投稿元:
レビューを見る
「史」という厳格な意味での歴史ではないです。
時代時代の造形芸術を抽出し、鑑識・評論を加えたものです。個別的にはおもしろいのですが、分厚い上下巻の割には、なんじゃこれって感じです。
投稿元:
レビューを見る
古代から鎌倉新仏教までをあつかった上巻に引きつづき、下巻では鎌倉時代から江戸時代までの文化がとりあげられています。
『愚管抄』を書き記した慈円は、時代を冷静な眼で見つつも、この書をつらぬく「道理」のうちに新しい時代を築きつつある武士のもつエネルギーを捉えきることができなかったと著者は考えます。一方『平家物語』や御成敗式目については、そうした武士のエートスが表現されていると評価しています。
著者の考察に、つい、作品と精神を媒介する時代の展開を読み込んでしまいそうになるのは、やはり著者がヘーゲリアンだという先入見のせいでしょうか。すくなくとも、それらの作品を生み出した精神が、各時代ごとにどのような特徴をもっているのかということに著者の考察は向かわず、精神とそれを表現するかたちの関係のありかたに時代的な特徴を見いだす著者の立場は、「歴史的」というよりは「歴史哲学的」だといえるように思います。
投稿元:
レビューを見る
2015年9月刊。
文学、絵画、美術工芸、建築などの世界から日本史上の名品を選び時代の精神を代表させて解説する。
上巻に続いて『新古今和歌集』と『愚管抄』に始まる第18章から、第35章鶴屋南北『東海道四谷怪談』まで。
長谷川宏の見方は相変わらず丁寧で、記述は微に入り細にわたってわかりやすい。このわかりやすいことが長谷川の説明の真骨頂で、読めば読むほど内容に首肯できる。
参考文献と共に代表的なところを、長いかもしれないが、教科書に載せるのがふさわしい文章だと思う。