は見てわかるそうだ。もうなんだかなあ。
というわけで、本書には素晴らしいフックがたくさんあるのだが、読んでて面白くない。僕が童貞だからなのか、童貞だったことを思い出して恥ずかしくなるからなのか。
それにしたって拾うと面白いワードが沢山なのだ。童貞鑑定で鼻の先っぽを押して二つに割れたら経験者、なんて、スタンド能力者の見分け方や毒キノコの見分け方のようないい加減な話もあったらしい。膝の後ろのふくらはぎに白い筋があるのは非童貞とか。
というわけで、社会から見た童貞、の話である。となると、社会というものの如何に不安定なことか。ポジティブ童貞なる考えも出現している。いい年したかっこいい童貞も登場する。
なんてことも含めて、どうでもいいなあと思ってしまった。人は自分が通り過ぎてきたことは無関心になるのだ。政治を見ればわかる。童貞はこれから先も童貞であろう。おそらく定義も大きくは変わらないだろう。童貞自身がどうか、ということよりも、どう童貞をいじれるか、のほうに社会の関心がシフトしているようだ。っていうか本当、社会って言葉、どうでもいいよね〜、と思った。
こんなにたくさん童貞という言葉を入力したのは今日が人生の中でダントツだろうなあ。童貞に着眼させてもらえた本ではあるが、兎にも角にも一日に童貞という言葉をこんなに沢山入力したのは今日が初めてである、というわけで何かの童貞を失ったのかなあ。おあとがよろしくないようで。